配偶者から突然の離婚請求!相手が有責ならどうなる?ポイントを徹底解説!
配偶者から離婚を求められたとき、どのようなことに注意したらよいでしょうか。
離婚を求める側は、相手に離婚を認めてもらうために入念に準備をしている可能性があります。
この場合、離婚を求める側が主導権を握りやすくなりますが、離婚を求められた側はそうはいきません。場合によっては予想していなかった事態への対応を迫られることになります。
この記事では、離婚を求められた側として注意すべき点を以下にまとめてみます。
- 目次
突然の離婚請求で取るべき対応
突然配偶者から離婚を切り出されたらショックですよね。しかし、感情に任せて行動してはいけません。売り言葉に買い言葉で交渉するなどもってのほかです。
このような場合はあわてて結論を出さず、まずは話を切り上げます。気持ちが落ち着いたら対応を考えましょう。離婚を切り出されたらどう対応すれば良いのか詳しく見ていきます。
離婚したい理由は?
離婚請求をするということは離婚したい理由が相手にあるはずです。まずは相手に「なぜ離婚したいのか」など理由を訊ねましょう。
ひょっとすると、相手が離婚したいと思う理由は誤解から生じているものかもしれません。そうであれば誤解であることを説明し、誠意を見せましょう。
もし、こちらが気付かないうちに相手を傷つける行動を取っていたのであれば、こちらに落ち度があることを認め、謝罪し、改善策を提示しましょう。
一方的な離婚請求に応じる必要はない
もし、離婚請求が一方的なものである場合は応じる必要はありません。相手が離婚を切り出しただけであれば離婚が成立することはありません。
離婚請求に応じる場合
協議離婚の場合、夫婦が離婚に合意すれば離婚できます。したがって相手から離婚を切り出され、求めに応じれば離婚が成立します。
ただし、未成年の子供を持つ夫婦が離婚する場合は親権者を決めなければ離婚できません。両親の離婚は子供の成長に大きな影響をおよぼします。
あくまで離婚は夫婦の問題です。子供のことを一番に考え、慎重に決める必要があります。
離婚請求に応じたくない場合
協議離婚の成立には夫婦の合意が必要です。つまり、離婚に応じたくないのであれば離婚請求に応じなければ離婚を回避できます。
ただし、「離婚を切り出した」ということは「相手の離婚の意思が固い」ということが想定されます。離婚を回避するのであれば、相手を説得し、考え直してもらうことが必要です。
話し合いで解決しない場合、相手方が家庭裁判所に夫婦関係調整調停(離婚)を申し立てる可能性があります。
当事者同士の話し合いでは、感情的になってしまい、冷静に話し合いができないことがあります。
調停は裁判官や調停委員を介して夫婦で話し合いを行うものです。当事者同士で話し合うより冷静に話し合うことができる可能性が高くなります。
離婚調停を行った結果、「当分の間別居する」ということで合意することもあります。これは、別居をして冷却期間を置き、冷静になってから改めて問題の解決を考えるという目的があります。
別居の調停が行われる場合には、婚姻費用(別居中の生活費)の分担や子供の監護権者についても取り決めておくのが一般的です。
なお、別居の調停を「別居調停」と呼ぶことがありますが、「別居調停」という名称の制度があるわけではありません。
法律で認められる離婚事由
離婚調停はあくまで話し合いによって問題解決を図る方法です。調停を行ったからといって必ず問題が解決するわけではありません。離婚調停が成立しなかった場合は離婚を求める当事者が訴訟を起こし、離婚裁判を行います。
ただし、裁判で離婚の可否を判断するには民法に定める以下の法定離婚事由が必要です。
- 不貞行為
- 悪意の遺棄
- 3年以上の生死不明
- 回復の見込みのない強度の精神病
- その他婚姻を継続し難い重大な事由
相手が有責配偶者の場合
有責配偶者とは法定離婚事由に当たる離婚原因を作った配偶者のことです。例えば、不貞行為をした人や生活費を家に入れない人、DV加害者などが該当します。
離婚を切り出したのが有責配偶者である場合、裁判で離婚が認められるのでしょうか。
基本的に離婚請求は認められない
基本的に有責配偶者からの離婚請求は認められません。
もし有責配偶者が離婚訴訟を起こしたとしても、こちらが離婚に応じない限り離婚は認められないというのが一般的です。
慰謝料を払っても認められない
一般的には慰謝料を払ったからといって有責配偶者からの離婚請求が認められることはありません。
ただし、「慰謝料の支払いをした」という事情が離婚請求を認めるか否かにおいて考慮されることはあります。
有責配偶者からの離婚請求が認められるケースがある
有責配偶者からの離婚請求は認められないのが原則です。しかし、離婚請求された側が離婚に応じるのであれば、有責配偶者からの離婚請求であっても離婚が認められます。
そのほか、以下のようなケースでは有責配偶者からの離婚請求が認められることがあります。
- 夫婦の間に未成熟子がいないこと
- 別居期間が同居期間や年齢と比べて長期間であること
- 離婚請求された側が離婚により大きなダメージを受けないこと
ただし、例外として、未成熟子がいるにも関わらず離婚請求が認められたという事例もあります(最高裁H6.2.8判決)。
有責配偶者が離婚請求を認めてもらうには
では、自分が有責配偶者の場合、離婚請求して配偶者に離婚を認めてもらうにはどうすれば良いのでしょうか。
相手が証拠を持っていない場合は離婚できる可能性がある
有責配偶者からの離婚請求が認められるかどうかは、有責事実に関する証拠を相手が握っているかどうかで決まります。
相手が有責事実を証明できるような証拠を持っていない場合は、こちら側に有責性があると判断される可能性は低くなります。
ただし、不倫などの有責行為を隠したまま離婚したとしても、後から慰謝料を請求される可能性はあります。
財産や慰謝料は多く払う覚悟をする
離婚裁判では有責配偶者からの離婚は認められないのが一般的です。しかし、協議離婚の段階で相手が離婚に応じれば離婚は成立します。
しかし、「悪いのはそっちだから、それ相応の財産をわけてもらわないと離婚には応じられない」と言われる可能性もあります。
有責配偶者であるにも関わらず、離婚請求に応じてもらいたいと思うなら、慰謝料や財産分与を相手に多く支払う覚悟は必要です。
夫婦仲が破綻していることを主張する
最近の判例では、「関係が破綻している夫婦の場合、有責性の有無に関わらず前向きな解決策を考えるべきである」とみなされる傾向があります。
したがって、「関係が破綻していることを証明する証拠」を集め、夫婦仲が破綻していることを主張することが大切です。具体的には以下のようなケースで夫婦関係が破綻しているとみなされる傾向があります。
- 長期間別居している
- 夫婦仲が破綻していることを示す音声やメール、手紙がある
離婚請求に応じない場合の注意点
協議離婚であれば、離婚請求に応じない限り離婚は成立しません。裁判であれば離婚請求が認められなければ離婚が成立しません。
離婚不成立あるいは請求棄却となった場合、「こちらが勝ったのだから元の関係に戻れるはず」と思うかもしれません。しかし、離婚請求に応じない場合にはいくつか注意点があります。以下で詳しく見ていきましょう。
夫婦仲の改善は難しいことがある
離婚を切り出したということは「離婚したいと思うほどの理由が相手にある」ということです。離婚を回避できたとしても、根底が覆るわけではありません。
つまり、以前と同じように暮らすことができたとしても、相手の気持ちは戻らないということです。
経済的に苦しくなることがある
こちら側が家族全員を養っていた(主たる生計維持者である)場合、離婚せず同居し続けることで経済的な負担が続くことになります。
別居が長期間になると離婚が認められることがある
離婚を回避した場合、同居せず別居状態となることもあります。別居期間が長期間におよんだ場合「婚姻関係が破綻している」とみなされる可能性があります。
つまり、せっかく離婚を回避したのに、別居が長期間におよんだ結果、離婚が認められてしまう可能性があるのです。
なお、どの程度別居すれば「婚姻関係が破綻している」と判断されるかについては、弁護士にご相談ください。
離婚請求に応じた場合に請求できるもの
離婚請求に応じるのであれば、相手側に請求できるものを把握しておきましょう。
慰謝料(相手が有責の場合)
有責配偶者からの離婚請求に応じる場合、相手に慰謝料を請求できます。慰謝料の金額は家庭の状況や有責性などによって変わりますが、一般的には以下が慰謝料相場となります。
- 不貞行為:数十万~300万円
- DV:数十万~300万円
- 悪意の遺棄:数十万~300万円
財産分与
離婚する際、婚姻期間中の共有財産を夫婦で公平にわけます。これを財産分与といいます。特別な事情がなければ夫婦で2分の1ずつ共有財産をわけます。
しかし、協議により夫婦で合意が得られれば按分割合(あんぶんわりあい)は自由に決めることもできます。
親権
未成年の子供を持つ夫婦が離婚する場合、親権者を決めなければ離婚ができません。親権獲得には、養育実績や今後の養育環境などが考慮されます。
一般的に、「親権獲得は母親が有利」と言われますが、父親であっても養育実績や離婚後の養育環境を整えることで親権獲得につながります。
養育費
親権を獲得した場合、非監護親に対して養育費を請求することができます。養育費は支払い義務者と受取者の職業や収入、子供の人数や年齢によって相場が決まります。
また、子供の教育計画を提示することで養育費を増額できる可能性もあります。 昨今、養育費の未払いが問題となっています。協議離婚の際は合意事項を公正証書化しておきましょう。
離婚請求で弁護士に頼るメリット
離婚請求されたら、弁護士に依頼することで不利益を回避し、メリットを享受しやすくなります。以下で詳しく説明します。
冷静な判断と適切な助言
離婚請求されたらショックを受けますよね。自分では冷静に対応しているつもりであっても、当事者同士で話すと感情的になってしまい、有利に話を進めることができません。
このようなとき、弁護士に依頼すれば、どのように対応すれば良いかアドバイスしてもらえますし、間に入って交渉してもらうこともできます。
離婚に応じる場合は適正な条件を提示し、有利な条件で離婚しやすくなります。離婚に応じない場合は離婚を回避するために有効な証拠や交渉の仕方をアドバイスしてくれるため、離婚を回避しやすくなります。
面倒な手続きの代行
話し合いで問題が解決しない場合、調停や裁判に進みます。調停や裁判は裁判所で行うため、資料の提出や出廷、裁判所とのやり取りなどさまざまな手続きが発生します。
弁護士に依頼すればこれらの面倒な手続きを代行してもらえます。
ストレスの軽減
離婚の話し合いはストレスになります。特に、離婚に応じない場合や条件で折り合いがつかない場合は長期化するため、ストレスが大きくなります。
弁護士に依頼すれば、相手との交渉をすべて代行してくれますので、精神的な負担を軽減することができます。
まとめ
離婚請求された場合の対処法について解説しました。 離婚請求されたらショックで適切な対応ができないこともあります。一旦話を切り上げ、落ち着いてから対応することが大切です。
また、離婚請求されたら、応じる・応じないに関わらず、弁護士に依頼することをおすすめします。 離婚問題を依頼する際は離婚問題に強い弁護士を選ぶことが重要です。
当サイト「離婚弁護士相談リンク」は離婚問題に強い弁護士を厳選して掲載しています。ぜひお役立てください。
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