離婚調停|弁護士に同席してもらうメリットと弁護士の選び方
離婚はまず夫婦で話し合いを行いますが、話し合いが決裂したら家庭裁判所に調停を申し立てることになります。
この記事では、離婚調停に進んだら弁護士に同席してもらうほうが良いのか、弁護士に同席してもらうとどのようなメリットがあるのかについて解説します。
離婚調停とは
調停とは、裁判所で話し合いを行う解決方法です。裁判所が話し合いの仲介を行い、合意を図ります。
離婚調停では、離婚そのもの以外に慰謝料や財産分与、親権者、養育費、面会交流などの問題も話し合うことができます。
調停は裁判所の手続きではありますが、あくまで当事者間の話し合いで解決を図る方法です。
自分一人で行うこともできますが、弁護士に依頼し、同席してもらうこともできます。
なお、離婚調停は相手方の住所地を管轄する家庭裁判所で行います。
相手方と合意できれば合意した場所を管轄する裁判所で行うこともできます。
離婚調停は誰が対応するのか
調停では、裁判官(家事調停官)と男女2人の調停委員を中心に、調査官や書記官といったメンバーで調停委員会が組織され、当事者間の仲介を行います。
基本的には、2人の調停委員が中心となり、当事者双方の意見を聞いたり、助言を行うことで調停が進みます。
なお、裁判官は調停成立時など重要な場面でのみ対応するのが一般的です。
また、調査官は親権や面会交流など特定の案件でしか関与しません。
離婚調停期日の流れ
ここからは離婚調停期日当日の流れを解説します。
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離婚調停の受付
家庭裁判所についたら、家事調停の受付(訟廷事務室や書記官室等)に行き、受け付けを行います。
人口の多い地域以外では、ほとんどの場合、家庭裁判所と地方裁判所、簡易裁判所が一つの建物のなかにあります。
裁判所の大きさによって、書記官室が複数ある場合もあれば、まとめて1つの書記官室しかない場合もあります。
書記官室が複数ある場合は、ご自身の事件を担当する部の書記官室に向かいます。
書記官室に着き、受け付けを済ませたら、裁判所の職員から控室で待機するよう指示があります。
申立人と相手方の控室は別々ですが、受付場所は同じです。
相手方と顔を合わせる可能性がありますが、調停以外の場で話をするのはやめましょう。
また、DVなど、相手から暴力を振るわれる可能性がある場合はあらかじめ裁判所に連絡し、指示を仰ぎましょう。
離婚調停が始まるまで控室で待つ
裁判所によって異なりますが、控室には複数の長椅子とベビーベッドが置いてあることが多いです。
裁判所は同じ日時に複数の調停を行っています。そのため、控室には自分以外にも調停の当事者が待機しています。
なお、控室には調停当事者だけでなく、弁護士や家族が座っているケースもあります。
時間になると、調停委員の1人が控室に呼びに来ます。呼び出す際は氏名ではなく、番号札や事件番号で呼ぶことが増えています。
自分の番号札や事件番号についてしっかりと把握しておきましょう。
離婚調停手続きの説明
第1回調停期日では、最初に裁判所から調停手続きについて説明があります。
このとき、相手方と申立人が調停室で同席する裁判所もあるようです。相手方との同席を避けたい場合は、裁判所にご確認下さい。
あくまで調停手続きの説明のために同席するだけですので、相手方に言いたいことがあっても話しかけてはいけません。
相手方をにらんだり、相応しくない態度を取るのもいけません。
相手方の顔を見ると精神的に不安定になるような場合は事前に裁判所に伝えておけば、配慮してもらえることがあります。
離婚調停の流れ
調停手続きの説明が終わると、調停委員から個別に話を聞かれます。
その後、申立人と相手方が調停室に交互に入り、調停委員と話をします。
一般的には30分ごとに交代し、それぞれ2回ずつ計4回の話し合いを行います。
もちろん、話すことがなく30分もかからない場合もあれば、話が長引き、30分を超えることもあります。
そのため、調停直後に予定を入れるのは避けたほうが無難です。
次回離婚調停期日の決定
話し合いが進まなかったり、時間が来れば、その日の調停は終了です。
担当の裁判官(家事調停官)と調停委員の予定の合う日のなかから、調停室の空きがある日時で次回の調停期日が決まります。
次回の調停期日の調整については、申立人と相手方が交互に調停委員と話をして調整する方法や代理人弁護士と調停委員で調整する方法、申立人と相手方が調停室に入って調整する方法など、さまざまです。
離婚調停で弁護士に同席してもらうメリット
調停室には当事者と代理人弁護士のみが入室できます。
離婚調停で弁護士に同席してもらうとどのようなメリットがあるのでしょうか。以下で詳しく見ていきます。
法的なアドバイスがもらえる
前述のとおり、調停では基本的に当事者と調停委員がやり取りを行います。
調停委員と話す際、弁護士が同席することで依頼者に対して法的なアドバイスや助言をしてくれます。
また、調停委員の発言が不適切な場合は調停委員に対して忠告してくれます。
調停がスムーズに進む
弁護士が離婚調停に同席すると、「依頼者の主張のほうが正しい」という根拠を論理的に説明してくれるため、調停委員が判断しやすく、調停がスムーズに進みやすくなります。
自分の主張を調停委員に伝えやすくなる
離婚調停がうまく行かない原因の1つに、調停委員に自分の主張を正しく伝えられないことがあります。
弁護士が同席し、アドバイスや助言をすることで、自分の主張を調停委員に正しく伝えやすくなります。
調停調書を弁護士にチェックしてもらえる
調停が成立したら最後に合意内容を書類にまとめます。この書類を調停調書といいます。
調停調書は離婚調停の結論が記載されているため、非常に重要です。
調停調書が作成されると、夫婦の前で記載内容が読み上げられます。
一度調停調書の記載内容に同意してしまうと、基本的に変更はできません。
弁護士に同席してもらうと、調停調書の内容についてもチェックしてもらえるため、安心です。
取り下げの判断もスムーズに行える
離婚調停がうまく進まず、合意できなさそうな場合は申立てを取り下げるほうが良いケースもあります。
弁護士が同席していれば、申立てを取り下げるかどうかの判断もスムーズに行うことができます。
精神的な負担を軽減できる
離婚調停は1人でも行うことができますが、素人が行うとなると精神的な負担が大きくなります。
離婚調停で同席できるのは代理人である弁護士だけです。
法律のプロである弁護士が離婚調停で同席してくれれば精神的な負担を軽減できます。
離婚調停で弁護士に同席してもらうデメリット
離婚調停で弁護士に同席してもらうと多くのメリットがありますが、デメリットもあります。以下で詳しく説明します。
弁護士費用がかかる
離婚調停を弁護士に依頼したときの弁護士費用は50~70万円が相場ですが、親権の帰属や慰謝料の請求等、争点が増えるとさらに費用が高くなる可能性もあります。
また、慰謝料請求や財産分与等が争点に含まれる場合は、経済的利益に応じた報酬金が別途加算されることもあります。
なお、経済的利益とは、依頼者が獲得した金額や減額できた金額を指すのが一般的です。
離婚調停で弁護士に同席を依頼した場合、上記に加えて日当が発生する場合があります。
日当とは、案件処理のために事務所を離れて弁護士が仕事をする際に発生する費用です。
日当の有無やその計算方法は法律事務所によって異なりますが、1時間あたり1万円というところが多いです。なお、日当には弁護士の移動時間も含めで計算されることもあります。
そのため、法律事務所と家庭裁判所が離れていればいるほど日当が高くなります。
また日当とは別に、弁護士が家庭裁判所まで移動する際の交通費や宿泊費も発生します。
離婚調停で同席してもらう弁護士の選び方
離婚調停を依頼し、調停に同席してもらう弁護士を選ぶ際は以下のポイントを押さえておくと良いでしょう。
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離婚に強い弁護士の選び方って?弁護士選びで失敗しないポイント。
依頼者の話を遮らず、親身になって聞いてくれる
離婚調停を弁護士に依頼する際は、事前に法律相談を行います。
このとき、依頼者の話を遮らず、親身になって話を聞いてくれるかどうかがポイントです。
話を遮ったり、依頼者の話を弁護士が真剣に聞かないような場合は信頼関係を築くことが難しいでしょう。
難解な用語を噛み砕き、わかりやすく説明してくれる
離婚は法律が絡む問題です。法律相談の際、難解な法律用語をわかりやすく、噛み砕いて説明してくれる弁護士なら安心です。
依頼前に弁護士費用について詳しく説明してくれる
離婚調停を弁護士に依頼すると、着手金や成功報酬などの弁護士費用が発生します。
離婚調停に同席してもらう場合、弁護士によっては着手金以外に日当等を請求することもあります。
また、慰謝料請求や財産分与などを争う場合は何を経済的利益とするのかによって成功報酬の金額が変わります。
法律相談の段階で、これらの弁護士費用について詳しく説明してくれる弁護士なら、離婚問題や離婚調停に慣れていると考えられます。
離婚調停の経験が豊富である
離婚調停は夫婦の話し合いによって解決を図る方法ではありますが、あくまで裁判所での手続きです。
また、離婚調停では相手方と直接話すのではなく、調停委員に対して主張し、話をすることになります。
離婚調停に慣れており、経験が豊富な弁護士なら、ポイントを押さえているため、調停を有利に進めることができます。
弁護士の離婚の解決事例はこちら
弁護士費用を抑えたいなら近くの法律事務所を選ぶ
離婚調停で弁護士に同席してもらう場合、着手金や成功報酬のほかに日当や交通費、宿泊費などの費用が発生します。
弁護士費用を抑えたい場合は、裁判所から離れていない事務所を選ぶことも重要です。
まとめ
離婚調停を行う際は弁護士に同席してもらうと有利に進めやすくなります。
また、法律のプロである弁護士が同席すると精神的な負担も軽くなります。
弁護士に依頼し、離婚調停に同席してもらう場合は、離婚調停の経験や相性に加え、法律事務所と裁判所の距離も含めて弁護士を選ぶことが重要です。
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