不倫の時効|不倫(浮気)の慰謝料請求の時効を更新するには
不倫や浮気をされたとき、不倫をした配偶者や不倫相手に対して慰謝料を請求できます。しかし、不倫の慰謝料請求には時効があり、一定期間をすぎると慰謝料の支払いを受けられなくなる可能性があります。
この記事では、不倫の慰謝料請求の時効について詳しく解説します。
- 目次
不倫の時効とは
時効とは、「ある出来事から一定期間経過したという事実を尊重し、その状態が法的に正当かどうかに関わらず、これを正当な法律状態と認めること」を言います。
不倫の慰謝料請求の場合、時効とは「一定期間を経過することにより慰謝料を請求できなくなること」を言います。
時効には消滅時効と取得時効の2つの種類があり、前者は時効によって権利が消滅するもの、後者は時効によって権利が確定的になるものです。不倫の慰謝料の時効は消滅時効となります。
配偶者に不倫されると精神的な損害を被ります。そのため、不倫をした配偶者と不倫相手に対して慰謝料を請求することができます。
しかし、長期に渡り慰謝料請求権を行使しない場合、慰謝料請求権の時効が完成し、権利が消滅してしまうことになります。
不倫の慰謝料請求の時効
不倫は法的には不貞行為と言います。不貞行為とは配偶者以外の異性と肉体関係を持つことで、民法上の不法行為になります。不法行為による損害賠償については民法で以下のように規定されています。
第709条
故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
不倫は民法上の不法行為ですので、損害賠償(慰謝料)請求が認められます。なお、不法行為に基づく損害賠償請求権の時効には以下の2つがあります。
- 損害および加害者を知ったときから3年
- 損害があったときから20年
不倫の慰謝料請求の場合、上記の時効を以下のように読みかえることができます。
- 不倫の事実や不倫相手を知ったときから3年
- 不倫があったときから20年
いずれも時効の進行途中で更新することができます。これを消滅時効と言います。
配偶者に対する慰謝料の時効
不倫をした配偶者に対する慰謝料は「不倫の事実を知ったときから3年」「不倫があったときから20年」のどちらか早いほうで時効が完成します。これは、慰謝料を請求する相手が誰であるかはっきりしているためです。
なお、不倫を理由に離婚する場合は離婚慰謝料として請求することになります。この場合、不倫の慰謝料請求権は「離婚が成立したときから3年」が時効となります。
もちろん、離婚の際に「離婚慰謝料」という形ではなく、「不倫に対する慰謝料」を請求をすることもできます。
また、不倫の事実を知ってから3年が経過した場合であっても、不倫を理由に離婚してから3年以内であれば離婚慰謝料を請求することができます。
不倫相手に対する慰謝料の時効
不倫相手に慰謝料を請求する場合、「不倫相手を知ったときから3年」「不倫があったときから20年」のどちらか早いほうで時効が完成します。
ただし、不倫相手の素性がわからないという場合は「不倫があったときから20年」が時効となります。
時効直前に不倫の慰謝料を請求する場合
時効直前に不倫の慰謝料を請求する場合、時効の「更新」という制度を利用すると良いでしょう。前述のとおり、消滅時効であれば時効を更新することができます。
時効を更新すると時効がリセットされ、更新した時点からあらためて時効が進行することになります。
不倫の時効を更新するには
ここからは不倫の慰謝料の時効を更新する方法について解説します。
時効の更新とは
ここまで説明したとおり、時効の更新は、「特定の事由が起こることで時効の進行が止まり、ゼロから時効が進行すること」です。
時効の更新を行うことによって、それまで進行していた時効期間はなかったことになります。どのような事由で時効の更新が可能になるのかについて、次項で詳しく解説します。
債務を承認させる
1つ目の時効の更新事由は債務承認です。債務承認とは、「債務があることを債務者が認めること」を言います。
債務承認は口頭で行うこともできますが、トラブルを避けるためにも示談書を作成し、書面の形で残しておきましょう。
示談書に記載する際は「不倫をしたため、慰謝料の支払い義務があることを認めます」「慰謝料を支払います」といった内容があれば十分です。
なお、示談書を作成する際は署名押印をさせ、日付を入れることも忘れずに行いましょう。
裁判で請求する
2つ目の時効の更新事由は裁判です。裁判で不倫の慰謝料を請求することで時効が更新されます。判決が出るまでの間に時効を迎えても問題はありません。
なお、判決が出ると、時効は10年間に延長されます。これは、判決で確定した権利の消滅時効について民法で規定されているためです。
第174条の2
確定判決によって確定した権利については、10年より短い時効期間の定めがあるものであっても、その時効期間は、10年とする。裁判上の和解、調停その他確定判決と同一の効力を有するものによって確定した権利についても、同様とする。
債務の承認は相手方が承認しなければ時効の更新を行うことができません。
一方、裁判は法的な手続きが必要ですが、相手方の協力が得られなくても時効の更新ができるというメリットがあります。
仮差押・仮処分・差押え
3つ目の時効の更新事由は仮差押・仮処分・差押えです。不倫の慰謝料について公正証書を作成している場合は相手方の給与や資産を差し押さえることができます。
このとき、相手方の給与や資産を差し押さえた時点で時効が更新します。
不倫の時効が完成したら慰謝料を請求できないのか
時効が完成すると慰謝料の請求は難しくなりますが、支払いを受けること自体に法的な問題があるわけではありません。
そのため、時効が完成した場合であっても、相手方に慰謝料を支払う意思がある場合は慰謝料の支払いを受けることができます。
なお、時効が完成していることに気づかず、相手方が慰謝料を支払う意思を示した場合、あとから時効の完成を主張することはできません。
不倫の時効を更新するなら弁護士へ
不倫の慰謝料請求の時効は更新することができますが、相手方の協力や裁判、差し押さえなどの手続きが必要です。
また、自分の場合に慰謝料請求が可能かどうかや慰謝料の時効が完成しているかについては素人が判断するのは難しいこともあります。
不倫の慰謝料請求が可能かどうか、時効が完成しそうな場合はどうすれば良いかなどについては弁護士に相談し、アドバイスを受けながら対処することをおすすめします。
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まとめ
不倫の慰謝料請求権には時効があります。「気づいたら時効が完成していた」などとならないためにも、慰謝料請求は早めに行うことが重要です。
不倫や慰謝料請求に強い弁護士に依頼することで慰謝料請求をスムーズに行えます。特に時効直前に慰謝料を請求する際は弁護士に相談し、アドバイスを受けながら対応することが大切です。
当サイト「離婚弁護士相談リンク」は不倫や慰謝料請求に強い弁護士を厳選して掲載しています。ぜひお役立てください。
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