離婚で必要な弁護士費用の相場とは|支払い方と費用を抑える方法

基礎知識
弁護士監修
離婚で必要な弁護士費用の相場とは|支払い方と費用を抑える方法

離婚や男女問題に悩んで弁護士に依頼しようか考えたとき、一番気になるのは弁護士費用ではないでしょうか。弁護士に依頼すれば有利な結果が得られるとわかっていても、弁護士費用が払えるかどうかが心配という人も多いようです。

この記事では、離婚問題の弁護士費用の相場や弁護士費用を抑える方法について解説していきます。

目次
  1. 離婚で必要な弁護士費用の種類
    1. 相談料
    2. 着手金
    3. 報酬金
    4. 日当
    5. 実費
  2. 離婚の弁護士費用の相場
    1. 弁護士費用相場-協議離婚-
    2. 弁護士費用相場-調停離婚-
    3. 弁護士費用相場-裁判離婚-
  3. 弁護士費用の払い方
    1. 相談料
    2. 着手金
    3. 報酬金
    4. 日当・実費
  4. 弁護士費用支払い時の注意点
    1. 着手金と報酬金は2回発生するケースがある
    2. 弁護士費用は共有財産から支払ってはいけない
  5. 離婚の弁護士費用を抑えるためには
    1. 無料法律相談を利用する
    2. 着手金無料または分割払いが可能な法律事務所を利用する
    3. 協議離婚の段階で弁護士に依頼する
    4. 近くの法律事務所に依頼する
    5. 法テラスの弁護士費用立替制度を利用する
    6. 弁護士費用の安い法律事務所を利用する
  6. 弁護士に依頼する際は離婚後の生活を考えておく
    1. 離婚後の収入を確保する
    2. 離婚に備えて貯金をする
  7. 離婚問題に強い弁護士の選び方
  8. まとめ

☝この記事の内容を動画でも解説しています

離婚で必要な弁護士費用の種類

弁護士費用の相場を解説する前に弁護士費用にはどのようなものがあるのかを説明します。弁護士費用には以下のようなものがあります。

  • 相談料
  • 着手金
  • 報酬金
  • 日当
  • 実費

それぞれの費用について以下で詳しく見ていきます。

相談料

相談料(法律相談料とも言う)とは、最初に弁護士と相談する際に必要な費用のことです。一般的には30分~1時間で5,000~10,000円というのが相場です。

最近は初回相談料無料という法律事務所も増えてきています。相談料は、あくまで「弁護士に依頼する前の法律相談」に対する費用です。弁護士に依頼したあとの法律相談に対しては、費用は発生しません。

着手金

着手金とは弁護士に事件を依頼する際に発生する費用です。着手金は事件が解決するかどうかに関わらず支払う必要があり、原則として返金されることはありません

報酬金

報酬金は弁護士に事件を依頼し、問題が解決したときに支払う費用です。解決した内容や得られた結果によって金額が変わるため、成功報酬とも呼ばれます

依頼者が得られた利益をどう算出するかは弁護士や法律事務所によって異なります。

日当

日当とは、法律事務所と裁判所が離れているケースなど、弁護士が半日~1日以上出張しなければならない場合に発生する費用です

離婚調停を行う際、申立てを行う裁判所は当事者の合意で決めることもできますが、相手方の住所地を管轄する家庭裁判所で行うのが原則です。そのような場合は1日以上弁護士が出張することもあるのです。

実費

調停や裁判に進むと収入印紙代や手数料、交通費、謄写(コピー)費用などが発生します。これらの「事件を解決する際に実際に発生する費用」のことを実費といいます

実費は弁護士に依頼しない場合でも必要になる費用です。

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弁護士に依頼するときの費用と流れ|断られないための注意点も紹介

離婚の弁護士費用の相場

離婚を弁護士に依頼するとどのくらいの費用が必要になるのでしょうか。離婚の種類別で見ていきます。

弁護士費用相場-協議離婚-

協議離婚とは、夫婦が話し合い、合意を図ることで離婚する方法です。話し合いがスムーズに進めば弁護士に依頼する必要はないかもしれません。

しかし、離婚を考えている夫婦が2人で話し合おうとすると感情的になってしまい、まともに話し合うことができないことも多くあります。

また、親権や慰謝料などの離婚条件で折り合いがつかなかったり、主張が食い違うことで泥沼化するケースもあります。

このような場合、弁護士に依頼すると、法的なアドバイスをしたり、夫婦の間に入り依頼者の主張を論理的に相手方に伝えてくれるため、スムーズに話し合いが進む可能性が高くなります

協議離婚の弁護士費用相場は依頼した内容によって金額が変わりますが、10~30万円が相場となります。

弁護士費用相場-調停離婚-

話し合いがまとまらない場合、家庭裁判所に離婚調停を申し立てることになります。離婚調停は裁判官や調停委員を介して夫婦が話し合いを行う離婚の方法です

離婚裁判を行う場合は必ず離婚調停を経てから裁判を行わなければなりません。これを調停前置主義といいます。調停離婚の弁護士費用相場は40~60万円となります。

弁護士費用相場-裁判離婚-

調停を行っても離婚問題が解決しない場合、訴訟を起こし、離婚裁判へと進みます

離婚裁判から弁護士に依頼した場合、弁護費用の相場は30~70万円となります。離婚調停と裁判をセットで弁護士に依頼すると弁護士費用は70~110万円程度になります。

ただし、この金額はあくまで離婚の可否のみを争う場合の弁護士費用です。養育費や慰謝料などが争点となった場合、弁護士費用はより高額になります。

弁護士費用の払い方

弁護士費用の払い方

弁護士費用を払う際、それぞれの費用をどのように払えば良いのでしょうか。以下で説明します。

相談料

相談料は法律相談が終了した時点で支払います。

着手金

着手金は事件を弁護士に依頼するときに支払います。着手金は一括払いが基本ですが、法律事務所によって分割払いなど柔軟に対応してくれるとこともあります。

報酬金

報酬金は事件が解決した時点で支払います。

日当・実費

日当や交通費などの実費は、弁護士が出張から帰ってきたときに支払います。

弁護士費用支払い時の注意点

弁護士費用を支払う際はいくつか注意すべきことがあります。以下で詳しく見ていきましょう。

着手金と報酬金は2回発生するケースがある

離婚調停と離婚裁判をセットで弁護士に依頼する場合、調停と裁判それぞれに対して着手金と報酬金が発生します。

法律事務所によっては手続きごとに弁護士費用を請求するところもあるため、2回にわけて弁護士費用を請求されることがあるのです

弁護士費用は共有財産から支払ってはいけない

離婚する際、婚姻中に築いた共有財産を夫婦で平等にわけることになります。これを財産分与といいます。

離婚問題を弁護士に依頼する際は、夫婦の共有財産から弁護士費用を支払ってはいけません。共有財産から弁護士費用を支払ってしまうと、財産分与を行う際に弁護士費用相当分が差し引かれることがあるのです。

では、弁護士費用はどこから捻出すれば良いのでしょうか。

結婚前から所有している財産や相続によって入手した財産などは特有財産と呼ばれます。特有財産は財産分与の対象となりません。弁護士に依頼する際は特有財産から支払うようにしましょう

離婚の弁護士費用を抑えるためには

離婚問題を弁護士に依頼したいと思っても弁護士費用を支払うのが難しい場合もあるでしょう。また、支払うことができたとしても、離婚後の生活を考えて支払い金額を抑えたいという人もいるでしょう。

このような方のために、弁護士費用を抑える方法について紹介します。

無料法律相談を利用する

弁護士に依頼するかどうかに関わらず、離婚する際は弁護士に相談することをおすすめします。弁護士との相談から得られる知識や情報は強力な武器になります。

弁護士に相談する際は「相談料無料」のところを選ぶと費用を抑えることができます。「相談料無料」で弁護士に相談するには以下の2つのケースがあります。

相談料無料の法律事務所を利用する

最近は「初回相談料無料」という法律事務所が増えています。このようなところを利用して相談すると弁護士費用を抑えることができます。法律相談を行ったからといって必ず弁護士に依頼しなければならないということはありません

一方、弁護士に依頼する際、複数の法律事務所で相談してから自分に合ったところを選ぶこともあるでしょう。このような場合、相談料無料の法律事務所を選べば、費用負担を抑えながら弁護士を選ぶことができます。

また、自分に合った弁護士を選ぶことで結果として経済的な負担を抑えることにつながります。

自治体による無料法律相談を利用する

お住まいの自治体によっては弁護士による無料の法律相談を行っているところもあります。このようなところを利用するのも良いでしょう。

ただし、自治体による法律相談では離婚問題に強い弁護士が対応するとは限らないため、注意が必要です

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着手金無料または分割払いが可能な法律事務所を利用する

相談料だけでなく、着手金無料という事務所もあります。また、着手金の分割払いに対応してくれる法律事務所もあります。初期費用を抑えたいなら、こういったところを利用する方法もあります。

ただし、着手金無料または分割払いの対応が可能な法律事務所の場合はその分報酬金などの負担が増えることがありますので注意しましょう

協議離婚の段階で弁護士に依頼する

協議離婚など、早い段階で弁護士に依頼するのも弁護士費用の抑制につながります。

離婚調停は協議がまとまらなかった場合に行うものです。調停や裁判に進むと別途着手金や交通費、日当などが発生します。協議離婚の段階で弁護士に依頼すれば話し合いだけで離婚が成立しやすいため、結果的に弁護士費用を抑えることにつながります

近くの法律事務所に依頼する

弁護士費用そのものではありませんが、相談のために法律事務所に出向くとなると交通費が発生します。今住んでいるところから近い法律事務所を選ぶことで相談や面談時の交通費を抑えることができます

すでに調停や裁判に進んでいる場合は、裁判所と法律事務所が近いほうが弁護士に支払う実費を抑えることにもつながります

法テラスの弁護士費用立替制度を利用する

法テラス(日本司法支援センター)の弁護士費用立替制度を利用するのも一つの方法です。

法テラスの弁護士費用立替制度を利用するには資力条件を満たす必要があります。また、あくまで弁護士費用を立て替えてくれる制度ですので、返済する必要があります

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法テラスの無料相談で弁護士を利用するには

弁護士費用の安い法律事務所を利用する

弁護士費用は法律事務所によって金額が異なります。つまり、費用が安い法律事務所を選べば弁護士費用そのものを抑えることができるということです。

「弁護士費用が安い分、弁護士の腕が悪いのでは?」と気になるかもしれません。しかし、弁護士費用と弁護士の能力はあまり関係がないと考えたほうが良いでしょう。弁護士費用が高い弁護士のほうが優秀であるということもありません。

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弁護士に依頼する際は離婚後の生活を考えておく

弁護士に依頼する際は離婚後の生活を考えておく

弁護士に依頼して無事離婚が成立したとしても、手元にお金がなくなってしまったら離婚後の生活が心配ですよね。

離婚問題を弁護士に依頼する際は、弁護士費用だけでなく離婚後の生活が成り立つように準備しておく必要があります。

離婚後の収入を確保する

既婚女性のなかには、専業主婦やパートタイマーなどでまとまった収入が得られる状況ではないケースもあります。離婚を考えたらフルタイム勤務や正社員など、まとまった収入が得られるように就職活動を行いましょう

パートタイマーの場合はフルタイムや正社員への変更を会社に申し出てみるのも良いでしょう。

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離婚後の仕事の探し方|主婦がすぐに働ける方法

離婚に備えて貯金をする

離婚後の収入を確保するのは必要ですが、子供がいたり、引っ越したりする場合は出費が増えます。節約に励み、離婚前に貯金しておきましょう

離婚問題に強い弁護士の選び方

弁護士費用を抑える方法について説明してきました。しかし、最も大切なのは「離婚問題に強く、自分に合った弁護士を選ぶこと」です。

弁護士費用が安いからといって適当に弁護士を選んでしまうと、望んだ結果が得られなくなる可能性もあります。また、「弁護士が合わないから」と何度も弁護士を変えてしまうと結果的に費用が嵩んでしまいます

離婚問題に強く、自分に合った弁護士を選ぶポイントは以下の4つです。

  • 一般民事事件や家事事件を主に取り扱っていること
  • 離婚問題の解決実績が豊富なこと
  • 離婚問題の弁護士費用の説明が的確であること
  • 自分と相性が合うこと

一般民事事件や家事事件を主に取り扱っている法律事務所は離婚問題の取り扱いも豊富と考えて良いでしょう。

また、離婚問題は依頼者の利益の考え方が複雑です。実際に相談に行ってみて、弁護士費用について質問してみましょう。離婚の弁護士費用の説明が的確でわかりやすい弁護士なら離婚問題の経験が豊富な弁護士と考えることができます。

さらに、過去の解決実績などを弁護士に訪ねてみると離婚問題の経験が豊富か判断しやすいでしょう。

弁護士を選ぶ際は依頼者との相性も重要です。弁護士と話したときにコミュニケーションが取りやすく、専門用語などをわかりやすく説明してくれる弁護士を選ぶようにしましょう。

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離婚に強い弁護士の選び方って?弁護士選びで失敗しないポイント。

まとめ

離婚問題を依頼する際の弁護士費用について解説しました。

弁護士に依頼するとなると費用が心配ですが、「相談料無料」の法律事務所を選び、いくつか相談してみましょう。実際に依頼する際は離婚問題に強く、自分に合った弁護士を選ぶことが大切です。

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