退職金は財産分与の対象になる?意外と知らない離婚のお金事情。

財産分与
退職金は財産分与の対象になる?意外と知らない離婚のお金事情。

離婚の際、婚姻中に築いた共有財産を夫婦で公平に分けます。これを財産分与といいます。しかし、夫婦の共有財産は預貯金だけとは限りません。

では退職の際に勤務先から受け取る退職金についてはどう考えれば良いのでしょうか。ここでは、財産分与における退職金の考え方や請求方法について詳しく解説します。

目次
  1. 財産分与とは
    1. 婚姻中の共有財産すべてに対して財産分与をおこなう
  2. 基本的に退職金も財産分与に含まれる
  3. すでに退職金を受け取っている場合
    1. 退職金が残っていることが前提
    2. 勤務年数と婚姻年数の割合で算出される
  4. まだ退職金を受け取っていない場合
    1. 退職金の支払いは使用者の義務ではない
    2. 退職するまでの期間が空く場合は要注意
    3. 配偶者の勤務態度も考慮される
    4. 勤務先の経営状況が健全かどうか
    5. 財産分与を受けた退職金の支払い時期と算出方法
  5. 退職金の財産分与の請求方法
    1. 夫婦が話し合って決める
    2. 離婚調停を申し立てる
    3. 離婚裁判を起こす
  6. まとめ

財産分与とは

財産分与とは、離婚をする際に婚姻中に夫婦で築いた財産を分け合うことです。配偶者が亡くなった場合、財産の2分の1を相続の際に受け取ります。

一方、離婚する場合、他人になるわけですから財産はその時点で精算しておく必要があります

婚姻中の共有財産すべてに対して財産分与をおこなう

婚姻期間中に夫婦で築いてきたと言える財産であれば、夫の名義、妻の名義のどちらの財産も財産分与をおこないます

また、特別な理由がない限りそれぞれの財産分与の割合は2分の1です。

結婚前から持っていた財産や相続した財産など夫婦で協力して得たわけではないものは「特有財産」といい、財産分与をおこないません。

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基本的に退職金も財産分与に含まれる

退職金は勤務年数に応じて積み上がっていくものです。たとえ専業主婦であったとしても、妻が家事や育児を引き受けたことで夫が仕事に集中できたわけです。

つまり、財産分与においては「夫が給与や将来の退職金を得ることを妻がサポートしてきた」と考えます

妻の内助の功を得て勤務してきた期間に積み上がった退職金は夫婦で分与しなければ公平ではないですよね。ただし、将来の退職金には不確定な要素があります。

現代は会社員も定年まで勤務するか分かりませんし、勤務先が倒産しないとも限りません。

このように、財産分与で退職金がもらえるのか、もらえる場合にどのように分与すれば良いのかについてはいろいろな見解があります。

すでに退職金を受け取っている場合

まだ退職金を受け取っていない場合

離婚の段階で配偶者がすでに退職金を受け取っている場合、財産分与で退職金はもらえます。ただし、必ずしも配偶者が受け取った退職金の半分をもらえるとは限りません。

退職金が残っていることが前提

退職金の財産分与をおこなう際、受け取った退職金が離婚の際に残っていることが前提になります

退職してかなりの年月が経過したあとに離婚する場合、退職金が残っていないこともあります。この場合、財産分与で退職金がもらえないこともあります。

勤務年数と婚姻年数の割合で算出される

離婚の際に退職金が残っている場合、財産分与で受け取ることができます。

財産分与でもらえる退職金は、勤務年数(退職金を形成した期間)と婚姻年数(退職金形成にどれだけ貢献したか)の割合をもちいて計算します

たとえば勤務年数38年のなかで婚姻年数が19年であれば、配偶者が受け取った退職金の4分の1を受け取ることになります。

まだ退職金を受け取っていない場合

まだ退職金を受け取っていない場合は財産分与の考え方が複雑になってきます。

退職金の支払いは使用者の義務ではない

そもそも、使用者に退職金を支払う義務はありません。退職金を支払う場合は就業規則に記載しておく必要があるだけです。

労働基準法第89条 

常時10人以上の労働者を使用する使用者は、次に掲げる事項について就業規則を作成し、行政官庁に届け出なければならない。次に掲げる事項を変更した場合においても、同様とする。

3 退職に関する事項(解雇の事由を含む)

3の2 退職手当の定めをする場合においては、適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算及び支払の方法並びに退職手当の支払の時期に関する事項

したがって、勤務先の就業規則に退職金の支払いについて記載があるか、またどのような記載内容になっているのかを確認する必要があります。

退職するまでの期間が空く場合は要注意

離婚から退職するまでの期間が短い場合は退職金を受け取る見込みが高いため、退職金も財産分与を受けると考えて良いでしょう。

一方、離婚してから退職するまでの期間が空く場合、実際に退職金がもらえるかわかりませんよね。このような場合は財産分与の際に退職金がもらえない可能性が高いです。

離婚してから配偶者が退職するまで10年以上空いてしまう場合、退職金の財産分与を受けたいのであれば「退職金を受け取ることが確実だ」ということを主張していく必要があります

最近は、配偶者の退職まで10年以上空いてしまうケースでも、財産分与で離婚の際に退職したとみなした場合の退職金を受け取れることもあります。これについては後述します。

配偶者の勤務態度も考慮される

勤務先の規定で退職金がもらえることになっていても、配偶者がこれまでコロコロと職を変えているようだと財産分与で退職金がもらえない場合もあります

一方、配偶者の勤務態度が良好で、なおかつ勤務先からの評価も高い場合は退職金も高くなると想定されます。

この場合、財産分与で通常時より高額の退職金がもらえる可能性もあります。

勤務先の経営状況が健全かどうか

配偶者の勤務先が倒産すれば当然退職金が支払われません。したがって、勤務先の経営状況などを含めて財産分与で退職金がもらえるのかを判断します

財産分与を受けた退職金の支払い時期と算出方法

まだ退職金を受けっていない状況で離婚する場合、財産分与をおこなった退職金はいつ支払われるのでしょうか。

配偶者が退職金を受け取ったときに支払う

将来、配偶者が退職金を受け取った段階で、財産分与をおこなった退職金を元配偶者に支払う方法があります。

予定退職金額をもとに計算する

将来受け取る退職金見込み額を基準とする方法です。この場合の計算式は

予定退職金額×婚姻年数÷勤務年数×財産分与の割合

となります。一方、金額を定めずに「退職金を受け取ったときに受け取った金額(手取り額)の何割を支払え」と命じる方法もあります。

離婚の際に退職した場合の退職金をもとに将来増額することを考慮して計算する

「離婚の際に退職した」場合の退職金と実際に受け取る退職金を比較すると、前者の方が少なくなります。

「離婚の際に退職した」場合の退職金を基準として「実際はそれよりも増額する」ことを考慮して支払う方法です

離婚の際に支払う

離婚する際に財産分与をおこなった退職金を支給する方法があります。ただし、この支払い方法は、財産分与をする側が資金を調達できないこともあります。

予定退職金額をもとに算出・中間利息を差し引いて計算する

この場合の計算式は、

予定退職金額×婚姻年数÷勤務年数×財産分与の割合×退職までの年数のライプニッツ係数

となります。

ライプニッツ係数とは

将来受け取る金銭を一括前倒しで払ってもらう場合、中間利息を差し引くべきという説があります。同じ金額であっても離婚の際にもらうのと退職時にもらうのでは価値が変わります。

例えば、預貯金の金利が5%だった場合、今年受け取った1,000万円は、銀行に預金すれば来年には1,050万円になります。再来年には1,102万5,000円になります。これは複利計算されているからです。

この複利で増えていく金額を「中間利息」と言い、この中間利息をあらかじめ差し引いて計算するために用いられる係数を「ライプニッツ係数」といいます。

財産分与をおこなった退職金を離婚の際に受け取る場合、「退職金を前倒しで受け取った」とみなし、中間利息を差し引くのです。

離婚する時点の退職金に相当する金額を計算する

「財産分与の基準時に退職した」とみなした場合の退職金額を財産分与の対象として請求します。 この場合の計算式は、

離婚する時点の退職金相当金額×婚姻年数÷勤務年数×財産分与の割合

となります。

退職金の財産分与の請求方法

夫婦が話し合って決める

まず夫婦が話し合いで退職金の財産分与を決めていきます。退職金の財産分与は算出方法や支払い方法が決まっていません。夫婦が合意すればどのような方法でも構いません

離婚調停を申し立てる

話し合いをおこなっても解決しない場合、調停を申し立てます。この場合、以下の2つの方法があります。

  • 離婚調停のなかで退職金の財産分与について決める方法
  • 財産分与請求調停で財産分与について決める方法

離婚裁判を起こす

調停でも解決しない場合、訴訟を起こし、離婚裁判のなかで退職金の財産分与を決めていきます。

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「離婚」といっても、当事者同士での話し合いによるもの、裁判所が関与するものなどいろいろあります。…

まとめ

財産分与で退職金がもらえるのか、またもらえる場合はどのように算出し、どのように支払うべきかなど素人では判断が難しい部分があります。

また、裁判まで進んでしまうと自分だけでは対応が困難になります。適正な退職金を受け取るためにも、退職金の財産分与は弁護士に相談すると良いでしょう。

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