離婚にかかる期間について|決心してからできる限り最短で成立させる方法も紹介
現在の日本において、さまざまな事情により離婚する夫婦は珍しくありません。
離婚とひと口にいっても、調停で離婚するか、裁判を行ったうえで離婚するか、当事者のみの協議で離婚するのかなど、離婚方法はさまざまです。
離婚を決意したからには、早く結論を出したいと考える方がほとんどでしょう。
ここでは離婚が成立するまでの期間と、早く離婚を成立させるためのコツについてお伝えしていきます。
- 目次
離婚成立までにかかる期間の目安
離婚は手続きの方法により4つに分類することができます。それらはそれぞれ異なるプロセスを踏むため、当然のことながら離婚が成立するまでの期間は異なります。
4つの方法および離婚成立までにかかる期間は以下の通りとなります。
- 協議離婚:理論上は1日だが、2~3か月以上かかることが多い。
- 調停離婚:少なくとも4~6か月。1年以上かかることもある。
- 審判離婚:3~4か月程度だがあまり利用されていない。
- 裁判離婚:目安は1年程度、長くて2年以上かかることも。
日本では離婚する夫婦の約9割が協議離婚で離婚をしています。しかし、話し合いがまとまらない場合は調停や裁判などに進むことになります。
上記の離婚期間について以下で離婚の方法ごとに詳しく説明します。
協議離婚の場合
当事者間のみの話し合いで離婚が成立した場合は「協議離婚」となります。協議離婚には法的に決められたルールや期限はないため、当事者間で合意に達すれば1日で成立させることも可能です。
しかし、離婚時には親権や養育費、慰謝料、財産分与など多くの事柄について話し合い、夫婦双方の意見をまとめる必要があります。
したがって、離婚成立までに2~3ヵ月程度かかることが一般的です。双方の主張に大きな隔たりのある場合は協議が何年にもおよぶこともあります。
調停離婚の場合
調停離婚は当事者間での協議が不調に終わった場合、どちらか一方が家庭裁判所に申し立てて、調停委員が間に入り、離婚の話し合いを進める方法です。
調停は自分の好きなタイミングで進めることはできません。調停の申し立て後、日程調整を経て最初の調停が始まるまで1ヶ月程度かかります。その後双方が納得するまで、おおむね月に1回のペースで調停が繰り返されます。
調停離婚は4〜6ヶ月程度かかります。また、相手が調停に出席してくれなかったり親権についての争いや財産分与に関する争い等の事情があると、1年近く長引くケースもあります。
審判離婚の場合
審判離婚は調停で双方が離婚することに合意しているが、慰謝料の額などの細かい点で話がまとまらない場合に行われます。
審判離婚を行うかどうかは家庭裁判所が判断します。家庭裁判所のくだした判断にしたがって離婚を決定すると審判離婚となります。
審判離婚は審判がくだされた日から2週間以内に異議申し立てを行うと無効になります。
審判をくだされたあと、異議申し立てをせずに2週間経過した場合は、離婚が成立したとして10日以内に市区町村の役場に離婚届を出す必要があります。
上記のように異議申し立てにより審判は簡単に覆すことが可能であるため、審判離婚は実施・成立件数の少ない離婚となっています。
裁判離婚の場合
裁判離婚は、調停離婚が不調に終わった際、どちらか一方が家庭裁判所に離婚訴訟を起こすことによって始まります。
裁判離婚を行うためには、民法770条に規定された以下の「法定離婚事由」を満たしている必要があります。
- 不貞行為
- 悪意の遺棄
- 配偶者が3年以上生死不明
- 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがない
- その他婚姻を継続しがたい重大な事由
不貞行為とは配偶者以外の異性と性的関係を持つことです。異性と2人きりで食事をしただけなど、性的関係を持っていない場合は不貞行為とみなされませんので注意が必要です。
悪意の遺棄とは、正当な理由がなく同居を拒否する、生活費を渡さないなど、同居・協力義務を果たさない行為などを指します。 配偶者からの最後の連絡から3年が経過し、生死不明な状態であることも有力な離婚事由となります。
また、回復の見込みのない精神病にかかった場合も、一般的な共同生活が困難と判断されるため離婚事由とみなされる場合があります。
その他の婚姻を継続しがたい重大な事由としては、家庭内暴力や薬物、ギャンブルへの依存などが挙げられます。
裁判離婚は、訴訟を起こして1ヶ月ぐらいしてから最初の法廷が開かれ、その後1ヶ月から1ヶ月半に1度のペースで審議が行われます。
訴訟から結審までは1年程度かかることが一般的です。判決が出るまで1年以上かかることもあり、相手が控訴して高等裁判所まで争った場合は2年以上かかることもあります。
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離婚解決までの流れ
ケース別・離婚にかかる期間
別居や子供の有無など状況によっては離婚にかかる期間が短い場合、長い場合があります。具体的な離婚期間をケース別に以下で説明していきます。
別居していて離婚したいとき
離婚の話し合いが裁判までもつれた場合、法定離婚事由を満たしていなければ離婚は認められません。
別居状態が長く続くと同居の義務が果たされていないことになります。そのため、別居状態が長く続くと法廷離婚事由である「婚姻関係が破綻している」とみなされ、離婚を認められやすくなります。
「離婚をしたいけど相手が受け入れてくれない」「すでに別居している」というケースであれば、長期間別居をすることで、婚姻関係が破綻しているという実績を作るのも1つの方法です。
判例などをみると、別居期間が5年~10年程度で離婚が認められるケースが多くあるようです。
ただし夫婦関係が破綻する原因(DVや浮気など)を作った側(有責配偶者)から離婚を申し出て認められることは少ないため注意しましょう。
他方で、平成30年12月5日に東京高等裁判所で、別居期間7年以上に至っても、離婚が認められないという判決が下されていますので、単純に別居期間の長さだけで離婚が認められるわけではないという点には注意してください。
別居期間を何年もかけることなく離婚したい場合は、財産分与をはじめとした金額面など離婚条件を相手側へ有利にして、同意を取り付けるという方法も考えましょう。
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家庭内別居をしていて離婚したいとき
家庭内別居状態していて離婚をしたいけれど夫婦のどちらか一方が離婚を拒否している場合は、離婚原因がなければ調停や訴訟に踏み切っても離婚することは難しいです。
この場合の離婚原因とは、不貞行為など法に定められた離婚事由にあたる事柄を指し、単なる性格の不一致など、法定離婚事由にあたらないものは離婚原因とはみなされません。
一方、夫婦双方が離婚を望んでおり、親権・慰謝料などの離婚条件について合意ができているのであれば、協議によってスムーズに離婚を成立させることが可能です。
この場合も、早く離婚を成立させたいのであれば、条件面での合意を目指すべく相手に譲歩することも考えましょう。
子供がいないとき
離婚の際に、意見が対立しやすいのが子供のことです。子供がいると親権をどちらが持つか、養育費はいくらにするのか、面会交流権をどうするのかといった点について話し合わなければなりません。
しかし夫婦に子供のいない場合には、親権・養育費などについて話し合う必要がなく、またお互い若年であれば、再婚もしやすいため、比較的スムーズに離婚が成立するケースも一定数あります。
離婚を決心してからできる限り最短で成立させる方法
離婚時には、しっかりと取り決めておかなければならないことがあります。離婚を希望している人は、話し合う時間をできるだけ短くして離婚を早く成立させたいと思っていることがほとんどでしょう。
離婚することを決めてから、最短で離婚を成立させるには方法がありますので以下で詳しく解説していきます。
協議離婚に向けた話し合い
協議離婚をスムーズに進めるためには、離婚の際に決める必要のある事柄について調べ、自分がどうしたいかという希望と譲れる範囲をはっきりさせておきます。
協議で双方の意見が一致しない場合、自分を主張するだけではいつまでたっても平行線なので、ある程度条件をゆるめて歩み寄ることも早期決着には必要でしょう。
協議離婚をスムーズかつ十分なものとするためには以下のポイントを押さえておく必要があります。
- 財産のリストアップ
- 子供の親権、養育費
- 今後の生活について
- 慰謝料請求のための証拠集め
- 離婚協議書を作成
- 離婚協議書を公正証書にする
離婚の際は夫婦で築き上げた財産を分けるのが基本です。そのため、共有財産にどういったものがあるのか、預貯金以外の不動産や自動車などの物品もリストアップして誰の所有物にするか考え、決めることが重要です。
子供がいる場合は、離婚の際、親権をどちらが持つのか決める必要があります。双方ともに親権を求めて争う場合、これまでの養育実績のある方が有利になります。
もし調停や裁判になっても認められるよう、自分の養育実績が客観的にわかるよう育児記録などを用意しましょう。
養育費については、相手が支払わなかったり、離婚後にまた話し合ったりすることのないよう、金額や支払いの期日を明確に決めます。
今後の生活について、もし、現在住んでいる家を離れる場合は、どこに住むのか・どんな仕事をするのかについて考えておく必要があります。
また、相手が不貞行為やDVなど、婚姻を継続しがたい行為をした場合は慰謝料を求めることができます。その際には不貞行為やDVなどをしたことを示す証拠が必要になります。
慰謝料は自分が納得できる金額にするためにも有効な証拠を複数集めてから相手と話し合いをしましょう。
離婚や財産分与、親権など離婚時の約束ごとは、離婚協議書を作成して記載します。さらに、離婚協議書を公正証書にすることで公的機関が文書の正当性を保証してくれます。
強制執行認諾文言が付けられれば、慰謝料の不払いなど協議書にある約束を相手が破った場合に強制執行ができます。
まとめ
法律や手続きをしっかりと理解すれば、離婚を早く成立させることは決して難しくはありません。
夫婦の数だけ状況が異なりますから、離婚に向けて動き出すのであれば、書類や証拠の準備、弁護士への依頼など、早めに手を打っておいた方が良いでしょう。
今回ご紹介した離婚成立までの目安期間を参考に、新しい生活に向けた計画を立ててみてください。
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