不倫で慰謝料を支払わなくていいケースと請求されたときの対処法
不倫がバレたとき、配偶者から慰謝料を請求されることがあります。同居していれば口頭で請求されることもありますが、別居している場合は相手方の弁護士から請求されることもあります。
では、相手方の弁護士から慰謝料請求をされたら請求どおりに支払う必要があるのでしょうか。
この記事では慰謝料はどのように請求されるのか、相手方弁護士から慰謝料請求されたときに請求どおりに支払う必要があるのかについて解説します。
- 目次
☝この記事の内容を動画でも解説しています
不倫慰謝料はどのような方法で請求されるのか
相手方の弁護士から慰謝料を請求される際は、以下の方法で請求されるのが一般的です。
- 内容証明郵便
- 裁判
それぞれについて以下で詳しく見ていきます。
内容証明郵便
内容証明郵便とは、どのような内容の文書を誰が誰宛てに送付したかを証拠として残したいときに利用します。弁護士から慰謝料請求される際は以下のようなことが記載されています。
- 今後の接触の禁止
- 慰謝料請求
- 支払いの期限
まずは冷静に、何をどのように請求しているのか、期限はいつなのかを確認しましょう。
調停・裁判
内容証明郵便を送付してもこちら側が応じない場合は裁判所の手続きを利用するケースもあります。
慰謝料と同時に離婚も請求する場合は離婚調停を申し立て、離婚と慰謝料について話し合うことになります。調停が成立しない場合は訴訟を起こし、裁判で慰謝料を請求されることになります。
不倫の慰謝料を支払う必要がないケースとは
弁護士から慰謝料請求をされたら請求どおりに慰謝料を支払う必要があるのでしょうか。実は、慰謝料請求されたとしても慰謝料を支払う必要がないケースがあります。以下で詳しく見ていきましょう。
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肉体関係を証明する証拠がない
不倫慰謝料を請求する際は不貞行為があったかどうかが問題になります。不貞行為とは、配偶者以外の異性と肉体関係を持つことを言います。
つまり、不倫慰謝料を争う際は不倫相手との間に肉体関係があるかどうかが争点になるのです。
裁判で不倫慰謝料を争う際は不貞行為があったことを立証できる証拠があるかどうかで判断します。
肉体関係があったことを立証できる証拠を慰謝料請求側が掴んでいない場合は、慰謝料を支払う必要がないということになります。
相手が既婚者だと知らなかった
不倫は配偶者と不倫相手による共同不法行為(複数人で不法行為を行うこと)です。そのため、不倫慰謝料は配偶者と不倫相手の両方に請求することができます。
不倫相手に慰謝料請求する場合は、「相手が既婚者であることを知っていたかどうか」が争点になります。
不倫をする人のなかには、既婚者であることを隠して関係を持つケースも少なくありません。そのため、相手が不倫に気づかないまま不倫関係にいたることがあるのです。
しかし、配偶者が既婚者であることを隠していた場合であっても、「注意すれば既婚者であることを知ることができたにも関わらず気づけなかった」という場合は慰謝料請求を回避することはできません。
具体的には、以下のような状況では「既婚者と知らなかった」というのは通じないということです。
- 配偶者は左手の薬指に指輪をしていた
- 既婚者であることをオープンにしていた
すでに夫婦関係が破綻していた
慰謝料とは精神的な苦痛に対して支払われるものです。つまり、不倫慰謝料は「不倫によって円満な夫婦関係が壊され、精神的苦痛を被った」ことに対して支払われるものです。
そのため、不倫が始まった時点ですでに夫婦関係が破綻していた場合、不倫によって夫婦関係が壊れたわけではないため慰謝料は発生しません。
なお、夫婦関係が破綻しているかどうかは以下の基準で判断されます。
- 別居しているかどうか
- (別居中の場合)別居期間
- (別居中の場合)別居にいたった理由
- (別居中の場合)別居中の夫婦関係
- 離婚協議の進捗状況
- 離婚協議の期間
- 夫婦間の生活状況(金銭面や生活のなかで夫婦の接触があるかどうかなど)
「妻(夫)とはうまく行っていない」「夫婦関係は冷えきっている」という言葉を信じ、既婚者と交際をしてしまうケースもあるでしょう。
しかし、裁判所は上記のような評価基準で夫婦関係が破綻しているかどうかを判断します。つまり、裁判では「夫婦関係が破綻していたとは認められない」と判断されることがあるのです。
慰謝料が既に時効消滅している
不倫は法的には不貞行為と言います。不貞行為は民法で定める不法行為になるため、以下の時効が定められています。
- 損害および加害者を知ったときから3年
- 不法行為による被害が発生したときから20年
なお、2020年4月以降の改正民法では上記の時効は以下のように変更されます。
生命・身体の侵害による場合、時効は5年間に延長されることに注意しましょう。
これは、被害者の生命や身体を保護するということは必要性が高いものであり、訴訟提起などが容易でないことが多いことから時効が長期化されたものです。
相場とかけ離れた高額の請求をされた
不倫慰謝料は金額に基準がなく、話し合いで合意できればいくら請求してもかまいません。しかし、実務上は過去の判例と照らし合わせ、適正な金額相場を考慮することになります。
そのため、相手方から請求された金額が相場からあまりにかけ離れている場合は裁判で適正な金額に減額交渉することができます。なお、不倫の慰謝料相場については以下の記事をご参照ください。
相手方の弁護士に返答する際は弁護士に相談
相手方の弁護士から不倫慰謝料を請求されても支払う必要がないケースについて説明しました。
相手方の弁護士に返答する際は、こちら側も弁護士に依頼し、弁護士同士で交渉してもらうことをおすすめします。
自分で返答することもできますが、相手のペースに飲まれて不利になることもあります。弁護士に依頼し、法律のプロに交渉を代行してもらいましょう。
まとめ
不倫慰謝料を支払わなくて良いケースについて解説しました。慰謝料請求されたからといって必ず請求どおりに支払わなければならないわけではありません。
しかし、請求に応じる必要があるのかどうかはケースバイケースになります。また相手方の弁護士に回答する際は弁護士に代行してもらうほうが安心です。
当サイト「離婚弁護士相談リンク」は不倫や慰謝料請求に強い弁護士を多数掲載しています。ぜひお役立てください。
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