「愛があれば年の差なんて」は本当か?年の差婚の離婚原因とは。

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弁護士監修
「愛があれば年の差なんて」は本当か?年の差婚の離婚原因とは。

昔は、夫が妻より10歳くらい年上でも「ちょうどよい」と考えられていました。しかし現代は「年の差婚」と呼ばれ、どことなく特殊な夫婦と見られてしまいます。

正確なデータはありませんが「年の差婚夫婦が離婚にいたるケースは少なくない」と感じている人もいるでしょう。年の差が夫婦の世代間ギャップになり、それが価値観の差になると離婚原因になってしまいます。

年の差が引き金になって離婚してしまう夫婦と、添い遂げることができる年の差婚夫婦は、何が違うのでしょうか。 どうすれば年の差や考え方の差があっても一生うまくすごすことができるのでしょうか。

目次
  1. 年の差婚夫婦が不仲になったり離婚に進む原因とは
    1. 離婚しやすいイメージの原因
    2. 年の差婚の離婚原因
  2. 男性が年上あるいは女性が年上に違いはあるか
    1. 男性が年上の年の差婚夫婦の場合
    2. 女性が年上の年の差婚夫婦の場合
  3. 男性が年上の年の差婚の離婚回避のポイントとは
  4. 女性が年上の年の差婚の離婚回避のポイントとは
  5. まとめ

年の差婚夫婦が不仲になったり離婚に進む原因とは

「年の差婚」と聞くと、どんなイメージが浮かびますか?「すぐ離婚しそう」「金目当てじゃないの?」そんなイメージがあるかもしれません。

アメリカのエモリー大学が離婚率と夫婦の年齢差を調査したところ、年齢差が小さいほど離婚率が低く、年齢差が大きいほど離婚率が高いという結果が発表されました。

つまり、10歳以上の年の差のある夫婦は年の差の少ない夫婦と比べて離婚率が高くなるということになります。

では実際日本ではどうなのでしょうか。実は日本では夫婦関係の良好度合に年の差は関係ないという調査結果があります。

一方で、わずかではありますが年の差婚のほうが離婚の危機を感じた経験が多いという結果もあります。いずれにせよ、年の差婚はトラブルが起こりやすいと言えそうです。

しかし、あらかじめ年の差婚にありがちなトラブルや対処法を知っておけば、夫婦の危機を乗り越えられるかもしれません。

ところで「年の差婚は離婚しやすい」というイメージはどこから来るのでしょうか。

離婚しやすいイメージの原因

少なくとも一方が結婚と離婚を繰り返している印象がある

年の差婚といえば、石田純一・東尾理子夫婦のような芸能人や富豪などを思い浮かべるのではないでしょうか。

一概にはいえませんが、年の差婚夫婦のうち一方(おおむね年上の方)が結婚と離婚を繰り返している場合があります。

結婚と離婚を繰り返す理由はいろいろあると思いますが、

  • 惚れやすく冷めやすい
  • 我慢ができない(忍耐力がない)
  • 浮気性である

という性格が原因の場合もあります。このような場合「何度も失敗しているのだから、また続かないんじゃないの?」と思われるのはやむをえないでしょう。

少なくとも一方が浮気しやすいという印象がある

「少なくとも一方が結婚と離婚を繰り返している印象がある」の項とも関係しますが、年の差婚の夫婦のうち、年上の方は結婚と離婚を繰り返している場合があります。

フランス 劇作家のArmand Salacrou(アルマン・サラクルー:1899~1989)の名言に下記のようなものがあります。

「人は判断力の欠如で結婚し、忍耐力の欠如で離婚し、記憶力の欠如で再婚する」

”Marriage is the lack of judgement, divorce the lack of patience, and remarriage the lack of memory”

結婚と離婚を繰り返すということは「(相手に合わせる)忍耐力がない」「(結婚に向いているかどうかの)判断力がない」「懲りていない」と思われるのかもしれませんね。

年の差婚の離婚原因

価値観の違い

リクルートマーケティングパートナーズが2016年に行った「離婚に関する調査2016」に興味深いデータがありました。離婚理由で最も多かったのは「価値観の違い」だったのです。

そして2位から5位は「人生観の違い」「性格の不一致」「金銭感覚の違い」「夫婦の会話がない」でした。これらはすべて、年の差婚の夫婦においても発生しやすい原因といえます。

例えば1990年に30歳だった人はバブル景気を謳歌しています。就職活動時は「売り手市場」で内定も出やすい時代でした。

その18年後の2008年に30歳だった人は大不況のなかで社会人になり、最もバリバリ働く年齢のときにあのリーマンショックを経験しているわけです。

その両者が結婚したら、2018年には58歳と40歳になります。30歳という社会人として「多感」な時期を、まるで異なる経済状況ですごしたわけですから、価値観も人生観も金銭感覚も違って当然です。

性格は時代や価値観の変化によって変わることがありますし、価値観が異なれば会話がかみ合わないことも増えるでしょう。

こうしたことから、年の差婚夫婦が不仲になって離婚しても、本人たちも周囲もどこかに「仕方がないよね」という気持ちが芽生えてしまうのではないでしょうか。

参考:株式会社リクルートマーケティングパートナーズ ブライダル総研「離婚に関する調査2016(http://www.recruit-mp.co.jp/news/pdf/20160706_01.pdf)」※1

年齢に期待しすぎる

年上の魅力はなんでしょうか。「包容力がある」「経済力がある」「落ち着きがある」などが代表的なところでしょうか。 一方で年下の魅力はなんでしょうか。

「活力がある」「可愛げがある」「生殖能力が高い」などでしょうか。これらの年齢に由来するものは、確かに結婚を考えるうえで魅力的な要素かもしれません。

しかし、これらのような年齢に起因する要素は、年齢や生活、環境の変化によって変わるものでもあります。

包容力があった人も、昇進し、仕事が忙しくなると家庭でも上から物を言ったり家庭を顧みないこともあるかもしれません。若くて可愛げのあった年下の人も、いつまでも若いわけではありません。

年の差は埋まりませんが、成長スピードは個々に違います。結婚後、年下の方が年上の方よりも精神的に上回ることもあるでしょう。

いずれにせよ、結婚後「こんな人ではなかったのに」と落胆するのは、年齢に期待しすぎたためともいえるでしょう。

男性が年上あるいは女性が年上に違いはあるか

男性が年上あるいは女性が年上に違いはあるか

年の差婚といっても、男性が年上の場合と女性が年上のケースでは、不仲・離婚原因は変わってきます。

男性が年上の年の差婚夫婦の場合

男性が年上の場合は、男性が威張りすぎると破綻するリスクが高まります。

「女より男のほうが強くて賢い」という信念を持つ男性が、さらに「年上はうやまわれるべきだ」という気持ちを持っていると、どうしても年下の妻を下にみてしまいます。

しかも夫にそれなりの社会的な地位があると、「妻子を養ってやっている」という尊大な気持ちを抱くこともあります。こうした状況が長期化すると、妻のストレスは相当大きくなります。

さらにここに夫のリストラといった経済問題が発生すると、妻には「裕福な暮らしができていたから我慢していたけど、もう限界」という感情がわき、離婚を決意するかもしれません。

女性が年上の年の差婚夫婦の場合

女性が年上の場合は、男性に卑屈な感情が芽生える可能性があります。

例えば、30歳の夫の年収が300万円、40歳の妻の年収が600万円だったとします。この段階であれば、夫にはまだ伸びしろがあるので、卑屈な気持ちは起きません。

しかしその10年後に、40歳の夫の年収が600万円で、50歳の妻の年収が800万円になったらいかがでしょうか。夫もしっかり年収をアップさせていますが、妻はさらにその上をいってしまっています。

これだけ稼いでいるダブルインカム世帯なので、そのころには素敵な家を建てているかもしれません。しかし家に遊びに来てくれる友人たちは「奥さんが稼いでいるからね」と想像するでしょう。

年下夫がその雰囲気を察知すると面白くないはずです。夫はいつも「妻に負けている」状態になり、この負の感情は離婚の引き金になりえます。

また、「今は若いから収入が少ないけど、そのうち増えるからそれまでは我慢して養ってあげよう」と、いわば投資のような気持ちで結婚に踏み切る人もいるかもしれません。

しかし、リーマンショックなど世界的な不況が起きたりするかもしれませんよね。そうでなくても、必ず年下の夫の収入が増えるかどうかはわからないわけです。

そうなると「いつまでも自分ばかりが養っている」という気持ちが芽生えるかもしれません。

男性が年上の年の差婚の離婚回避のポイントとは

では、どうすれば年の差婚離婚を回避できるのでしょうか。

例えば、年上の夫がリストラに遭って年収がかなり下がる会社に転職した事例があります。

このとき、

若い妻が『私がパートに出れば生活水準を落とさずにやっていけるよ』と励ましたことで、夫婦の絆はかえって強まった

そういった夫婦もいます。

こうした関係を築くにはどうしたらいいのでしょうか。

答えは簡単です。年上夫が「男だから」「一家を支えているから」「高学歴だから」「体力が勝っているから」「会社や社会に相当な地位があるから」という理由で威張らなければいいのです。

男性が年上の年の差婚夫婦の場合、結婚生活が長くなるほど、夫は加速度的に魅力が落ちていくのに、妻はまだまだはつらつとしています。

そのとき夫は妻に「俺は外出がしんどい年齢になったけど、お前は気にしないで遊んでおいでよ」と言ってあげたらいいのです。

男性が年上の年の差婚をうまく乗り切るには、夫の余裕のある態度が重要になるでしょう。また若い妻は常に「自分より夫のほうが早く老ける」ことを意識しておくといいでしょう。

「妻が30歳、夫が45歳」でも「妻が50歳、夫が65歳」でも同じ15歳差です。しかし45歳の夫と65歳の夫は、気力、体力、意欲、性欲すべてまるで別人のごとく変わっています。

妻が夫の老いを理解してあげられると、妻のなかに夫への優しさが芽生え、末永く2人で過ごすことができるはずです。

女性が年上の年の差婚の離婚回避のポイントとは

女性のほうが年上の年の差婚の夫婦は、どのような気遣いをすれば離婚を回避できるでしょうか。

年上の妻の収入のほうが夫の収入より上回る場合、妻が男のプライドを理解できると夫のナーバスな気持ちを察することができるようになります。

他人が居るときに妻が夫を立てる態度を取ると夫は安心できます。また年下の夫も、妻にかなわないことを潔く受け入れましょう。相手は年上なのですから人生経験が豊富なのです。

自分にできないことを妻が軽々こなしても、嫉妬するのではなく感謝したり学んだりすればいいのです。

お金に色はついていません。妻の年収が自分より高くても、家計の銀行口座に入ってしまえば「我が家のお金」です。家計が潤えば、誰がお金を持ってきてもハッピーになれるはずです。

年下の夫は、妻の女性としての魅力が自分の予想より早く薄れることを受け入れる準備をしておいたほうがいいでしょう。

年下の夫は、自分と同年代の友人の妻と会ったときに、自分の妻の老い方にショックを受けるときが必ずやってきます。

その老いを「円熟味」とポジティブにとらえることができると愛を維持できます。

まとめ

年の差婚夫婦の離婚についてみてきましたが、夫婦の年齢差が大きいことにはメリットもあります。

例えば夫婦で二世代分の価値観を持つことができるので、視野が広がり知恵が増え、さまざまな困難を乗り越えることができます。

また年上の人は落ち着いていて洞察力もあるので若い方の配偶者は安心できます。相手を気遣う気持ちの総量の多さが幸せにつながるのは、年の差婚も同年代婚も同じなのです。

これから年の差のある相手と結婚を考えている人や配偶者と年が離れている方は参考にしてください。

※1 株式会社リクルートマーケティングパートナーズ ブライダル総研「離婚に関する調査2016

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