離婚してくれない相手と離婚する方法と応じてくれないときの対処法
離婚したいと思っても配偶者が離婚に応じてくれないこともあります。
そもそも、離婚がスムーズに進むケースは少なく、特にどちらか一方が離婚したくない場合は話し合いが進まないことが多いです。
もし相手が離婚に応じてくれない場合はどう対処すれば良いでしょうか。
この記事では、配偶者が離婚に応じてくれない場合の対処法を紹介していきます。
- 目次
配偶者が離婚してくれない理由とは
相手が離婚してくれない場合、「離婚したくない」と思う理由を知る必要があります。
理由が分かれば対応次第で離婚を進められるかもしれません。配偶者が離婚してくれない理由として多いものを見ていきましょう。
情が残っているから
配偶者が離婚してくれない理由の一つに、あなたへの愛情がまだ残っていることが考えられます。
配偶者にとって離婚請求は予想もしないことであり、夫婦として気持ちが残っていることから離婚に同意したくないと考える傾向にあります。
特に離婚理由が配偶者側にある場合、配偶者の愛情は残っており、「離婚したくない」と考えることも多いようです。
やり直せると思っているから
あなたの離婚意思が固まっていたとしても、相手はまだやり直せると考えている場合があります。
「話し合えば理解しあえる」「冷静になれば気持ちが変わる」など、まだ夫婦関係を立て直せると考えているため離婚に応じない可能性があります。
離婚理由が理解できないから
価値観が違っていたり、離婚理由の伝え方が悪ければ、相手が離婚理由を理解できず、離婚に同意してくれないケースもあります。
特に感情的に離婚理由を伝えると、「時間が経てば考えが変わるだろう」と思わせてしまう可能性があります。
また、離婚理由が相手に伝わったとしても、「離婚するほどの理由ではないだろう」と思われる場合もあります。
子供のことが心配だから
夫婦の間に子供がいる場合、離婚後の子供の精神状態や将来が心配になって離婚に同意してくれないことも多いです。
一般的に、子供の年齢が小さいほど両親が揃っている方が良いと言われています。
また、親権を持つ側(特に女性)であれば子育ての環境や金銭面でも不安が大きくなるでしょう。
夫婦仲がよほど悪化していなければ、子供がある程度大きくなるまでは離婚しないというケースも多いようです。
離婚後の生活が心配だから
これは専業主婦や収入が低い女性によくあるケースですが、離婚後の生活が不安なため離婚に同意してくれないことがあります。
慰謝料や財産分与があったとしても、離婚後は自分で生活費を稼がなければなりません。
そのため、夫婦関係は冷めていたとしても、生活のために離婚してくれないケースもあります。
離婚に応じると負けた気がするから
配偶者のプライドが高いと、離婚を告げられたことでプライドが傷つき、頑なに離婚に応じない場合があります。
特に離婚することが自分にとってデメリットしかなければ、離婚を受け入れてくれない可能性が高いです。
この場合、離婚交渉には時間がかかることが予想されます。
世間体が気になるから
昔と比べると離婚に対しての印象は変わりつつありますが、やはり良いイメージを持つ人は少なく、偏見もあります。
離婚することで職場や子供の学校、近所付き合いなどで肩身の狭い思いをする可能性もあります。
日頃から世間体を気にするような相手であれば、なかなか離婚に応じてくれない可能性が高いでしょう。
浮気や不倫を許せないから
自分が不倫や浮気をしていた場合、離婚してもらえないのは相手が浮気を許せないと考えている可能性があります。
不倫や浮気をした側から離婚を求められた場合、「浮気相手と再婚するのではないか」と考えてしまいますし、浮気したことを反省していないように捉えてしまいます。
一方、裁判に進むと、不倫した側からの離婚請求は、一定の場合(未成熟子がいない等)を除いて、原則認められません。自分が浮気や不倫をしている場合は慎重に進めるべきと言えます。
離婚してくれない相手に話し合いで離婚に応じてもらう方法
離婚は、まず夫婦の話し合いで問題解決を図ります。
しかし、相手が離婚したくないと考えている場合、話し合いで離婚に応じてもらうことは容易ではありません。
話し合いで離婚を進める際は次のことに注意しましょう。
話し合いは冷静に
話し合いになると感情的になってしまいがちですが、離婚を話し合いで解決したいのであれば冷静さを保つことが大切です。
自分が感情的になってしまえば、相手も感情的になり、収拾がつかなくなります。
相手にも言い分があると思いますので、相手の意見も尊重し、冷静さを保つように心掛けてください。
離婚の意思が固いことを伝える
相手側が「まだやり直せる」と考えていたり、愛情が残っているという場合、修復の可能性がないことや「どうして離婚したいのか」をしっかりと相手に伝えることが重要です。
相手に理解してもらえるように伝えれば、離婚の意思が固いことを相手に示せます。
一方、相手を傷つけたくないからといって曖昧な態度を取っていては、相手に修復のチャンスがあると期待させてしまいます。
こうなるとますます離婚に応じてもらえなくなります。
証拠を準備する
離婚理由が浮気やDV、モラハラなどの場合、まずは証拠を集めておきましょう。
証拠があれば相手も自身の非を認めざるを得ない状況になりますし、もし認めない場合でも証拠があるため、離婚交渉を進めやすくなります。
証拠は離婚条件を決めるうえで重要なため、法的に有効となりうる証拠を集めるようにしましょう。
子供への影響を最小限に抑える
夫婦の間に子供がいる場合、できるだけ子供に影響をおよぼさないように配慮することが重要です。
子供がいる場合、どちらか一方を親権者に決めなければなりません。
子供への影響を小さくするために、転校や転園をしなくて済むように配慮したり、離婚後の姓をそのまま名乗ることもできます。
また、離婚後の面会についてもしっかり決めておけば相手の不安を軽減できるでしょう。
「両親がいがみ合っているより、離婚したほうが子供にとっても良い」ということを理解してもらうのも重要です。
経済的不安を解消する
離婚してくれない理由の一つに、配偶者の経済的不安が含まれることも多いです。
そのため、財産分与や慰謝料など、ある程度の財産を得られることや、子供がいる場合は養育費を支払うことなど離婚後も経済的な問題は生じないことを説明し、理解してもらいましょう。
一方、婚姻中、配偶者の収入に頼って生活していたという場合、離婚しても生活には困らないことや一人でやっていけることを相手に伝えることが重要です。
相手が離婚後の生活の不安を解消できれば、離婚に同意してもらえる可能性があります。
第三者に間に入ってもらう
話し合いが平行線になってしまった場合や、感情的になってしまうような場合、第三者に間に入ってもらうと良いでしょう。
ただし、友人や親族が間に入れば一方に肩入れしてしまうため、話がこじれてしまう可能性があります。
弁護士に依頼すれば、今後の展開について法律の見解も交えてアドバイスをしてくますし、離婚交渉も代行してもらえます。
別居を提案する
なかなか離婚に応じてもらえないのであれば、別居を提案してみても良いでしょう。
別居しているうちに、「離婚して新しい人生を歩んだ方が良いのではないか」と相手が考えるようになるかもしれません。
また、別居が長期間におよぶと「婚姻関係が破綻している」とみなされる可能性があります。
「婚姻関係の破綻」は法的離婚事由ですので、別居が長引くほど裁判で離婚が認められやすくなります。
離婚してくれない相手に調停で離婚に応じてもらう方法
話し合いを行ったものの相手が離婚してくれない場合や離婚条件がまとまらない場合は、離婚調停を申し立てます。
調停で離婚に応じてもらうためのポイントを知っておきましょう。
調停委員を味方につける
離婚調停では、調停委員と通じて話し合いを行います。そのため、調停委員を味方につけ、相手を説得してもらう必要があります。
このとき、こちら側の受け答えが曖昧だと調停員は夫婦関係を修復する方向に進める可能性もあります。
しっかりと離婚の意思を伝え、調停委員から相手に離婚を説得してもらえば有利に離婚を進められる可能性が高まります。
弁護士に依頼する
離婚調停を弁護士に依頼するのも有効です。
弁護士なら、どのように主張すれば離婚が成立しやすくなるかアドバイスしてくれますし、法的な手続きを代行してもらえます。
もちろん、弁護士に依頼すれば弁護士費用がかかります。
弁護士費用は安いものではないため、「弁護士費用を払ってでも離婚がしたい」という姿勢を調停員や配偶者にアピールすることができます。
相手の言い分に対して譲歩することも考える
どれだけ離婚に向けて準備をしていたとしても、全て自分の考えたとおりの条件で離婚できるわけではありません。
相手にも言い分があり、主張や要望があるものです。状況に応じ、ある程度は相手の言い分も譲歩することを考えておきましょう。
離婚してくれない相手に裁判で離婚に応じてもらう方法
調停で離婚が成立しない場合は裁判で離婚を争うことになります。裁判で離婚が認められるポイントについて解説します。
法定離婚事由があれば法的に離婚が認められる
裁判で離婚が認められるためには民法第770条に定める法定離婚事由が必要です。
また、相手が離婚に応じない場合であっても、法定離婚事由があれば裁判で離婚が認められます。
法定離婚事由には次のものがあります。
不貞行為
不貞行為とは、配偶者以外の異性と自由意志に基づいて性的関係を持つことを指します。
一般的には不倫や浮気と言いますが、法的には不貞行為と言います。
不貞行為があったことを立証できれば離婚が認められるだけではなく、慰謝料の請求も可能です。
ただし、夫婦関係が破綻した状態で不貞行為があった場合は離婚事由として認められない場合があります。
悪意の遺棄
夫婦は同居し、互いに協力して扶助するべきであると法律では定められています。
正当な理由なくこの夫婦の義務を放棄することを悪意の遺棄と言い、法的に離婚が認められます。
悪意の遺棄に該当するものとして、収入があるにも関わらず生活費を渡さないことや、理由なく同居を拒否すること、家出を頻繁に繰り返すといったことが挙げられます。
3年以上の生死不明
何らかの理由で3年以上に渡って配偶者の生死が確認できない場合、離婚請求が可能です。
ただし、配偶者の生死が分からないことを客観的に判断できる状況でなければなりません。
相手がどこにいるかわからないが、手紙や電話などがある場合は該当しません。
回復しがたい強度の精神病
配偶者が強度の精神病を患い、夫婦の義務が果たされないような場合も離婚請求が可能です。
強度の精神病であるかどうかは医師が判断します。
ただし、離婚後に病気を患う配偶者が生活を続けられる手段や今後の見込が立っていなければ離婚が認められることは難しいでしょう。
また、離婚を希望する側がこれまで献身的に看護や介護を行っていたかどうかも重視されます。
その他婚姻を継続し難い重大な事由
上記4つの事由のほか、これ以上夫婦関係を継続できないと判断された場合、「その他婚姻を継続し難い重大な事由」とみなされ、離婚が認められる可能性があります。
婚姻を継続し難い重大な事由としては、例えば以下のような例があります。
- DVを受けている
- 薬物依存やアルコール依存がある
- 性格の不一致により別居期間が長期に渡っている など
「その他婚姻を継続し難い重大な事由」が認められるかはケースバイケースになります。詳しくは弁護士にご相談ください。
裁判で離婚が認められなかった場合
裁判でも離婚が認められず、それでも離婚したいという場合は「控訴の申し立て」を行うことができます。
控訴は高等裁判所で審理されるもので、裁判の判決から2週間以内に申し立てを行う必要があります。
離婚してくれない相手に対してやってはいけないこと
なかなか相手が離婚に応じてくれないと誤った行動を取ってしまいがちです。
ここからは、離婚に応じてくれないときにやってはいけないことを解説します。
感情的になる
相手が離婚に応じてくれないからといって感情的になってはいけません。
こちらが感情的になってしまえば、相手も感情的になってしまい、泥沼化してしまいます。
離婚を成立させるためにも常に冷静に対応できるよう心を落ち着かせましょう。
どちらか一方の親や親戚、友人などに間に入ってもらう
夫婦での話し合いが上手く進まない場合、第三者に間に入ってもらおうと考える人もいるでしょう。
しかし、第三者がどちら一方の親や親戚、友人などの場合、一方の肩を持ってしまう可能性があります。
そうすると、互いに感情的になってしまい、ますます話し合いが進まなくなることもあります。
第三者を入れるのであれば、弁護士など中立の立場の専門家に依頼することをおすすめします。
離婚届を勝手に提出する
離婚してくれないからといって勝手に離婚届を偽造して提出してはいけません。離婚届を偽造することは違法行為になります。
勝手に提出しても、離婚無効調停や離婚無効訴訟を起こされれば離婚が無効になる可能性があります。
こうなると、離婚成立までさらに時間がかかってしまいます。離婚は法的な手続きに則り、正式な方法で進めるようにしましょう。
配偶者が離婚に応じてくれない場合は弁護士に相談
配偶者が離婚に応じてくれない場合は、一人で悩まず弁護士に相談しましょう。
弁護士であれば離婚を有利に進めるために必要なアドバイスをくれるだけでなく、離婚の交渉や調停や裁判など法的な手続きも代行して進めてくれます。
まとめ
配偶者が離婚してくれない場合の対処法について解説しました。
離婚に応じない相手を納得し、有利に離婚するためにも弁護士に相談することをおすすめします。
当サイト「離婚弁護士相談リンク」は離婚に強い弁護士を厳選して掲載しています。ぜひお役立てください。
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