モラハラで離婚後に後遺症が出る?克服方法と慰謝料請求できるか解説
モラハラを理由に離婚しても、離婚後に後遺症が残ることがあります。
モラハラ後遺症についてはあまり知られていないため、自分の症状がモラハラ後遺症だと気づかないケースもあります。
しかし、モラハラ後遺症を放置すると日常生活に支障が出ることがあります。
この記事では
・モラハラ後遺症の典型的な症状
・モラハラ後遺症の克服方法
・モラハラ後遺症を理由に慰謝料請求できるのか
について解説します。モラハラ後遺症を残さないための離婚の方法についてもご紹介していますので最後までお読みください。
- 目次
離婚後にモラハラ後遺症が現れることがある
モラハラは身体にケガを負うわけではありませんが、モラハラを受け続けることで精神的に大きな傷を負います。
状況によってはPTSD(心的外傷後ストレス障害)を発症し、日常生活に支障が出るケースもあります。
モラハラ後遺症の典型的な症状
離婚後に不調が現れても自分ではなかなかモラハラ後遺症かどうか判断できません。
以下、モラハラ後遺症の典型的な症状について解説します。ご自分が当てはまるかどうかチェックしてみると良いでしょう。
無気力や倦怠感
モラハラ行為を受け続けたことで、いろいろな物事を楽しめず、心から笑うことができなくなることがあります。例えば以下のようなケースがあります。
- 仕事に意欲がわかない
- 家事育児をしようとすると身体が重い
- 昔の趣味を再開しようと思っても楽しめない
- やる気がわかない
なかには何もやる気がしない自分に嫌気がさし、落ち込んでしまう人もいます。
フラッシュバックする
モラハラ行為を受けたことがトラウマになると、何かの拍子にフラッシュバックすることがあります。
すでに離婚をしているにも関わらず、暴言を吐かれたり罵られたりしたことを思いだし、不安になったり胸が苦しくなったりすることがあるのです。
ひどい場合はフラッシュバックによって食欲不振や不眠になり、精神的に疲弊したり、体調を崩したりするケースもあるようです。
自己肯定感の低下
「お前は何をやってもダメだ」「こんなこともできないのか」などと人格を否定され続けることで洗脳された状態になることがあります。
その結果、「私はダメ人間だ」「どうせうまくいない」などと思い込み、自信を失い、自己肯定感が低下してしまうことがあります。
イライラが続く
モラハラ後遺症のなかには落ち込んだり、無気力になったりすることもありますが、ストレスによりイライラしたり、怒りっぽくなったりするケースもありあます。
モラハラ行為を受けている間はストレスに晒されている状態です。
離婚すればストレスから解放されると思いがちですが、当時の辛い思いや悲しみ、怒りといった気持ちが残ったり、増大したりすることがあるのです。
また、「あのとき、もっとこうすればよかった」と後悔したり、自分を責めたりすることで自分にイライラするケースもあります。
なかには、家族などの周りの人間に八つ当たりすることもあるようです。
人間不信
モラハラ行為をする人だと事前にわかっていれば、元配偶者と結婚することはなかったかもしれません。
信用していた人から冷たい態度を取られたり、罵られたりすることでモラハラ行為を受け続けたことになります。
そのため、人から親切にされても「この人もそのうち豹変するかもしれない」「何かの拍子に冷たくあたられるかもしれない」と考え、人間不信に苦しみ続けるケースがあります。
新しく恋愛をはじめたり、友人を作ったりすることが困難になることもあります。
睡眠障害や食欲不振
離婚してモラハラ行為から解放されたにも関わらず、過去のモラハラを思い出して眠れなくなったり、食欲が減退したりすることもあります。
食事や睡眠に支障が出ると、精神を病んでしまったり、日常生活に支障が出たりする恐れがあります。すみやかに医師の診察を受けましょう。
自分の感情のコントロールが困難
急に泣きたくなったり、起こり出したりするなど、自分の感情をコントロールできないというのもモラハラ後遺症の症状の1つと言えます。
婚姻中に抑圧し続けた感情が、離婚後に不安定な形で爆発するのかもしれません。
鬱病やパニック障害などの精神疾患
ストレスによるイライラや無気力、不眠、食欲不振などが続くと抑うつ状態になる恐れがあります。さらに悪化するとうつ病やパニック障害などの精神疾患を患うこともあります。
精神疾患により、日常生活が困難になったり、療養生活を余儀なくされたりする恐れもあります。
カサンドラ症候群
カサンドラ症候群とは、アスペルガー症候群のパートナーとのコミュニケーションが困難になることで生じる身体的・精神的症状になります。
カサンドラ症候群の典型的な症状には以下のようなものがあります。
- 自己評価の低下
- めまい
- 片頭痛
- 疲労感
- うつ
- パニック障害
- 自律神経失調症
- 体重の増加・減少 など
依存症
実はモラハラ被害者はモラハラ行為を軸に生きていたケースもあります。
モラハラ行為を受けているにも関わらず、「彼(彼女)のことをわかってあげられるのは自分だけ」「相手に従うことが正解」などと思い込むことがあるのです。
言い換えれば、モラハラ加害者が自分の軸であり、モラハラ加害者によって自分の存在価値を見出していたことになります。
離婚すると従前の軸がなくなるため、自分がどう生きていけばいいかわからなくなり、別の何かに依存することがあります。例えば以下のようなものに依存するケースがあります。
- ギャンブル
- アルコール
- タバコ
- 異性 など
摂食障害
摂食障害とは、主に極端に食事制限と著しく痩せを示す神経性食欲不振症と、むちゃ喰いと体重増加を防ぐ行動(嘔吐や下剤乱用)を繰り返す神経性過食症の2つに大別されます。
摂食障害は体型について否定されたり、暴言を吐かれたりしたことなどをきっかけに発症することもあります。
離婚し、暴言を吐かれることがなくなっても、自分の体型に自信が持てず、摂食障害が続いてしまうことがあるようです。
モラハラ加害者と復縁したくなる
意外かもしれませんが、モラハラ被害者が離婚後にモラハラ加害者と復縁したくなることがあります。
モラハラ行為を受けていたにも関わらず、本当に別れてよかったのか、不安になってしまうのです。
前述のとおり、モラハラ被害者はモラハラ加害者を自分軸にして生きていた可能性があります。離婚すると心の拠り所を失い、不安になってしまうのです。
複雑性PTSDを発症することも
PTSD(心的外傷後ストレス障害)とは、主に震災や大事故などの生死に関わる出来事を経験したあと、自分の意志とは関係なく、当時のことを思い出し、不安や緊張が高まる症状を言います。
最近では生死に関わる出来事だけでなく、虐待やDV、ハラスメントなどの被害がトラウマとして心に残り、以下のような症状が現れることがあります。これを複雑性PTSDと言います。
- 再体験症状:いわゆるフラッシュバック
- 回避・麻痺症状:フラッシュバックの引き金を避けようとすること
- 過覚醒症状:些細なことで怒りやすくなり、夜中に悪夢で飛び起きたり、自傷行為や無茶な行動をしたりすること
- 認知・気分の陰性変化:自分には価値がない、自分はいないほうが良いといった確信や信念が沁みつくこと
通常のPTSDと比べ、複雑性PTSDは日常生活や社会生活への支障が大きく、現れる症状も多いと言われています
モラハラ後遺症を克服する方法
ここまで説明したとおり、モラハラ後遺症を放置すると、日常生活や社会生活に支障があります。以下で克服法について紹介しますので、参考にしてみてください。
十分な休息をとる
モラハラ後遺症に苦しんでいる方の心は傷つき、弱っています。弱った心を癒し、快復させるためには十分に休息をとることが大切です。
過去を忘れようと、仕事を詰め込んだり、無理に予定を入れたりする人もいるかもしれません。しかし、無理を続ければ疲れてしまい、悪循環に陥る恐れがあります。
人によっては時間が解決することもありますので、焦らず休息を取り、自分のペースを大切にしましょう。
趣味や仕事など自分が心から楽しめるものを見つける
十分に休息を取ったら、前向きに考えられるように思考を変えていくことも重要です。
離婚してモラハラ加害者から離れられたわけですから、自分の時間を自分の好きなように使えます。やりたかった仕事や趣味にチャレンジするのも良いでしょう。
やりたかったこと、夢中になれることが見つかれば、何かに依存することも防げます。
無理に忘れようとしない
モラハラに限らず、過去の嫌な思い出やトラウマというのは、忘れようとすればするほど脳裏に強く焼き付けられます。
「時間が経てば忘れられる」「記憶とうまく付き合っていく」というスタンスでいることも重要です。
カウンセラーや医師などの専門家に相談する
「いろいろ考えてしまい、十分に休むことができない」 「不安や自責の念が押し寄せてくる」
このように、自分の力だけではどうにもならない場合は医師やカウンセラーなどの専門家に相談しましょう。
専門家に相談することで、モラハラ後遺症を克服する方法や生活の仕方などのアドバイスがもらえる可能性があります。
モラハラ後遺症を理由に慰謝料請求できるのか
婚姻中のモラハラによって後遺症が現れた場合、元配偶者に慰謝料を請求したいと思うかもしれません。しかし、それは困難と言わざるを得ません。
慰謝料請求が認められるためには少なくとも以下の2つが必要です。
- モラハラとの因果関係
- 証拠
離婚後に婚姻中のモラハラの証拠を集めることは困難ですし、現在の症状とモラハラとの直接の因果関係を証明するのも難しいと言えます。
慰謝料を請求したとしても、元配偶者が「モラハラなどしていない」「因果関係はない」と主張する可能性があります。
慰謝料を請求できそうだと思ったら弁護士に相談
モラハラ後遺症を理由に慰謝料請求するのは困難ではありますが、因果関係があると考えており、証拠もあるのであれば、絶対に認められないというわけではありません。
ただし、モラハラと後遺症の因果関係や慰謝料請求が認められるかどうかについては専門知識が必要です。まずは弁護士に慰謝料請求の可否について相談すると良いでしょう。
モラハラ後遺症を残さないためにすべきこと
モラハラ行為を受け続けると、離婚後も後遺症が残る可能性があります。モラハラ行為を受けていることに気づいたら、速やかにモラハラ加害者と距離を置きましょう。
残念ながら、モラハラ加害者が変わってくれることは期待できないのが現状です。また、モラハラ加害者と共同生活を続ければ、心身を疲弊させてしまいます。
別居や離婚を検討し、自分の心身に異変を感じたらすぐに専門家に相談しましょう。
なお、モラハラ加害者は別居や離婚にすぐに応じない可能性が高いと言えます。また、離婚に応じた場合であっても、養育費や財産分与など離婚条件を2人だけで話し合うのは大変危険です。
モラハラ加害者と離婚する際は弁護士に間に入ってもらいながら進めることが重要です。
まとめ
モラハラ加害者と離婚した人のなかにはモラハラ後遺症に悩まされる方もいます。モラハラ後遺症を克服する方法は以下です。
- 十分な休息をとる
- 趣味や仕事など自分が心から楽しめるものを見つける
- 無理に忘れようとしない
- カウンセラーや医師などの専門家に相談する
もし、モラハラ加害者に慰謝料を請求できそうだと思ったら、弁護士にご相談ください。
当サイト「離婚弁護士相談リンク」はDV・モラハラをはじめ、様々な離婚問題に強い弁護士を厳選して掲載しています。ぜひお役立てください。
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