年金分割するなら情報通知書が必要!知っておくべき請求方法と注意点。

その他離婚理由
年金分割するなら情報通知書が必要!知っておくべき請求方法と注意点。

離婚をしたいと思ったら「一刻も早く配偶者と離れたい」と思う方も多いと思います。しかし、急いで離婚した結果、時間が経ってから後悔することもあるのだとか。そのひとつが、年金に関わる問題です。

熟年離婚を例に取り上げてみましょう。妻が専業主婦で、婚姻中は会社員の夫に扶養されていたとします。そうすると、離婚後に妻が受け取れる年金は国民年金のみとなり、ごく少額になってしまいます。

この年金について、夫が支払ってきた厚生年金保険料の納付実績を、夫婦の共有財産として分割する制度が「年金分割」です。

妻(もしくは夫)からの年金分割の申し立てに、もう一方が同意しなければ裁判にまで発展することもあります。年金分割をする際、必要になるのが「情報通知書」という書類です。

今回は情報通知書についての詳しい解説や、必要になる理由、請求の流れや注意点などを紹介します。

目次
  1. 年金分割のために必須!「情報通知書」とは。
    1. 年金分割をする側とされる側の情報
    2. 年金分割可能な割合の下限
  2. 情報通知書の請求に必要なものと請求方法
  3. 情報通知書を請求するタイミングは婚姻中がおすすめ!
    1. 婚姻中と離婚後における情報通知書の交付先について
    2. 請求者の報酬額が多かった場合は要注意
  4. 年金分割を求める場合は公正証書を用意すればスムーズに
  5. まとめ

年金分割のために必須!「情報通知書」とは。

年金分割は婚姻中の標準報酬額が多かったほうが少なかったほうに年金の納付実績を分ける制度です。

たとえば夫が会社員としての収入で家計を支え、妻はパート勤務で自分のお小遣い程度の収入を得ていたとします。

妻の収入の方が少なかったことになりますので、夫が妻に年金の納付実績を分ける形になるわけです。

年金分割を希望する場合、夫婦それぞれがどれくらいの割合で分割するかを協議あるいは裁判で決定する必要があります

この割合を決定するために必要な情報をまとめたものが情報通知書と呼ばれる書類です。情報通知書に記載されている内容は以下のとおりです。

年金分割をする側とされる側の情報

情報通知書においては、年金分割する側(標準報酬額が多い方)を「第1号改定者」、される側(標準報酬額が少ない方)を「第2号改定者」と表示します

情報通知書にはこの両者の氏名や生年月日、基礎年金番号が記載されています。

年金分割可能な割合の下限

まず、年金分割の上限は50%です。分割できる年金の割合は最大でもお互い半々までとなります。

そのため情報通知書には「○○%を超え、50%以下」と記載されており、これを按分割合と呼びます。そのほか、

  • 婚姻期間
  • 対象期間標準報酬総額
  • 対象期間(年金分割の対象となる期間)

などの情報も記載されています。情報通知書が必要になる場面としては、年金分割について協議するときや分割の合意が取れずに調停の場へ持ち込むことになったときです

按分割合を決定するにあたり、公証人は上記の事柄を確認したうえで離婚公正証書を作成します。

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情報通知書の請求に必要なものと請求方法

情報通知書を請求するにあたり、必要な書類は以下のとおりです。

  • 年金分割のための情報提供請求書
  • 請求者の年金手帳もしくは基礎年金番号通知書
  • 婚姻期間を確認できる書類(市区町村の証明書もしくは戸籍謄本・抄本など)
  • 事実婚関係の場合はそれを明らかにできる書類(世帯全員の住民票の写しなど)
  • 国民年金第3号被保険者加入期間証明書

「年金分割のための情報提供請求書」は年金事務所でもらうか、日本年金機構のwebサイトからダウンロードすることもできます

その他の書類は、いずれも市役所・区役所で簡単に手に入れられる書類ばかりですので抜け漏れなく用意しておきましょう。

上記の書類を持参したうえで以下の場所にて請求をおこないます。請求場所は会社員か公務員かで異なります。

さらに公務員のなかでも国家公務員か地方公務員かによって請求をおこなう場所が異なるため注意が必要です。

  • 会社員の場合:地域の年金事務所、年金相談センター
  • 国家公務員の場合:国家公務員共済組合、共済組合連合会本部
  • 地方公務員の場合:共済組合、全国市町村職員組合連合会、地方公務員共済組合連合会

請求後、情報通知書が郵送されてくるまで1週間程度とされています。しかし、公務員や私立の学校教員であった場合には、やや時間がかかり1ヵ月程度かかることもあるようです。

書類を用意したり窓口に足を運んだりと手間を感じてついつい後回しになってしまいそうですね。しかし、離婚に向けた準備をスムーズに進めるためにも早めに手配しましょう。

参考:日本年金機構「年 金 分 割 の た め の 情 報 提 供 請 求 書

情報通知書を請求するタイミングは婚姻中がおすすめ!

情報通知書を請求するタイミングは婚姻中がおすすめ!

前述の「年金分割のための情報提供請求書」は全8ページの書類です。聞き慣れない項目も多く記入するには難易度の高い書類です。

情報提供請求書に記入するのは前半4ページ分です。後半4ページには記入方法についての詳しい解説が載っていますが読むだけでも大変です。

また、ところによっては記入の必要がない項目もあります。何を書けばいいのか分からず詰まってしまったり誤った情報を記入して修正だらけになっては、それだけで精神力を使いそうです。

所定の請求窓口にて、スタッフに説明を聞きながら記入するのが安全でしょう。

また、情報通知書を請求するのは婚姻中をおすすめします

もし離婚後に請求すると思わぬトラブルに発展することもあるため注意が必要です。以下はトラブルの一例ですので参考にしてみてください。

婚姻中と離婚後における情報通知書の交付先について

情報通知書は、婚姻中に請求すると請求者のみに届き、離婚後に請求すると元夫・元妻の両方に交付されます。

よって、請求していない側にも届くことにより年金分割の手続きを進めていることに気づかれてしまうのです

離婚しているのであれば年金分割は正当な権利であり、なんら問題ないと思ってしまいそうですよね。

しかし、まだ年金分割をするかどうかが決まっておらず、情報通知書を見て決めるつもりだったとします。

婚姻中の請求であれば情報通知書は請求した人のところにだけ交付されます。したがって、自分だけが情報通知書の結果を確認し、そのうえで年金分割の手続きをやめることもあります。

しかし、離婚後に請求すると元夫・元妻も情報通知書を見ることになります。したがって自分の判断だけで手続きをするかどうかが決めにくくなるのです。

請求者の報酬額が多かった場合は要注意

離婚後に情報通知書を請求した際にトラブルになる状況としてありがちなのは「情報通知書を請求した側の標準報酬総額が、請求していない側より多かった場合」です。

離婚後の請求では両者に情報通知書が交付されますので、これにより請求していない側も按分割合を知ることになります。

請求していない側にそもそも年金分割の知識がなかったとしても、この情報通知書をきっかけに年金分割を求められる可能性が高いのです。よって、離婚後の年金分割を検討していて、

  • 自分が第1号改定者、第2号改定者のどちらに該当するのか
  • 按分割合はいくらになのか

を知りたい場合は離婚前に情報通知書を請求するようにしましょう。

年金分割を求める場合は公正証書を用意すればスムーズに

離婚したいと思ってから、すぐに離婚届の提出までいたるケースはまれです。話し合いがもつれると、調停になったり弁護士を依頼したりと、なにかとお金や時間がかかるものです。

また、離婚後に揉めないためには公正証書を作成しておくのが安心です。年金分割を希望する場合も、その旨を公正証書に記入しておきましょう。

費用を抑えたいという気持ちから自分で作れるものなら自分で作りたいと思うかもしれません。しかし、ここは専門家である弁護士の力を借りるべきです。

なんといっても弁護士はその道のプロです。離婚に際し、可能なかぎり好条件を得られるよう、依頼者をサポートしてくれます。

自分ひとりで悩んだ挙句、間違った公正証書を作成してしまっては効力がなくなったり抜け漏れが発生してしまうこともあります。

いざ年金分割をしようと考えても、離婚となるとその他の手続きも重なります。慣れない書類の記入に追われたり、疑問点が出てきたりして、なかなか前に進めないこともあるでしょう。

離婚自体、精神力も体力も大幅に削られるものです。そのうえで公正証書の作成まで重なってくると身も心も疲弊してしまいます。

ですから、弁護士に依頼し、間違いのない公正証書を用意するべきです。弁護士なら分からないことを気兼ねなく相談できます。

離婚をして新たなスタートを切るためには、どんな些細な時間でも立ち止まっていたくないものですよね。

スムーズで穏便に離婚までの手続きを進めるためにも弁護士に依頼することをおすすめします。

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まとめ

離婚を決めたら、すぐに離婚届を提出し、早く問題から逃げ出してしまいたいものです。しかし、弁護士など活用できる制度を存分に利用することで新たな生活が潤うこともあります。

婚姻中、妻が夫の扶養に入り、夫が年金の支払いを負担していた場合は「分割してもらったら悪いかな…」と尻込みしてしまうこともあるかもしれません。

しかし、夫が働いている間に家庭を守っていたのはまぎれもなく妻です。ですから、正当な制度と割り切り、請求をおこないましょう。

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