離婚の解決金|解決金の相場や支払うメリットとデメリットを解説
「解決金を支払うことで離婚に合意した」という話を聞いたことがありませんか? 解決金は文字どおり、離婚問題を解決するために支払うお金です。
では、解決金は具体的にどういうときに支払われるのでしょうか。この記事では、解決金が支払われる目的やメリット・デメリットについて解説します。
- 目次
離婚における解決金とは
離婚で生じるお金の問題には主に以下のようなものがあります。
- 慰謝料
- 財産分与
- 養育費
- 婚姻費用
離婚する際、婚姻中に築いた共有財産を夫婦で公平にわけることになります。これを財産分与と言います。
また、夫婦のどちらか一方に離婚原因がある場合は慰謝料が発生します。
夫婦に未成年の子供がいる場合は養育費について決めておく必要があります。また、離婚前に別居をした場合は婚姻費用も生じます。
解決金は上記のように明確な目的のあるお金ではありません。そのため、必ず支払わなければならないものでもありません。
離婚は相手がすんなり応じてくれるとは限りません。このような場合に、相手方に「解決金」を支払うことで離婚に応じてもらうというのが一般的です。
関連記事≫≫
離婚における財産分与を徹底解説!
離婚慰謝料とは|請求できるケースと相場を徹底解説!
母子家庭への未払い率8割!養育費が不払いになったときの対処法とは?
別居中の生活費相場の算出方法|婚姻費用を請求する
慰謝料との違い
慰謝料とは、精神的な苦痛に対して支払われる損害賞金のことを言います。離婚の慰謝料は不倫やDVなど、夫婦のどちらか一方に離婚原因がある場合に支払われます。
解決金はあくまで円満に離婚するために支払われるものですので、離婚原因の有無は問いません。
手切れ金との違いは
離婚に応じてもらう際に支払うお金には、「手切れ金」や「和解金」というものもあります。
手切れ金や和解金は主に不倫関係も含めたすべての男女関係を清算する際に支払われるお金です。
一般的には離婚の解決金も手切れ金や和解金と同義で使われることが多いです。
離婚の解決金の定義はあいまい
離婚の解決金は関係を清算する目的や問題を解決するために支払われるケースがほとんどです。
しかし、解決金自体に明確な定義があるわけではなく、用途や目的もあいまいです。
離婚の解決金は便利なもの
解決金の定義はあいまいなため、使い勝手がよく、さまざまな目的で使われます。
離婚以外の目的でも使われる
解決金は婚姻関係(内縁含む)にない男女関係を解消するときにも使われます。
婚姻関係にないとはいえ、状況によって、男女関係を解消するのが困難な場合があります。
このような場合、片方が相手方に対して金銭を支払い、関係解消を図ることがあります。このような場合も解決金と呼ぶ場合があります。
法的根拠や条件はない
解決金は慰謝料のように法的根拠や支払い条件はありません。そのため、特別な理由がなくても支払うことができます。
一方、慰謝料は民法に規定されているため、話し合いで解決しない場合は裁判で争うことができます。
しかし、解決金には法的な根拠がないため、裁判で支払いを請求することはできません。
離婚問題で解決金を支払う場合は、話し合いや調停の場を利用することになります。
離婚の解決金に相場はない
離婚の解決金には相場がありません。そのため、夫婦が話し合い、妥協点を見つけて支払うというのが一般的です。
離婚の解決金は穏便に離婚する名目で利用することが多いです。
慰謝料としての意味を含むのか、離婚後の生活費を扶助する意味を持つのかによって捉え方も変わります。「いくらくらいが妥当」と断言することはできません。
離婚で解決金を支払うメリット
離婚で解決金を支払うことにはどのようなメリットがあるのでしょうか。
立場を守ることができる
慰謝料は離婚原因を作った側が支払うものですが、解決金は理由がなくても支払うことができます。
そのため、慰謝料のように「支払った側に非がある」という印象は持たれにくくなります。
つまり、解決金は当事者双方の立場を守りつつ、円満に離婚問題を解決する手段になりうると言えるでしょう。
離婚を受け入れてもらいやすくなる
相手側が離婚に応じてくれない場合、解決金を支払うことで離婚を受け入れてもらいやすくなる傾向があります。
慰謝料には法的な根拠が必要ですが、解決金の支払いには特別な理由は必要ありません。
解決金を支払う側も受け取る側も抵抗を感じにくいため、すんなり離婚に応じてくれる可能性があります。
離婚で解決金を支払うデメリット
用途が広く、便利な解決金ですが、デメリットもあります。
過大請求される可能性がある
前述のとおり、解決金には法的根拠もなければ相場もありません。そのため、相手方から不当に高額な金額を請求される可能性があります。
また、慰謝料の意味を込めて解決金を支払ったにも関わらず、離婚後、新たに慰謝料を請求される可能性もあります。
離婚で解決金を支払う際の注意点
離婚で解決金を支払う際はいくつか注意すべき点があります。以下で詳しく見ていきます。
解決金の金額は妥当なものか確認する
前述のとおり、解決金は相手方から過大請求される可能性があります。そのため、請求された金額が支払い名目に対して妥当かどうかを確認する必要があります。
もちろん、解決金に相場はありません。そのため、弁護士に相談し、請求された金額が妥当かどうかを確認するのが良いでしょう。
解決金は課税される可能性がある
慰謝料や財産分与は原則として非課税です。しかし、解決金は法的な根拠や目的が曖昧なため、状況によって課税される可能性があります。
また、支払われる金額があまりに高額な場合、贈与を疑われ、贈与税が課税される可能性もあります。詳しくは弁護士または税理士に相談しましょう。
離婚協議書を作成する際は清算条項を設ける
離婚の話がまとまったら、離婚協議書を作成し、解決金の支払いについて書面の形で残しておきましょう。
前述のとおり、解決金は性質上曖昧な部分があるため、後日慰謝料などほかの名目で請求される可能性があります。
したがって、離婚協議書を作成する際は清算条項を付与し、離婚に付随する問題はすべて解決したことを双方で確認しておくことが重要です。
清算条項があれば、離婚に関する金銭について、あとから請求することはできなくなります。
関連記事≫≫
離婚協議書作成費用を抑える!自分で作成する方法
まとめ
解決金について解説しました。
解決金は用途が広く便利ではありますが、デメリットもあります。また、解決金を支払えば必ず円満に離婚できるとは限りません。
「配偶者が離婚に応じてくれない」「円満に離婚したい」と思ったら、弁護士に相談することをおすすめします。
当サイト「離婚弁護士相談リンク」は離婚問題に強い弁護士を厳選して掲載しています。ぜひお役立てください。
都道府県から弁護士を検索する
離婚コラム検索
離婚の基礎知識のよく読まれているコラム
-
1位基礎知識弁護士監修2020.10.28離婚したいけどお金がない人が離婚する方法と知っておくべき全知識専業主婦やパートタイマーなど、離婚後の生活やお金がないことが理由で「離婚したいけ...
-
2位基礎知識弁護士監修2019.02.05離婚を決意する瞬間は妻と夫では違う!決意後に考えなければいけないこと離婚したいけど踏みとどまっている人と離婚した人の最大の違いは決意したかどうかです...
-
3位基礎知識弁護士監修2018.09.072度目の離婚後は旧姓に戻せない?離婚後に姓と戸籍がどう変わるのか離婚によって自分自身と子供に関係するのが苗字の問題です。離婚はしたいけれど自分と...
-
4位基礎知識弁護士監修2020.01.17親が離婚した子供の離婚率|子供も離婚しやすくなる理由と解決策とは「親が離婚すると子供の離婚率が上がる」と言われることがあります。実際、「親の離婚...
-
5位基礎知識弁護士監修2019.10.04産後セックスを再開する目安はいつ?身体の変化と夫婦生活が減ったときの対処法妻の妊娠・出産を機にセックスがなくなったという夫婦も多いのでは?産後は子供のこと...
新着離婚コラム
-
裁判・調停2024.10.28家事手続案内とは?家庭裁判所で相談できること、できない時の相談先家庭裁判所は家事事件と少年事件を扱う裁判所です。家事事件について悩みがあるものの...
-
財産分与2024.10.18株式の財産分与|評価方法や基準時、注意点を解説離婚の際、婚姻中に夫婦が築き上げた財産を公平にわけることになります。これを財産分...
-
その他離婚理由弁護士監修2024.09.27障害児の子育てを理由に離婚できる?離婚する前に考えるべきこと一般家庭と比べて障害児のいる家庭の離婚率は高いと言われています。これについて正確...
-
親権・養育費2024.09.25養育費に連帯保証人をつけることはできる?注意点と未払いを防ぐ方法近年、養育費の未払いが社会問題化しています。政府統計ポータルサイトe-Statの...
-
基礎知識弁護士監修2024.08.23祖父母は面会交流できる?孫との関係を守るポイントと改正民法を解説離婚によって子供と離れて暮らす側の親には子供と面会する権利があります。面会交流は...
離婚問題で悩んでいる方は、まず弁護士に相談!
離婚問題の慰謝料は弁護士に相談して適正な金額で解決!
離婚の慰謝料の話し合いには、様々な準備や証拠の収集が必要です。1人で悩まず、弁護士に相談して適正な慰謝料で解決しましょう。
離婚問題に関する悩み・疑問を弁護士が無料で回答!
離婚問題を抱えているが「弁護士に相談するべきかわからない」「弁護士に相談する前に確認したいことがある」そんな方へ、悩みは1人で溜め込まず気軽に専門家に質問してみましょう。