仮面夫婦は離婚で幸せになれる?仮面夫婦に陥る原因と関係を改善する方法
「仮面夫婦」
テレビやドラマなどで聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。
「人前では仲の良い夫婦のように振舞っているけど、夫婦間の愛情はすっかり冷えきっている」「離婚したいけど世間体や子供のことを考えると踏み切れない…」
こんなとき、自分たちが仮面夫婦なのではないかと考える人もいるでしょう。
この記事では仮面夫婦を続けるリスクや関係を改善する方法について解説します。
- 目次
仮面夫婦とは
仮面夫婦とは、夫婦の愛情がなくなったにも関わらず、他人の前ではうまく行っているように演じている夫婦のことをいいます。
仮面夫婦を続ける理由は夫婦や家庭の状況によってさまざまです。これについては後述します。
仮面夫婦の特徴
仮面夫婦の特徴には以下のようなものがあります。
互いへの関心がない
相手が何をしていようとまったく関心がないのが仮面夫婦の特徴です。
どこに行ったのか、なぜ帰りが遅いのかなど、相手の行動がまったく気になりません。むしろ、「いないほうが良い」と思っているケースもあります。
一緒にいても必要最低限の話しかしない
相手に関心がないため会話がありません。
子供がいる場合は、連絡事項など必要最低限の会話はありますが、基本的に「互いの感情や情報を共有したい」という気持ちがないため会話が生まれません。
一緒にいても笑顔がない
夫婦の間に愛情がなく関心もないため、一緒にいても楽しいはずがありません。したがって、一緒にいても笑顔や会話が生まれません。
スキンシップを嫌がる
セックスはおろか、手などに触れる程度のスキンシップでさえ嫌がることがあります。セックスをするとしても子作りのために嫌々行うことになります。
周りに配偶者の話をしない
仮面夫婦は相手に関心がありません。そのため、配偶者のことを誰かに話そうとすることがありません。
周囲には普通の夫婦のように見せている
仮面夫婦の大きな特徴は「対外的には仲の良い夫婦のように振る舞っている」ことです。
仮面夫婦であることを悟られないために、親族や家族など親しい人にも仲の良い夫婦として振る舞うことがあります。
仮面夫婦に陥る原因とは
仮面夫婦になろうとして結婚する夫婦はほとんどいいないでしょう。
愛情を感じて一緒になったはずの夫婦が、なぜ仮面夫婦に陥るのでしょうか。
浮気が発覚した
配偶者が浮気をしたことがきっかけで気持ちが離れてしまい、仮面夫婦になってしまうことがあります。
夫婦は信頼関係のもとに成り立つもの。信頼が失われれば愛情も薄れていきます。
セックスを拒まれた
セックスを求めても相手に拒まれ続ければ、セックスレスに陥ります。
さらに、セックスを拒まれ続けるとプライドが傷付きますし、相手に対して不信感が募ります。その結果、夫婦の気持ちが離れ、仮面夫婦になってしまうことがあります。
元々配偶者に対して関心がない
夫婦のなかには、初めから愛情らしい感情を持たずに結婚する夫婦もいます。
一概には言えませんが、授かり婚やお見合い結婚などで多く見られます。
最初から相手に関心がない状態で結婚したわけですから、夫婦の絆や関係性が深まらなくても何も感じません。
結婚後の配偶者を受け付けられなくなった
人は年齢や経験を重ねるにつれて、体力や外見だけでなく、価値観や考え方が変わることがあります。特に結婚すると生活スタイルや働き方などが変わることも多く、すれ違いが起きやすくなります。
多少の変化であれば受け入れられても、どうしても許容できない部分もあるでしょう。
一度嫌な部分が気になりだしたら、今まで気にならなかったことまで嫌になることもあります。
価値観の違いが露わになった
結婚する前は気付かなかったけれど、結婚したら価値観の違いが露わになることもあります。価値観の違う相手の場合、他人なら必要以上に付き合わなければ済む話ですが、夫婦だとそうは行きません。
「この人とは分かり合えない」と思ったら、家庭内で距離を取るようになっていきます。
仮面夫婦を続ける理由
「夫婦の愛情がないのに対外的に仲の良い夫婦を演じるくらいなら、離婚すれば良いのでは?」と思いますよね。
では、なぜ、そうまでして仮面夫婦を続けるのでしょうか。
子供のため
子供がいる場合、「子供のことを考えて離婚せず仮面夫婦を続けている」という場合があります。
一方、離婚してしまうと親権を取れる見込みがないため、仮面夫婦を続けているケースもあります。
離婚後の生活が心配だから
結婚後、専業主婦やパートなど生活費のほとんどを夫の収入に頼っていたという場合、離婚後の生活が不安で離婚しないケースも多いです。
共働きであった場合も、離婚すると住宅ローンの支払いができないなどの理由で、離婚せず仮面夫婦を続けていることもあります。
このように、愛情はないけど一緒に暮らしてさえいればお金に不自由しない生活が送れるため、仮面夫婦という生活を選択する夫婦もいるのです。
世間体が心配だから
世間体を気にして離婚しないという人もいます。
地方に住んでいる場合、近所付き合いが強く、離婚したことが広まりやすい傾向があります。さらに、親が世間体を気にする性格であれば、自分たちの離婚を反対されるケースもあります。
離婚そのものが仕事に影響することは考えにくいですが、「離婚するということは人間性に問題があるのではないか」と思われる可能性はあります。
特に芸能人はイメージを大切にする仕事です。離婚するとイメージが変わるため、敢えておしどり夫婦を演じていることもあるようです。
老後が不安
離婚後、再婚しなければ老後はひとりで生きていく必要があります。老後の生活や孤独死を避けるために離婚しないこともあるようです。
離婚自体が面倒だから
離婚の手続きは結婚よりも面倒です。
例えば、離婚では財産分与や親権、養育費といったことを決める必要があるのです。これらの問題は非常に揉めやすく、話し合いで解決しなければ調停や裁判でなければ離婚できないこともあります。
「そんな面倒な手続きを取らなければならないなら仮面夫婦のほうがマシだ」という理由で仮面夫婦を続けているケースもあるのです。
仮面夫婦を続けるリスク
離婚後のリスクや手続きを考えたら仮面夫婦を続けたほうがマシと思う人もいます。しかし、仮面夫婦を続けた場合にもリスクがあります。以下で詳しく見ていきます。
ストレスが溜まる
仮面夫婦を続ける場合、相手に愛情を感じていないにも関わらず、周りに対して仲の良い夫婦を演じ続けなければなりません。
会社や友人関係のなかでも仲の良いフリをすることはあるでしょう。でもそれは限定的なもの。家に帰れば嫌な人の顔を見ずに済みますし、家族に愚痴を言うこともできます。
しかし、仮面夫婦の場合、親族や家族、友人の前でも仲の良い夫婦として振舞わなければなりません。
仲の良い夫婦を演じる時間が長いとストレスが溜まりますよね。
子供の精神面に悪影響をおよぼす
子供は、その場の空気や会話で両親の関係性や違和感を敏感に察知します。このとき、「両親の仲が悪いのは自分のせいだ」と思い込み、精神的に不安定になることもあります。
また、親の気を引くために家出をしたり、不登校や自傷行為にいたったりするケースもあります。
仮面夫婦であることが周りにバレる可能性がある
いくら自然に振る舞っていても、仮面夫婦であることに周りが勘付いていることもあります。
周りから夫婦仲を心配されながら仲の良い夫婦を演じるのは大きなストレスになります。
浮気される可能性がある
仮面夫婦ですから配偶者に対してほとんど愛情を感じていません。こうなると、配偶者以外の異性に愛情を求めてしまう可能性もあります。
ただし、仮面夫婦であっても夫婦であることに違いはありません。
もし、不倫を理由に離婚することになった場合、不倫をした配偶者に対して慰謝料請求ができます。しかし、仮面夫婦であることを考慮された場合は一般的な相場より慰謝料金額が減額されることもあります。
熟年離婚の可能性も
本当は離婚したいのに、子供のため、生活のためと思って仮面夫婦を続けているわけですから、制約がなくなれば離婚する可能性が出てきます。
特に子供の手が離れたタイミングというのが典型的です。つまり、仮面夫婦は熟年離婚の可能性も高くなるのです。
夫婦関係を解消して離婚したほうが良いケースとは
離婚のリスクを回避するために仮面夫婦を選択したのに、仮面夫婦にもさまざまなリスクがあります。では仮面夫婦ではなく、離婚したほうが良いのはどのようなケースでしょうか。
配偶者が不倫している場合
配偶者が不倫をしているだけでなく、不倫していることを隠す気もないという場合は離婚したほうが良いでしょう。
仮面夫婦を選択している人のなかには「不倫をしていてもお金を家に入れてくれるならそれで良い」という人もいるでしょう。
しかし、不倫を隠すこともなく不倫関係を解消する気もない場合、不倫相手に貢ぐようになったり、生活費を入れなくなったりする可能性もあります。
挙句の果てには不倫相手にのめり込み、「離婚してくれ」といわれる可能性もあります。
仮面夫婦から脱却して夫婦関係を改善するには
仮面夫婦と離婚にはどちらもリスクがあります。ここからは、仮面夫婦から脱却して夫婦関係を改善する方法について見ていきます。
夫婦の会話を増やす
まず、大前提として夫婦の間に会話を増やすことが大切です。
円満な夫婦には会話があります。どのようなことでもかまいません。仕事のこと、子供のこと、最近気になるニュースなど、話題を見つけたら相手に話しかけてみましょう。
話す時間は短くてもかまいません。夫婦関係を改善するためにも、なるべく二人きりで話すのが良いでしょう。
感謝の気持ちを伝える
仮面夫婦でなくても、一緒に暮らしていると、自分のために相手がしてくれたことを当然のように感じてしまい、感謝の気持ちを伝えずにいることが多くなります。
まずはこちらから相手に日頃の感謝の気持ちを伝えましょう。
感謝の気持ちが伝われば相手だって感謝の気持ちを伝えてくれるかもしれません。
「いつもありがとう」
「君がいてくれてよかった」
「感謝しているよ」
どんなに冷え切った関係でも、「ありがとう」と言われたら嫌な気はしませんよね。
夫婦カウンセリングを受ける
最近は夫婦関係を改善するための「夫婦カウンセリング」といったサービスもあります。
夫婦カウンセリングでは、カウンセラーが間に入り、夫婦の話を整理することで問題解決を図っていきます。
夫婦関係調整調停(円満)を行う
夫婦関係を改善するには、裁判所に夫婦関係調整調停(円満)を申し立てる方法もあります。
夫婦関係調整調停(円満)とは、夫婦が円満でなくなった場合に、当事者双方から調停委員が事情を聴きとり、夫婦関係がこじれた原因や解決策について助言を行うものです。
夫婦関係が改善しない場合
どれだけ夫婦関係を改善しようとしても関係が改善しないこともあります。この場合は離婚も視野に入れた検討が必要です。
ルールを作り家庭内別居する
夫婦関係の修復は不可能だが離婚はデメリットが多すぎる…そんな場合は一定のルールを作ったうえで家庭内別居するのもひとつです。
仮面夫婦と家庭内別居は似ていますが、家庭内での夫婦の居住スペースを別にし、家のなかでの接触をなくしてしまうのが家庭内別居になります。
別居する
仮面夫婦のすえに離婚を望む場合はまず別居することを考えましょう。
実は、仮面夫婦という理由だけで離婚するのは困難な場合があります。一定期間別居することで「夫婦関係が破綻している」とみなされれば、離婚できる可能性が高くなります。
なお、離婚を認めてもらうためには、少なくとも5年以上の別居が必要と言われています。仮面夫婦という理由だけで離婚するのが困難な理由については次で説明します。
離婚する
離婚には協議離婚・調停離婚・審判離婚・裁判離婚の4つの種類があります。
協議離婚とは、夫婦が話し合い、合意が得られることで成立する離婚です。
協議離婚であればどのような理由であっても離婚が可能です。しかし、離婚は親権や財産分与、養育費など決めなければならないことが多く、揉める傾向があります。
夫婦の話し合いが成立しなかった場合、家庭裁判所に離婚調停を申し立てます。離婚調停とは調停委員を介した話し合いですので、調停を行ったからといって必ずしも離婚が成立するとは限りません。
仮面夫婦とひとり親のどちらに育てられたほうが子供は幸せか
一般的に、「子供の健全な成長のためには、父親・母親両方から愛情を注がれているほうが良い」と考えられています。
しかし、いがみあい、不穏な空気のなかで我慢して生活する親を見て育つことは、子供にとって良いとは言えません。
仮面夫婦とひとり親、どちらに育てられたほうが良いかは家庭の事情によって異なりますので、一概には言えません。子供の年齢や性格によっては、子供自身に意見を聞いてみるのも良いかもしれません。
まとめ
仮面夫婦を継続するリスクや夫婦関係を改善する方法について解説しました。
仮面夫婦と離婚、どちらを選択したほうが良いかというのは難しい問題です。しかし、我慢を続けていても疲弊してしまうだけです。
夫婦関係の改善が見込めないと思ったら、離婚を視野に入れて考えてみるのも良いでしょう。
ただし、仮面夫婦から離婚するには事前準備が必要です。弁護士に相談しながら進めていくことをおすすめします。
当サイト「離婚弁護士相談リンク」は離婚問題に強い弁護士を厳選して掲載しています。お気軽にご利用ください。
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