再婚したら養育費は減額可能?できるケースとできないケースを解説!
そんなとき、気になるのが養育費。
新しい家族と生計を築くのに、養育費は支払う側にとっても受け取る側にとっても確認すべきことがあります。
この記事では、再婚した場合の養育費はどうなるのか?減額できる・できないケース、養育費の減額請求方法などをご紹介します。
- 目次
そもそも養育費とは?
子供がいる夫婦が離婚する際には、必ず親権者を決めなければいけません。
離婚後、親権者となった親は一人で子供を守る環境になりますが、それは並大抵のことではありません。
例え離婚して離れ離れになったとしても、子供に対する責任は平等です。
養育費はその責任の一つとも言えます。
離れて住む親には養育費の支払い義務がある
母子家庭における養育費の受給率は、2割程度と言われています。
この結果だけ見ると、養育費は支払っても支払わなくても良いように捉えられるかもしれません。
しかし、養育費は子供の権利として認められており、子供と離れて暮らす親は収入に応じた養育費を支払うのが原則です。
親権者が養育費の受け取りを拒否するなど、特別な事情がない限り支払う必要があります。
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母子家庭への未払い率8割!養育費が不払いになったときの対処法とは?
離婚後の養育費を相場より高くする方法と支払いがないときの対処法。
子供への愛情表現にもなる
子供は身近で世話をしてくれる人に愛着を持つ傾向にあります。
離れてしまった親に、複雑な感情を抱くこともあるでしょう。
それでも養育費を支払い続けることは「子供のことを大切に思っている」という証になります。
養育費の支払いが経済的負担になることもあるでしょうが、子供の心を守るためにも支払い続けることは大切です。
基本的に20歳になるまで支払う必要がある
養育費の支払いは、一般的に20歳までとされています。
ただし、離婚時に「大学卒業まで」と取り決めた場合は、卒業するまで支払わなければなりません。
養育費に関しては、離婚時の取り決めがカギになることもあります。
養育費の取り決め方を再確認しましょう
養育費は支払う必要のあるもの、子供への愛情表現に代わるもの、決定した年齢まで払うことが基本です。
これまで自分が養育費を払ってきたが再婚してこれまで通りの支払いが厳しくなったとき、元配偶者が再婚で養育費の支払いを滞っているとき、今一度養育費の取り決めを確認しましょう。
口頭で取り決めをしていた場合
支払い義務者
口約束で養育費を決めた場合、法的拘束力はありません。
支払いを滞ったからと言って、即時回収されるということはないでしょう。
ただし、「養育費請求調停」を起こされる可能性があるので、その場合対応が必要です。
親権者
口頭で取り決めた養育費が支払われない場合、「養育費請求調停」を起こせます。
この調停では、実際に子供の扶養にかかる金額、双方の収入や事情、資料の提出などを行います。
その内容によって、支払いの可否・金額・支払い方法・期限が決められます。
離婚協議書で取り決めをしていた場合
支払い義務者
離婚協議書は重要な書類ですが、口頭の取り決め同様、法的拘束力はありません。
ただし、夫婦間で合意して交わした約束事が書面として残っており、元配偶者が調停を起こした場合は重要な証拠になります。
親権者
離婚協議書で決めた養育費が支払われない場合、口頭の取り決め同様に「養育費調停」を起こしましょう。
口頭のみの約束とは違い、離婚内容に合意した証拠があるので、よりスムーズに進むでしょう。
離婚協議書の効果をより強固なものにするためには、相手の同意を得て公正証書にしておくという手段もあります。
公正証書で取り決めをしていた場合
支払い義務者
離婚協議書を公正証書している場合は、法的拘束力が発生します。
養育費の支払いを滞った場合、給料や預貯金を差し押さえられることがあります。
支払えない事情があるのであれば、強制執行に踏み切られる前に親権者に連絡・相談をしましょう。
ただし、公正証書は約束が履行されなかった場合に備えて作成されるものです。
相談しても取り合ってもらえず、強制執行の手続きを取られる可能性もあります。
親権者
公正証書に強制執行認諾文言『養育費の支払いについて、記載の債務履行を遅滞したときには直ちに強制執行に服する』などの文言が入っていれば、給料や預貯金を差し押さえることができます。
ただし、支払い義務者に給料や預貯金がない場合は回収することが難しくなり、離婚後に住所や職を変えるなど、所在不明になった場合は調査に時間も費用も要します。
公正証書には回収効力はありますが、相手の経済事情や所在不明の際にはリスクがあることを覚えておきましょう。
再婚したら、養育費は減額できる?
「再婚すれば養育費は減額できる」「相手が再婚すれば支払い義務がなくなる」とは言い切れません。
減額できるケース、できないケースがあるので、しっかりと把握しておきましょう。
養育費の支払いが減額可能になるケース
経済的事情は、予期せぬことで変わることがあります。
一般的に養育費の減額が認められやすいケースは以下です。
支払い義務者の収入が減った
病気やケガ、リストラ、会社の業績不振など、予期せぬ事情で収入が減ってしまった場合は、養育費の減額が認められます。
再婚で新しい家族の扶養義務が発生した
支払い義務者が再婚し、新しい妻や子供の扶養義務が発生すれば、今までより生活費は膨らみます。
これまで通りの養育費を支払い続けることで、新しい家族との暮らしが苦しくなることが予想できるので、減額請求は妥当と判断される可能性があります。
親権者の収入が増えた
養育費は双方の収入から算出されます。
親権者の収入が離婚時より増えている場合、算定表に基づいた金額の見直しを行うことができます。
親権者が再婚をした
親権者が再婚し、新しい配偶者と子供が養子縁組をした場合も減額できる可能性があります。
ただし、血のつながった子供に対しての扶養義務がなくなることはありません。
親権者から養育費の支払いを辞退されない限り、減額は認められても支払わなくて良いということにはなりません。
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子連れ再婚|子供を連れて幸せな再婚をするために知るべき7つのこと
養育費の減額が認められないケース
続いては、養育費の減額が認められにくいケースをご紹介します。
減収することが予測できた
養育費を支払う側の収入が減ったからと言って、一概に減額できるわけではありません。
自己都合で退職をしたり、給料が低くなると分かっていながら転職した場合は認められにくいでしょう。
あくまで減収が予測できたか、できなかったかが争点になります。
合意後に養育費が相場より高いと知った
養育費の取り決めは、基本的に夫婦で行います。
養育費の金額に合意して離婚したにも関わらず、後になって「金額が相場より高いとわかったから減額しろ!」というのは通用しません。
支払い義務者にも生活があるので、減額してほしいという気持ちは当然ですが、金額に合意して公正証書などに残している場合は簡単には減額できないでしょう。
養育費の相場は、家庭裁判所が作成した「養育費・婚姻費用算定表」というもので確認できます。のちのち後悔しないよう、養育費の相場は離婚時に必ず確認してください。
参考:裁判所「養育費・婚姻費用算定表(https://www.courts.go.jp/tokyo-f/saiban/tetuzuki/youikuhi_santei_hyou/index.html)」※1
子供と面会ができない
養育費と面会は交換条件に考えられがちですが、両者の義務と権利は全く別物です。
面会の有無は関係なく、養育費の支払い義務は発生します。
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面会交流権|離婚後も子供と面会するには?
減額になる場合の養育費の相場と算出法
再婚などによって養育費が減額になる場合、どれくらいの金額になるのかが気になりますよね。
一般的に養育費は、支払い義務者・受け取り側の収入や子供の人数・年齢などによって、算出されます。
しかし、養育費支払い義務者が再婚して新しい配偶者に子供がいる場合は少し複雑です。
まず、支払い義務者と親権者の基礎収入を算定し、基礎収入率を計算します。
基礎収入率とは、収入のうちどれくらいが生活費として必要かを職種・収入から割り出しています。
さらに子供の年齢から生活指数(20歳を100としたときの子供の必要生活費の数値)を出し、「基礎収入」と「生活指数」を合わせて養育費を算出します。
もちろん再婚相手の年収、子供の年齢・人数によっても金額は変わります。
このように養育費を減額する際は複雑で専門的な知識を要するため、間違いを防ぐためにも弁護士に依頼して正確な金額を算出してもらう方が賢明です。
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離婚の養育費の相場|できるだけ多くもらう方法とは
元配偶者が知らないうちに再婚していたら返還請求が可能?
離婚後は子供に関する必要最低限の連絡しかしないという夫婦も多いはずです。
再婚することをいちいち報告する必要はないと、知らせないこともあるでしょう。
しかし、何かのきっかけで支払い義務者が元配偶者の再婚を知ることもあります。
その際トラブルになりやすいのが、養育費です。
「再婚していたのなら、その期間の養育費を返してほしい!」と訴えられる方もいますが、返還請求が認められるのは極めて難しいというのが現状です。
先にも述べたように、血のつながった子供に対しては扶養義務があります。
諸事情で減額を認められたとしても、まったく支払わなくていいということは稀です。
ただし、子供と養子縁組をしていた場合、第一扶養者は養父(母)になり扶養義務が発生します。
この場合、減額や免除が認められることもありますが、養父(母)の経済状況や健康状態によってはこれまで通りの支払いが求められる可能性もあります。
もし、元配偶者が再婚する際に養育費の減額を望むのであれば、離婚協議中に「再婚する際は知らせる」という旨を約束してもらうようにしましょう。
養育費の減額請求方法
再婚や減収で養育費の減額を望む場合、どのような方法・手続きが必要なのか説明します。
まずは元配偶者と話し合う
減額したい場合は、まず元配偶者に事情を伝え、話し合いましょう。
離婚と同じで、双方の間で合意ができれば第三者機関の介入は不要になります。
公正証書を作成していた場合は、減額後の金額を示す公正証書を再度作成してください。
養育費減額調停を申し立てる
話し合いに応じてくれない、減額を拒否されたという場合は、家庭裁判所に養育費減額請求調停を申し立てましょう。
申立てが済んだら相手方に申立書が届き、調停期日が決定されます。
その後、家庭裁判所にて双方の状況を明らかにし、養育費の妥当な額を決定します。
審判手続きをする
調停で話し合いが決裂した場合は、自動的に審判手続きに移行します。
家庭裁判所に提出された双方の年収や状況などから、裁判官が妥当な養育費を決定します。
この際、減額が認められる場合もありますし、認められないこともあります。
結果に不服がある場合は、2週間以内に不服申し立てを行い、高等裁判所で再審理を行うことになります。
まとめ
再婚には、新たな責任を背負う覚悟が必要です。
特に養育費を支払っている人にとっては、経済的負担が一層重くなります。
もちろん新たなパートナーや子供も大切ですが、離婚して離れ離れになった子供も同じくらい大切です。
「再婚したから支払わない」のではなく、減額しても支払い続ける姿勢を見せ続けましょう。
あまりに不当な場合や、どうしても減額に応じてくれない場合は一度弁護士にご相談ください。
当サイト「離婚弁護士相談リンク」には女性・男性に関わらず、離婚問題に強い弁護士を多数掲載しています。お気軽にご利用ください。
※1 裁判所「養育費・婚姻費用算定表」
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