家庭内別居中の不倫|夫(妻)や不倫相手に慰謝料請求できるのか
夫婦関係が破綻したあとの不倫は慰謝料請求の対象となりません。では、「夫婦関係は終わっているが同居を続けている最中に不倫をした」という場合はどうなるのでしょうか。
この記事では夫婦関係が終わっているが同居している状態、つまり「家庭内別居」の最中に不倫をしたら慰謝料請求されるのかについて解説します。
- 目次
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家庭内別居とは
家庭内別居とは、以下の要素を満たした状態を言います。
- 円満な夫婦関係はすでに終わっている
- 夫婦関係が終わってもなお同居し続けている
家庭内別居に法的な定義はありませんが、具体的には以下のような場合に家庭内別居と呼ぶことが多いです。
- 夫婦の間に会話がない
- 家計や食事、寝室がすべて(または一部)別々
- 夫婦の間に関係を修復する意思がない など
家庭内別居の問題点
家庭内別居には大きくわけて次の二つの問題点があります。
- 家庭内別居は裁判で認められる離婚理由ではない
- 家庭内別居中の不倫は慰謝料請求される可能性がある
それぞれについて以下で詳しく説明します。
家庭内別居は裁判で認められる離婚理由ではない
離婚をする際、話し合いが成立せず裁判に進むことがあります。裁判で離婚を認めてもらうためには、民法に定める以下の法定離婚事由が必要です。
- 不貞行為
- 悪意の遺棄
- 3年以上の生死不明
- 回復の見込みがない強度の精神病
- 婚姻を継続し難い重大な事由
家庭内別居を理由に離婚するには、「婚姻を継続し難い重大な事由」に該当するかが争点になります。
しかし、家庭内別居の期間が短いなど「重大性が低い」と判断された場合は、家庭内別居という理由だけでは裁判で離婚が認められない可能性があります。
家庭内別居中の不倫は慰謝料請求される可能性がある
慰謝料とは精神的苦痛に対して支払われるものです。そのため、不倫を理由に慰謝料請求するには、「夫婦関係が良好であったが不倫によって関係が壊された」ということが必要です。
「夫婦関係が破綻している」と裁判所に判断されると、その後に配偶者以外の異性と肉体関係を持ったとしても不倫(不貞行為)とはみなされず、慰謝料請求されることはありません。
しかし、「夫婦関係が破綻していない」と判断されれば慰謝料を請求される可能性があるのです。
夫婦関係が破綻していると判断される基準とは
前述のとおり、家庭内別居中の不倫で慰謝料請求されるかどうかは、裁判所が「婚姻関係が破綻している」と判断するかどうかが鍵をにぎります。
「夫婦関係は終わっている」と自分が思っていたとしても、裁判では「夫婦関係が破綻している」と認められないケースもあるのです。
裁判で「夫婦関係が破綻している」と判断する際は、下記の基準を基にさまざまな事情を踏まえて総合的に判断することになります。
- 相手方に不倫やDVなどの離婚原因があるか
- 家庭内別居の期間
- 家庭内別居中の夫婦の生活(性生活や寝食など)
- 夫婦の間に関係修復の意思があるか
- 離婚協議が進んでいるか
夫婦関係が破綻しているかのチェックポイント
家庭内別居中の不倫で慰謝料請求する際には「夫婦関係が破綻しているかどうか」がポイントです。そのため、慰謝料請求を考える場合は以下の点をチェックしておきましょう。
- いつから寝室が別々だったか
- いつから食事が別だったか
- 性生活が最後にあったのはいつだったか
- 一緒に外出したのはいつが最後だったか
家庭内別居中の相手と不倫して慰謝料を支払わなくて良いケースとは
「家庭内別居中だから」「夫婦関係は終わっているから」と言われ、既婚者と交際を始めてしまうケースもあるでしょう。
家庭内別居中の不倫で不倫相手に慰謝料請求する場合、「婚姻関係が破綻していないことを不倫相手が知っていたかどうか」が争点になります。
家庭内別居の状況については、いくら注意しても不倫相手が知り得るのは難しいケースもあります。このような場合は不倫相手に慰謝料を請求できない可能性があります。
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まとめ
家庭内別居中の不倫について解説しました。家庭内別居は法的には「婚姻関係が破綻している」と認められないことがあるため、不倫をすると慰謝料請求されることもあります。
どのような状況であれば「婚姻関係が破綻している」と認められるかについてはケースバイケースとなりますので、離婚問題に強い弁護士に相談することをおすすめします。
当サイト「離婚弁護士相談リンク」は離婚問題に強い弁護士を厳選して掲載しています。ぜひお役立てください。
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