離婚慰謝料に関する正しい知識を身につけて適正価格を請求するには!

慰謝料
離婚慰謝料に関する正しい知識を身につけて適正価格を請求するには!

さまざまなケースで夫婦が離婚をすることは今や珍しいものではありません。場合によっては慰謝料を請求する場合もあります。

実際に離婚を検討している場合は、自分が慰謝料の請求ができるのか気になるポイントでもあります。 請求できるケースとはどういった状況なの? 慰謝料の相場はいくらなの? 税金はかかるの?

今回は、上記のような離婚慰謝料に関する疑問を解消する、「適正な慰謝料を請求の知識」についてまとめました。

目次
  1. 離婚慰謝料を請求できるケースについて
    1. 離婚慰謝料を請求できるケースはどんなケース?
    2. 離婚慰謝料を請求できないケースはどんなケース?
  2. 離婚慰謝料の相場観について
    1. 不貞行為が原因の場合
    2. モラルハラスメントが原因の場合
    3. 悪意の遺棄が原因の場合
  3. 離婚慰謝料に関する税金について
  4. まとめ

離婚慰謝料を請求できるケースについて

そもそも「慰謝料」とは、不法行為によって苦痛与えられていた場合の損害賠償金を指します。

精神的であっても、肉体的であっても、不法行為によって損害を被った際に、その償いとして慰謝料を請求することができます。離婚時に請求される慰謝料は、特に「離婚慰謝料」と呼ばれています。

しかし離婚時であればどのような場合でも離婚慰謝料を請求できるわけではありません。離婚慰謝料が請求できるポイントは、苦痛の原因が相手にあるという「自身の損害と相手との因果関係」にあります。

まずは、離婚時にどのような不法行為があれば、離婚慰謝料を請求できるのかを見ていきましょう。

あわせて、慰謝料を請求できないケースについても解説していきます。

 離婚慰謝料を請求できるケースはどんなケース?

それでは、離婚慰謝料を請求できるケース・相手の不法行為について、具体的に解説していきます。

不法行為があった際に、離婚慰謝料を受け取ることができることは、民法第709条で定められています。相手に過失がある場合は、損害を賠償する責任・義務があるのです。

このように離婚慰謝料の請求の権利は法律に明記がありますが、「自身の損害と相手との因果関係」を証明しなければならないことには注意が必要です。

離婚慰謝料請求の対象となる不法行為とあわせて、どのような証拠を用意しておく必要があるのかについても見ていきましょう。

不貞行為

不貞行為とはいわゆる「浮気・不倫」のことです。不貞行為は一方的に離婚できる条件として民法第770条にも明記されています。

この不貞行為は、婚姻関係を破綻させる原因となり、相手に精神的苦痛を与える行為として、離婚慰謝料請求の対象となっています。

不貞行為としてみなされる大前提は、「性的行為の事実」です。メール・電話の履歴・2人での食事程度では、浮気の疑いがあるだけで十分な証拠とはならないケースもあります。

不貞行為が疑われる程度でも慰謝料の請求はできますが、実際に受け取ることができるのかは、また別の問題となってしまいます。

離婚慰謝料を受け取りには、以下のような不貞行為の確固たる証拠が必要となります。

・肉体関係が推測できる動画、画像
・ホテルなどに出入りする動画、画像、興信所の報告
・肉体関係を証明するメール、SNS上のやりとりの内容
・不貞行為を認める動画、録音
・肉体関係が推測できるホテルの領収書 …etc

浮気が疑われる場合の離婚慰謝料の請求は、証拠があることでかなり有利に進みます。 そのため不貞行為が原因の離婚・慰謝料請求では、浮気の真偽を本人に問う前に、探偵や専門業者による証拠集めが重要です。

悪意の遺棄

悪意の遺棄とは、悪意を持っている、あるいは積極的に相手を見捨てる行為を指します。民法第752条により、夫婦には「同居すること」「互いの協力」「扶養すること」が義務付けられています。

そのため、同居生活・夫婦生活の破棄とみなれる行為を行った場合は、「悪意の遺棄」として離婚慰謝料の請求対象となるのです。

以下のような行為は悪意の遺棄とみなされます。

・家出を繰り返す


・一方的に別居を始める


・配偶者を家から追い出す


・精神と肉体どちらも健康であるにも関わらず仕事をしない


・生活費を配偶者に渡さない


・専業主婦(夫)が家事をしない


・共働きの家庭であるにも関わらず一方が家事をしない

悪意の遺棄も証拠を集めておくことで、慰謝料を受け取れる可能性が高くなります。

・生活費を管理する口座の預金通帳の写し
・同居の拒否、一方的な別居が推測できるメール、手紙、録音
・別居の事実が分かる住民票や賃貸契約書
・悪意の遺棄が分かる興信所の報告
・夫婦生活の実態がないことが分かる日記やメモ…etc

悪意の遺棄に該当するような行為でも、正当な理由がある場合は悪意の遺棄として認められません。

生活費を渡さず自分は遊んでいる証拠を掴むなど、離婚を切り出す前に準備を始めておきましょう。

家庭内暴力・モラルハラスメント

暴力は家庭内であっても犯罪です。離婚理由にも、離婚慰謝料請求の対象にもなります。

殴る蹴るなどの身体的な暴力が、「DV(ドメスティックバイオレンス)」や「家庭内暴力」と呼ばれます。一方、精神的な暴力は「モラルハラスメント」と呼ばれ、こちらも離婚慰謝料請求の対象です。

モラハラは家庭内暴力と違い、証拠が残りにくく、第3者からも分かりにくいという点が特徴です。

配偶者が専業主婦(夫)であったり、子供ができたりと、相手が逃げられない状況になってからモラハラが始まるケースが多いようです。モラハラは目には見えにくいため被害を受けている本人ですら、相手から精神的な暴力を受けていると気づいていないケースも存在します。

以下のような発言や態度をされている場合、モラルハラスメントを受けている可能性があるので、確認してみてください。

・「自分は働いているのにお前は何もしていない」「何様だ」など相手を卑下する発言

・「気持ち悪い」「消えろ」「バカ」「普通の人なら…」「無視する」などの人格や存在を否定する発言、行為


・「俺(私)が稼いだ金だぞ」「お前が稼げ」「生活費を渡さない」など専業主婦(夫)や妊婦、子育て中の母親といった働けない相手に対する経済的DV


・暴力や脅迫を伴う性交渉を強要されるなど強姦罪、強制わいせつ罪に該当する性的暴力行為


・ミスや失敗を認めず執拗に攻めたり、舌打ち・溜息をするなどの精神的に追い詰める行為

・友人や家族など人間関係の制限


精神的苦痛を受けているが、相手の行動がモラハラか判断できない場合は、婦人相談所など専門窓口に相談してみましょう。

家庭内暴力・モラルハラスメントに対する慰謝料請求は、以下のような証拠を集めておきましょう。

・暴力を受けた後の診断書(暴力によるものであるという記載があるもの)
・暴力によるケガの写真(日付や本人であることが分かるもの)
・暴力行為を記録した動画や録音
・言葉の暴力と判断できるメール、SNS、メッセージアプリ上のメッセージ内容
・家庭内の物や写真を壊したり破いたりするなどした写真、動画、録音
・言葉の暴力を行っている時の動画、録音
・公的機関にDV、モラハラの相談に行った履歴…etc

暴力を受けている場合、録音や動画の用意が難しいこともあります。

この場合は、日付順に丁寧にまとめられたメモや日記・公的機関・警察・両親などに相談した履歴など、できるだけ客観的な証拠を作りましょう。

セックレス

夫婦でありながらも、性交渉を理由なく拒否することは離婚の理由として認められており、離婚慰謝料の請求対象となることがあります。

民法では、明示はないものの「性交渉は婚姻生活に必要な要素」とされ、離婚の理由として法的に認められています。

しかし、セックレスのすべてのケースで離婚・慰謝料の請求が可能なわけではありません。

セックレスが離婚理由や慰謝料の支払いを認めるケースは、以下のようなものがあります。

・長期間性交渉がない

・結婚後一度も性交渉をしていない

・性交渉を望む相手を正当な理由なく拒み続けている

・配偶者とは性交渉がないが、浮気相手とは性交渉があった

一方で、拒んだ回数が少ない、ED、妊娠中、年配の夫婦などセックレスになった原因や経緯によっては、慰謝料が請求できないケースも存在します。

また、セックレスの場合、性交渉の不存在について証拠を集めづらいことから、慰謝料の獲得が難しい場合も多くなっています。

・セックレスの生活を記録した日記
・性交渉を拒む様子や会話の動画・録音

上記のような証拠からセックスレスによって、精神的な苦痛を受けている証明ができれば、離婚慰謝料を受け取れる可能性があります。

離婚慰謝料を請求できないケースはどんなケース?

離婚時の慰謝料獲得には、相手から苦痛を受けたことが前提とお伝えしてきました。そのため、離婚慰謝料が請求できないケースというのは、「離婚理由が相手にない場合」と言えます。

性格の不一致

離婚理由で最も多いのが、夫婦間の「性格の不一致」ですが、慰謝料支払いの対象とはなっていません。

実は、性格の不一致は、法律上定められた正式な離婚理由ではありません。お互いが納得して行われる協議離婚・調停離婚であれば問題ありませんが、裁判で離婚を争う場合には裁判所が離婚を認めないケースが多いようです。

一方、性格の不一致が原因となり夫婦関係が破綻している事実があると判断されれば、離婚が認められる可能性があります。

このように、性格の不一致のみを理由として慰謝料を請求したくても、相手と裁判で争う場合は慰謝料の獲得は認められないでしょう。

自分に責任がある

慰謝料の支払いの前提が「相手から受ける苦痛」であるため、自分に非がある場合には慰謝料の請求・獲得はできません。

むしろ、相手から慰謝料の請求をさせる可能性もあります。 その他、どちらに非があるのか分からないようなケースでも、慰謝料の獲得は難しいでしょう。

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離婚慰謝料の相場観について

離婚慰謝料の相場観について

離婚慰謝料が発生するケースに該当するのであれば、どれぐらいのお金を請求するのかがポイントとなってきます。 相手の不法行為によって、支払われる慰謝料の相場が異なるため、ここからは代表的な離婚理由における離婚慰謝料の相場についてご紹介します。

慰謝料の算出には、相手から受けた苦痛の大きさ、負担の大きさが基準となります。そのため、相手の不法行為によりどれだけの苦痛を受けたのかを主張・証明することで、慰謝料の金額が高くなる可能性があります。

また、相手の資産状況などによって変わるケースもあるため、紹介する慰謝料はあくまで一般的な金額となります。

不貞行為が原因の場合

浮気による離婚の慰謝料は、100~300万が相場です。場合によっては500万円まで上がることもあります。

どのような不貞行為がどれぐらいの回数行われたのかが考慮された結果、慰謝料の金額が決まります。 以下のようなケースでは、慰謝料が増額・減額される可能性があります。

増額されるケース

  • 不貞行為の期間が長期間に渡る
  • 浮気相手に子供ができた
  • 婚姻期間が長い
  • 浮気前の夫婦生活が円満であった
  • 相手が、不貞行為の証拠があるにもかかわらず浮気を否認している
  • 何度も浮気を繰り返している
  • 夫婦間に子供がいる

減額されるケース

  • 浮気の原因が自分にある場合(正当な理由の内性交渉の拒否など)
  • 浮気相手の謝罪・社会的制裁があった
  • 十分な慰謝料を払える資産状況にない
  • 浮気前から夫婦生活が破綻していた
  • 不貞行為の回数が少ない

モラルハラスメントが原因の場合

モラルハラスメントが原因で離婚・慰謝料を請求した場合は50~300万が相場です。 モラルハラスメントの回数や期間・常習性が金額決定の要素となります。

暴力行為に関してはさらに高額となるケースもあるため、慰謝料が増額・減額されるケースを見てみましょう。

増額されるケース

  • モラルハラスメントを受けた期間が長い
  • モラルハラスメントによる後遺症や精神疾患が残った
  • 後遺症・精神疾患の重度
  • 悪質で多くのモラルハラスメントが行われていた

減額されるケース

  • 十分な慰謝料を払える資産状況にない
  • 謝罪や反省が真摯に行われた
  • 被害者側の非があった

悪意の遺棄が原因の場合

悪意の遺棄の相場は、50~300万円です。 悪意の遺棄に含まれる夫婦生活の放棄ですが、場合によっては浮気相手と同居を始めたりと不貞行為と並行して行われるケースもあります。

この場合は、悪質性が高いと判断され、慰謝料が高額になる場合があります。 その他の慰謝料が増額されるケースは、減額されるケースとともに下記で確認しましょう。

増額されるケース

  • 悪意の遺棄が長期間行われていた
  • 合意のない別居と生活費を渡さないなど複数の悪意の遺棄があった

減額されるケース

  • 不貞行為など自分の非が悪意の遺棄につながった
  • 十分な慰謝料を払える資産状況にない

離婚慰謝料に関する税金について

離婚慰謝料に関する税金について

離婚慰謝料を獲得した場合は、金銭の贈与に該当するのか・税金対象になるのかに関して、疑問をお持ちな方もいらっしゃるでしょう。

離婚時に受け取る慰謝料に関しては、原則、非課税です。慰謝料は、相手から受けた苦痛に対する損害賠償です。そのため、離婚慰謝料に加え示談金に関しても、所得税上非課税となっています。

一方で、慰謝料を不動産で支払った場合は、不動産所得税・所有権の登録免許税・固定資産税などがかかってきます。

また、「社会通念上相当の金額」を超える高額な慰謝料を受け取った場合も、贈与税がかかる可能性があります。この場合の課税対象は、社会通念上相当の金額を超過した分のみとなります。

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まとめ

今回は、離婚時の慰謝料の獲得や相場観について解説してきました。

慰謝料の請求自体は多くのケースで可能ですが、慰謝料の獲得となると、相手が不法行為をした事実の証明が必要です。

適正な慰謝料の獲得には、自分が相手からどれほどの苦痛・負担を受けたのかを、客観的事実から示さなければなりません。

離婚慰謝料の金額は、ケースバイケースでかなり金額に開きが出ます。相手が原因で離婚を決心した場合は、相手に切り出す前に、不法行為の決定的な証拠を集めておきましょう。

請求額を考える際は、税金については多くの場合で考慮する必要はないでしょう。

離婚を検討している方は、慰謝料を獲得できる証拠が十分に集まるまで離婚の申し出を待つなど、離婚のタイミングも考慮することをおすすめします。

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