性格の不一致で離婚したい!慰謝料請求や離婚する方法を解説。

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弁護士監修
性格の不一致で離婚したい!慰謝料請求や離婚する方法を解説。

離婚の原因の一つに「性格の不一致」というのがあります。しかし、離婚原因を定める民法には「性格の不一致」という記載はありません。では、性格の不一致を理由に離婚が認められるのはどのような場合でしょうか。

この記事では、性格の不一致を理由に離婚するにはどうすれば良いのかについて詳しく解説します。

目次
  1. 性格の不一致を理由に離婚する夫婦は多い
  2. 性格の不一致で離婚にいたる理由
  3. 性格の不一致を理由に離婚できるのか
    1. 性格の不一致という理由だけで法的に離婚を認めてもらうのは難しい
    2. 性格の不一致で離婚できるケースとは
  4. 性格の不一致を理由に慰謝料請求できるのか
    1. 性格の不一致だけで慰謝料の支払いが認められる可能性は低い
    2. ほかの離婚原因がある場合は慰謝料が認められる可能性がある
    3. 性格の不一致だけが理由の場合は解決金を支払うことも
  5. 性格の不一致を理由に離婚するには
    1. 性格の不一致だけを理由に離婚するなら協議離婚の成立を目指す
    2. 協議離婚が成立しない場合は離婚調停で解決を図る
    3. 裁判に進んだら法定離婚事由が必要
  6. 裁判で性格の不一致による離婚を認めてもらうには
    1. 性格の不一致で離婚するために必要な証拠
  7. 性格の不一致を理由に離婚する前に考えること
    1. 新婚はケンカがつきものと考える
    2. 価値観が同じかどうか
    3. プチ別居をしてみる
    4. 子供への影響を考えてみる
  8. 性格の不一致を理由に離婚するなら弁護士に相談
  9. まとめ

☝この記事の内容を動画でも解説しています

性格の不一致を理由に離婚する夫婦は多い

令和3年度の司法統計によると、男性・女性ともに「性格の不一致」を理由に離婚する人が最も多いことがわかりました。

参考:裁判所「令和3年司法統計年報 3家事編 第19表 婚姻関係事件数 申立ての動機別申立人別(https://www.courts.go.jp/app/files/toukei/597/012597.pdf)」※1 

この世にまったく同じ性格の人などいません。夫婦といえども他人です。別々の生活を送ってきた2人が共同生活を始めるわけですから、生活習慣や感覚が違うのは当然です

また、「性格の不一致」と言っても、夫婦によって具体的な内容は異なります。「性の不一致」や「金銭感覚の違い」「子供の教育方針の違い」など、夫婦によってさまざまな理由があります。

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夫婦が離婚する原因ランキング|最も多い理由は“性格の不一致”!

性格の不一致で離婚にいたる理由

夫婦の性格が違うのは当然です。結婚前は気付かなかったけれど、一緒に生活してみて初めてわかる部分もあります。

その違いを互いに受け入れることができれば何も問題はありません。しかし、性格の違いを不快に感じ、不満が積み重なってしまうと離婚に発展することもあるのです

性格の不一致を理由に離婚できるのか

性格の不一致という理由だけで離婚できるのでしょうか。詳しく見ていきましょう。

性格の不一致という理由だけで法的に離婚を認めてもらうのは難しい

離婚には協議離婚、調停離婚、審判離婚、裁判離婚の4つの離婚の方法があります。協議離婚は文字通り夫婦が話し合い、合意することで成立する離婚の方法です。

通常、離婚する際はまず夫婦で話し合いを行い、協議離婚が成立しない場合に調停、裁判へと進みます。

協議離婚であれば、どのような理由でも離婚できます。しかし、話し合いがまとまらず、裁判まで進んだ場合は民法で定める以下の5つの法定離婚事由がなければ離婚が認められません。

  • 不貞行為
  • 悪意の遺棄
  • 3年以上の生死不明
  • 回復の見込みのない精神病
  • その他婚姻を継続し難い重大な事由

性格の不一致は法定離婚事由にありません。そのため、「婚姻を継続し難い重大な事由」に該当するかどうかが問われることになります

性格の不一致で離婚できるケースとは

前述のように、協議離婚であればどのような理由でも離婚できます。しかし、性格の不一致を理由に裁判で離婚を認めてもらうには、「夫婦関係が破綻していて関係を修復することが困難である」とみなされる必要があります

性格の不一致により婚姻関係を継続し難い重大な事由と判断されるケースには以下のようなものがあります。

  • 嫉妬や束縛が激しく、配偶者の行動を制限しているケース
  • 性格の不一致によって長期間別居しているケース

ほかにも離婚が認められる場合があります。どのようなケースが該当するかは弁護士にお問い合わせください。

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性格の不一致を理由に慰謝料請求できるのか

性格の不一致を理由に慰謝料請求できるのか

性格の不一致を理由に離婚する際、慰謝料を請求できるのでしょうか。詳しく見ていきましょう。

性格の不一致だけで慰謝料の支払いが認められる可能性は低い

性格の不一致で離婚する場合、どちらが悪い(有責である)と言うことはできません。

そのため、性格の不一致だけを理由に慰謝料の支払いが認められる可能性は低くなります

ほかの離婚原因がある場合は慰謝料が認められる可能性がある

性格の不一致で夫婦関係が悪化したとしても、それによって不貞行為などの不法行為におよんだ場合は慰謝料が支払われる可能性があります。

例えば、妻(夫)に不満を抱き続けた結果、夫(妻)がほかの異性と不倫をしたというケースでは、不倫した側に対して慰謝料を請求できます

性格の不一致だけが理由の場合は解決金を支払うことも

性格の不一致だけで慰謝料の支払いが認められることはほとんどありません。

しかし、夫婦の一方が離婚を希望していて、もう一方が離婚に応じない場合、「慰謝料(お金)を払う代わりに離婚に合意してもらう」ということがあります

慰謝料というと「不法行為があった」と受け取られる可能性があるため、解決金と呼ぶのが一般的です。

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離婚の解決金|解決金の相場や支払うメリットとデメリットを解説

性格の不一致を理由に離婚するには

性格の不一致を理由に離婚するにはどうすれば良いのでしょうか。以下で詳しく見ていきます。

性格の不一致だけを理由に離婚するなら協議離婚の成立を目指す

性格の不一致だけを理由に離婚するなら協議離婚の成立を目指しましょう。協議離婚であれば、どのような離婚理由であっても夫婦が合意すれば離婚が成立するため、スムーズに手続きを進めることができます

では、話し合いで相手が離婚に合意しない場合はどうすれば良いのでしょうか。

性格の不一致を夫婦で認識する

相手が離婚に合意しない場合、相手は「夫婦関係は良好だ」と勘違いしている可能性があります。それなのに「性格が合わないから離婚してほしい」と言われても受け入れられないのは当然でしょう。

この場合、まずは夫婦で互いの性格の不一致箇所を確認し、どのようなときに、どう感じるのかを理解してもらいましょう。そのうえで、「これは離婚しないと解決しない」ということも理解してもらうことが大切です。

夫婦生活を続けると将来が不安であることを伝える

このまま一緒に暮らし続けても、いずれ破綻してしまうことを伝えましょう。先延ばしせず、今離婚することがお互いにとって良いのだということを理解してもらいましょう

離婚の意思が固いことを示す

離婚の意思が固いことを理解してもらいましょう。遠まわしに言ったり、冗談っぽく言うのではなく、毅然とした態度で伝えましょう

協議離婚が成立しない場合は離婚調停で解決を図る

協議離婚が成立しない場合は家庭裁判所に離婚調停を申し立てます。離婚調停は調停委員や裁判官を介して夫婦が話し合いで解決を図る方法です。

離婚調停では、夫婦が直接顔を合わせて話し合うわけではないため、感情的になりにくく、冷静に話し合いを進めやすくなります

ただし、離婚調停はあくまで話し合いによって解決を図る方法ですので、必ず離婚が成立するとは限りません。

裁判に進んだら法定離婚事由が必要

離婚調停でも離婚が成立しない場合は訴訟を起こし、裁判で離婚を認めてもらうことになります。

離婚裁判では前述の5つの法定離婚事由が必要です。

性格の不一致は法定離婚事由ではないため、「長期間別居している」「極度の精神病を発症した」など、性格の不一致によって婚姻関係が破綻していることを証明する必要があります

裁判で性格の不一致による離婚を認めてもらうには

裁判で性格の不一致による離婚を認めてもらうには

裁判で離婚を認めてもらうには、性格の不一致によって婚姻関係が破綻していることを証明する必要があります。

では、どうすれば立証できるのでしょうか。

性格の不一致で離婚するために必要な証拠

性格の不一致によって婚姻関係が破綻していることを立証する証拠としては以下のようなものがあります。

別居期間が長いことを立証する証拠

別居期間が長ければ、「婚姻関係が破綻している」と認められやすくなります。

なお、婚姻関係の破綻が認められる別居期間は法的に定められていません。

一般的には5年が目安と言われていますが、実際にはその他の事情を考慮して総合的に判断されます

別居期間が長いことを証明するには、住民票(住民票を異動した場合)賃貸物件の契約書などが証拠として有効です。

性格の不一致により「婚姻関係が破綻していること」を立証する証拠

性格の不一致によって婚姻関係が破綻している証拠にはとしては、以下も有効な場合があります。

  • 夫婦喧嘩の音声データや動画
  • 夫婦でやり取りした手紙 など

このほか、喧嘩の様子を詳細に記したメモや日記なども証拠として使えることがあります。

性格の不一致を理由に離婚する前に考えること

ここまで説明したように、性格の不一致だけを理由に離婚するのは難しい場合があります。

「性格が合わない」といっても、状況によって関係を修復できる可能性があります。離婚すべきかどうか判断するポイントを紹介します。

新婚はケンカがつきものと考える

別々の生活を送っていた2人が一緒に暮らすわけですから、衝突が増えるのは当然でしょう。一緒に暮らすことで判明したことのなかには、自分の常識や感覚とは違うものもあるでしょう。

自分の常識や感覚と違う部分があっても無理に相手に合わせる必要はありません。「この人はこういう人なんだ」と思うことができれば、自然と気にならなくなります

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新婚なのに離婚したい!離婚を考える原因と回避する方法

価値観が同じかどうか

性格が違うのは当然ですが、価値観が同じであれば何とかやっていけることもあります。価値観は完全に一致している必要はありません。相手の価値観を認められるようであれば十分です。

プチ別居をしてみる

性格の不一致を理由に離婚を考えたら、プチ別居してみるのも良いでしょう。数か月間別居してみて、冷静に夫婦関係を見直せば離婚すべきかどうかが判断しやすくなります

子供への影響を考えてみる

両親の離婚は子供の成長に大きな影響を与えます。例えば、両親が離婚し、転校や転園を余儀なくされると友人関係や生活環境が変わってしまいます。

また、ひとり親家庭になることで経済的に困窮すると、将来の夢や進学をあきらめなければならないケースもあります。

離婚は夫婦の問題です。子供は関係ありません。離婚をするかどうか迷ったら子供への影響を最低限に抑えることを考えましょう

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親の離婚が子供に与える影響|親権や面会についても解説

性格の不一致を理由に離婚するなら弁護士に相談

性格の不一致を理由に離婚できるかどうかは判断が難しいのが現状です。

協議離婚が成立すれば離婚できますが、「親権は誰が持つのか」「今住んでいる家はどちらが住むのか」など離婚は決めなければならないことが多くあります。

早く離婚したいからといって相手の提示する条件で離婚してしまうと不利になることもあります。

性格の不一致を理由に離婚する場合は早い段階で弁護士に相談し、どのように相手と交渉すべきかアドバイスをもらいながら進めることをおすすめします。弁護士なら、相談者の状況を考慮して適切な方法をアドバイスしてくれます。

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離婚に強い弁護士の選び方って?弁護士選びで失敗しないポイント。

まとめ

性格の不一致を理由に離婚する方法について説明しました。 話し合いが成立しない場合、性格の不一致だけを理由に離婚するのは難しいのが現状です。

夫婦とはいえ、他人ですから性格が違うのは当然です。本当に離婚すべきか、離婚して後悔することはないかなど、しっかりと考えましょう。

それでも離婚したほうが良いと判断したら、早い段階で弁護士に相談することをおすすめします。

当サイト「離婚弁護士相談リンク」は離婚問題に強い弁護士を厳選して掲載しています。弁護士をお探しの際はぜひお役立てください。

※1 裁判所「令和3年司法統計年報 3家事編 第19表 婚姻関係事件数 申立ての動機別申立人別

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