ボーダーラインはどこ?離婚で認められる不貞行為の証拠と慰謝料相場

不貞行為
不貞行為はどこから?離婚で認められる不貞行為の証拠と慰謝料相場

芸能人や政治家などの有名人の不倫のニュースが尽きることなく流れていますが、そもそも、どのようなことをすれば、「不貞」と判断させることになるのでしょうか?そして「不貞」と判断された場合は、どのようなペナルティを負うのでしょうか?

ここでは、「不貞」と判断される基準、そのための証拠、及び不貞をされた人が取りえる手段について解説します。

目次
  1. 不貞行為とは
  2. 不貞行為と認められるケースと認められないケース
    1. 不貞行為と認められるケース
    2. 不貞行為と認められないケース
  3. 不貞をされた人が取りえる法的手段
    1. 離婚請求
    2. 慰謝料請求
  4. 不貞行為を理由に離婚請求・慰謝料請求するには証拠が必要
    1. 不貞行為の証拠
    2. 夫婦関係が破綻していなかったという証拠
  5. まとめ
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不貞行為とは

不貞行為とは、配偶者以外の人と性的な関係を持つことを言う法律用語です。異性に限らず、同性と性的関係を持つことも含まれます。

これに対して、一般に使われる「浮気」や「不倫」は、法律上の言葉ではなく、決まった定義はありません。

一般的に他の異性に気持ちが向いて行った行動を「浮気」、性的な関係を伴うと「不倫」というように使い分けられているようです。

不貞行為は、民法上の不法行為に当たります。

夫婦はお互いに貞操義務を負っています。したがって、配偶者以外の人と性的な関係を持つことは、配偶者に対して、貞操義務違反という法律上の義務違反を行ったことになります。

一方、不貞相手は、不貞行為によって、「婚姻共同生活の維持という権利または法的保護に値する権利」を侵害するという不法な行為を行ったということになります。

不貞行為と認められるケースと認められないケース

2-1.不貞行為と認められるケース

性的関係をもった場合

原則として、配偶者以外の人と性的関係を持った場合には、不貞行為であると認められます。

性交類似行為

東京地方裁判所の平成25年5月14日判決は、糖尿病のため性的不能であるため、ホテルで下着姿で抱き合うなどの行為はあったが、「性交」が存在しなかったという場合でも、「婚姻共同生活の平和維持という権利又は法的保護に値する利益」を侵害するため、不貞行為に当たると判示しました。

2-2.不貞行為と認められないケース

夫婦関係がすでに破綻していた場合

配偶者以外の人と性的な関係を持ったとしても、「夫婦関係が破綻していた」場合には、「不貞行為」とは認められません

なぜなら、不貞行為は、「婚姻共同生活の維持という権利又は法的保護に値する権利」を侵害する不法な行為のことをいうと定義されています。

したがって、夫婦関係が破綻している場合には、「婚姻共同生活の維持という権利又は法的保護に値する権利」が、そもそも存在していなかったといえるからです。

夫婦関係がすでに破綻していたといえる典型例は、夫婦が不仲ですでに別居していた場合や離婚調停をしていた場合などです。

家庭内別居だったと主張するだけでは、なかなか「破綻していた」とまでは認められません。

枕営業の場合

東京地方裁判所は、平成26年4月14日にいわゆる枕営業」は「不貞行為」には当たらないという判例を出しました。

枕営業とは、何らかの見返り(契約を取る、お店に来てもらうなど)のために、顧客と性的関係を持つことを言います。

この判例は、ソープランドで働く女性を夫の不貞相手として、慰謝料請求をしたものですが、裁判所は、

「第三者が一方配偶者と肉体関係を持つことが他方配偶者に対する不法行為を構成するのは、原告も主張するとおり、当該不貞行為が他方配偶者に対する婚姻共同生活の平和の維持という権利又は法的保護に値する利益に対する侵害行為に該当することによるものであり、ソープランドに勤務する女性のような売春婦が対価を得て妻のある顧客と性交渉を行った場合には、当該性交渉は当該顧客の性欲処理に商売として応じたに過ぎず、何ら婚姻共同生活の平和を害するものではないから、たとえそれが長年にわたり頻回に行われ、そのことを知った妻が不快感や嫌悪感を抱いて精神的苦痛を受けたとしても、当該妻に対する関係で、不法行為を構成するものではないと解される」

と判示しています。

つまり、ソープランドで働く女性は、自分の売り上げを上げるために、お客さんと性的関係を持っているだけで、相手の家庭に波風を立てたり、壊したりしようという気持ちはありません。

妻としては、相手が商売で夫と性的関係を持っただけだとしても、不快感や嫌悪感を抱くとは思います。

しかし、相手が商売で性行為の相手をしてやっているにすぎない以上、「婚姻共同生活の平和の維持という権利又は法的保護に値する利益」を侵害することはないため、「不貞行為ではない」という判断を裁判所はしたわけです。

手をつないで歩いていた場合

東京裁判所平成20年10月2日の判決は、

「(夫が)女性と手をつないでいたとしても、そのことから当然に不貞関係の存在が推認されるものではない」

と判示しています。

ただし、他の証拠と合わせて、性的関係の存在が推認され、「不貞行為」であると認められることはありえます。

「手をつないで歩いていた」という事実だけでは「不貞行為」と認定されることは難しいということです。

メールのやりとり

例えば、「愛してる」「大好きだよ」という内容のメールを送りあっていた場合に「不貞行為」が成立するかどうかは、判例の見解も別れており、まだ法的決着がついていません。

もっとも、メールの中に、明らかに性的関係を持ったと分かるような内容が含まれている場合や、他の証拠と合わせて性的関係を持っていることが推認されることはありえます。

不貞をされた人が取りえる法的手段

3-1.離婚請求

不貞行為は離婚を請求する理由になります

民法770条第1項第1号には、離婚原因として、「配偶者に不貞な行為があったこと」があげられています。

つまり、不貞された側の配偶者は、相手配偶者の不貞行為を原因として、離婚を請求することができます。もし、相手配偶者が離婚を拒んでも、離婚訴訟をすれば、離婚は認められます。

3-2.慰謝料請求

配偶者への慰謝料請求

不貞行為が原因で離婚する場合には、配偶者に対して、慰謝料も請求することができます

慰謝料の金額を決める要素は、婚姻期間、お互いの年齢、お互いの有責の割合、当事者の資力や社会的地位、未成年の子の有無、不貞行為の期間、回数、頻度、態様などです。

配偶者に対する慰謝料請求は、離婚請求と同時にするのが一般的です。ただし、先に離婚した場合でも、離婚から3年間は請求することが可能です。

不貞の相手に対する慰謝料請求

不貞をされた人は、配偶者だけではなく、不貞相手に対しても慰謝料を請求することができます

配偶者と不貞相手の慰謝料支払義務は、不真正連帯債務となります。つまり、連帯責任ということです。

ただし、不真正連帯債務は、通常の連帯債務(真正連帯債務)よりも、その責任が重くなっています。

真正連帯債務では、一人について生じた「弁済、相殺、請求、更改、混同、免除、時効の完成」は、他の連帯債務者にも同じ効果をもたらします。

つまり、例えば連帯債務者の一人に対して、債務の支払を免除すれば、他の連帯債務者に対しても、債務の支払を免除したことになります。

しかし、不真正連帯債務では、一人について生じた「請求、更改、近藤、免除、時効の完成」は、他の連帯債務者に影響を与えません。

配偶者に対して、慰謝料の支払いを免除しても、不貞相手に対しては、慰謝料を請求できるということです。

もっとも、配偶者の方が貞操義務を守り、家庭の平穏を維持するよう努めていればっていれば、不貞は起こらないわけですから、原則として、配偶者の方が、不貞相手よりも責任は重いとされています。

これは、東京地方裁判所平成4年12月10日の判決が、

「婚姻関係の平穏は第1次的には配偶者相互間の守操義務、協力義務によって維持されるべきものであり、不貞についての主たる責任は配偶者にあるというべきであって、不貞の相手方において優越的地位等の手段を用いて不貞配偶者の意思決定を拘束したような特別の事情の存在する場合を除き、不貞の相手方の責任は副次的なものにすぎない」

と判示していることから分かります。

不貞相手の慰謝料の金額を決める要素も、配偶者の場合と同じく、婚姻期間、お互いの年齢、お互いの有責の割合、当事者の資力や社会的地位、未成年の子の有無、不貞行為の期間、回数、頻度、態様などになります。

もっとも、不貞相手の場合は、これらだけではなく「不貞行為の結果、夫婦が離婚したのか、やり直すことにしたのか」によって、慰謝料の金額が大きく変わります。

これは、不貞行為が「婚姻共同生活の維持という権利又は法的保護に値する権利」を侵害する行為であることから、この婚姻共同生活を一時的に乱してしまっただけか、永久に壊してしまったのかという結果の大きさの違いによるものです。

そのため、夫婦が離婚せずにやり直すことにした場合には、不貞相手の慰謝料は低額にとどまります。不貞相手に対する慰謝料請求権の時効の起算点は、統一されていない面があります。

最高裁判所平成15年3月27日の判決は、

「夫婦の一方の配偶者が他方の配偶者と第三者に対して取得する慰謝料請求権については、一方の配偶者が右の同せい関係を知った時から、それまでの間の慰謝料請求権の消滅時効が進行すると解するのが相当である。」

と判示しています。

この判例は、不貞行為が続く限り、慰謝料請求権は発生し続けていますが、不貞行為を知ったときから、過去3年よりも前の不貞行為に対する慰謝料請求権はどんどん時効によって消滅していくということを述べているものです。

この論理によると、不貞行為が終わってから3年で、完全に慰謝料請求権が時効消滅することになります。

ただ、この最高裁判所判例を前提としても、不貞行為が原因で離婚した場合には、離婚から3年間は、不貞相手に対して、慰謝料請求できるとする判例がある一方で、別居(夫婦関係の破綻)から3年で時効消滅するという判例もあります。

不貞相手への慰謝料請求を考えているのであれば、早めに行動した方いいでしょう。以下のように、通常の連帯責任よりも重いということを説明してください。

「不真正連帯債務とは連帯責任のひとつです。連帯責任には真正連帯債務と不真正連帯債務があります。一般的に連帯債務と言えば真正連帯債務を指します。不真正連帯債務は真正連帯債務より責任が重いものになります。例えば、真正連帯債務の場合、債務者のうち一人の債務を免除すれば、その他の連帯債務者の債務も免除されます。しかし、不真正連帯債務の場合、免除されません。」

不貞の首謀者が配偶者であれば、配偶者の慰謝料が高くなる理由や相場はわかりますが、原則として決まりがあるのであれば、その理由も記載いただけますと幸いです。

不貞行為を理由に離婚請求・慰謝料請求するには証拠が必要

不貞行為を理由に離婚請求・慰謝料請求するには証拠が必要

4-1.不貞行為の証拠

「不貞行為」とは、原則として、配偶者以外の人と性的関係を行うことです。

しかしながら、性的関係を持っている現場を押さえられることはほとんどありません。そのため、性行為が伴う関係であることが推認できるような証拠を集めていくことになります。

調査会社による調査報告書

性的関係を推認させる証拠としてよく利用されるのが、調査会社による調査報告書です。

調査会社の調査員が、配偶者と不貞相手を尾行することにより、「一人暮らしの人の部屋で、2人で何時間も過ごしていた」「ラブホテルに2人で入っていた」というような事実を突き止めることができれば有力な証拠になります。

ただし、調査会社の調査方法が法を犯すようなものではないことが重要です。

尾行にGPSを利用したり、マンションの敷地や自宅の敷地に勝手に入ったりするようなことは、調査方法として適切ではありません。

また、調査会社に依頼すると調査費用がかかります。調査員は、長時間尾行したり、張り込んだりするわけですから、ある程度の費用がかかるのは仕方がありません。

しかし、なかには不当に高額な請求をする会社もあります。また、いい加減な調査しかしないような会社もありますから、調査会社とのトラブルには注意する必要があります。

手紙、メール、写真

上記のように「愛してる」「大好き」というような内容の手紙やメールだけでは証拠にはなりません

しかし、「昨日は危険日だった。子供ができたらどうする?」「産んでほしい」というようなやりとりであれば、性的な関係を持ったんだなと推認できますので、証拠になります。

また、例えば、調査報告書などの証拠に調査の日より1年前のメールのやり取りという証拠を足すことで、不貞の期間が1年はあったということを証明し、慰謝料の増額につなげることもできます。

さらに、キスをしている写真もこれだけでは「不貞行為」の推認は難しいですが、他の証拠と合わせて証拠の一つにはなりえます。

裸で抱き合っている写真であれば、有力な証拠となりえるでしょう。

4-2.夫婦関係が破綻していなかったという証拠

忘れてはいけないのが、夫婦関係が破綻していなかったという証拠です。上記のとおり、夫婦関係が破綻した後に、配偶者以外の人と性的関係を持っても「不貞行為」にはなりません。

そのため、不貞をした側は、「夫婦関係が破綻していたから、不貞行為ではない」と主張してくることが非常に多いのです。

これに対する反論のためには、夫婦関係、家族関係が円満だったという証拠を準備することになります。

例えば、夫婦や家族で旅行に行った写真、食事に行った写真、子供の誕生日を家族で祝っている写真、夫婦間で他愛のないやりとりをしたメールやLINEの存在などです。

これにより、家庭内別居などではなく普通に家族として暮らしていたという証拠になります。

「不貞をした配偶者に腹が立ったから、削除した」というようなことがないように注意しましょう。

まとめ

不貞行為で離婚する場合であってもにしても、慰謝料請求する場合であってもにしても、大事なのは証拠です。

「こんな証拠は使えるのかな?」と迷った場合には、弁護士に相談してみましょう。

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