モラハラ夫と離婚する方法|離婚調停の手続きや慰謝料を高くもらうコツ
厚生労働省の離婚に関する統計によれば、妻側の申し立てによる離婚理由の約20%が精神的虐待(モラハラ)によるものであることがわかります。
つまり離婚した夫婦の5組に1組が夫からのモラハラによる離婚ということです。
この記事ではモラハラとはどういうものか、その判断方法や対処法、モラハラを理由に離婚する際の流れを説明します。
- 目次
モラハラとは?気づきにくい特徴
モラハラとはモラルハラスメントの略で、精神的な攻撃や嫌がらせを意味します。具体的には「相手を侮辱する」「暴言を吐く」「嫌がらせをする」といったものがあります。
モラハラをする夫にはいくつか特徴があります。
もしかして夫はモラハラかも?特徴をチェック!
モラハラ夫には以下のような20の特徴があります。もし「モラハラ夫かも?」と思ったらチェックしてみましょう。
- 言動で相手を傷つける
- 相手のちょっとした間違いを責め続ける
- 何でも人のせいにする
- 自分が悪くても絶対に謝らない
- 明らかに自分が間違っていても自分を正当化する
- 相手が何をしても気に入らない
- 相手をすべて否定する
- 平気でうそをつく
- 外面が良い
- 共感性がない
- 興味がないと無視する
- 急に優しくなる
- 情緒不安定
- 嫉妬や束縛が激しい
- 強欲である
- 自分が常に基準である
- 傷つきやすく繊細である
- 人目に付かないところで暴れる
- 子供をだしにつかう
- 自分が優位になるように周囲をコントロールしている
モラハラされる原因は妻にあることも
モラハラ夫の特徴を説明しました。一方、モラハラされる妻にもモラハラをされやすい(あるいは助長させてしまう)特徴があります。
もしモラハラ被害に悩んでいるなら、自分が以下の要素に当てはまるものがないかチェックしましょう。
- 我慢強く、努力家
- 素直で従順である
- 自分の意見を通すより相手に合せる
- 空気を読み周りに合わせる
- 謙虚である
- もめごとがあると自分が悪いのではないかと考える
- 自己肯定感が低い
- 責任感が強い
- 真面目で几帳面
- 自分よりも他人を優先する
モラハラ夫の対処法
結論から言うと夫のモラハラは治りません。それでも離婚せずになんとかうまくやっていきたいという人もいるでしょう。
ここからはモラハラ行為を少しでも軽減、あるいはモラハラによるダメージを軽減する方法を紹介します。
嫌がらせを真に受けない
モラハラに関しては、どんなに配偶者があなたを悪者扱いしたとしても「被害者が悪い」というケースはほとんどありません。
配偶者はあなたを支配するために理不尽な理由を付けて攻撃しているだけなのです。この前提をしっかりと頭に入れておきましょう。
モラハラを受けやすい人の特徴として「謙虚である」「素直」「我慢強い」というものがあります。これらの特徴はメリットになることもありますが、モラハラ夫の前では不利になります。
もし理不尽なことを言って攻撃されても、鵜呑みにしたり、自分を責めてはいけません。「は?何言ってるの?」とくらいに思っておきましょう。
相手を変えようとするのではなく、自分が変わろうとすることも必要です。
あえて夫を優位に立たせておく
「男はプライドの生き物」とよくいいますが、モラハラ夫に対してもこの部分を活かす方法があります。
モラハラ夫があなたをコントロールしようと罵倒するのは、自分が優位に立ちたいからです。
モラハラ夫は、本当は自分に自信がないために虚勢を張っていることもあります。
「どうしてそんな相手を持ち上げなければいけないの?」と思うかもしれませんが、モラハラ夫を持ち上げ、常に「いい気」にさせておけば、モラハラ行為が軽減する可能性があります。
モラハラ夫と離婚するのは大変
前述の対処法を試みてもモラハラ夫との関係が改善しないことも多いです。
そのまま我慢を続けてしまうと心身に不調が現れることもあります。また、モラハラを見て育つ子供にも影響がおよびます。自分や子供を守るためにも離婚を検討しましょう。
ただし、モラハラ夫はもともと口論が得意というケースが多いです。また、モラハラ夫は外面が良いため周囲の協力も得ることも難しく、離婚するのは簡単ではありません。
本人にはモラハラの自覚がないことが多い
モラハラ夫は基本的にモラハラをしているという自覚はありません。「自分は正しいことを言っている」「妻のために言っている」と思っていることも多くあります。
離婚してくれない事例多数!準備は万全に
モラハラ夫は基本的に自分が悪いと思っておらず、執着心が強いという特徴があります。離婚を切り出したからといって、スムーズに離婚できるケースはほとんどありません。
子供を非難されて初めて気付いたモラハラ
A子は大恋愛のすえ、年上で頼りがいのあるB男と結婚。結婚生活が始まると、B男はちょっと抜けたところのあるA子のミスを指摘するようになります。
A子が違和感を感じ始めたのは、「会社帰りに醤油を買ってきて」という些細なお願いをB男にしたことでした。
お願いされたB男は「なんで専業主婦のくせに買い物もまともにできないんだ!」と罵りました。
素直な性格のA子は、「買い忘れたのは自分だから反省しなきゃ」と言われるまま我慢していました。
その後「どうして俺の帰宅時間まで起きていないんだ」「子供の夜泣きがうるさい。躾もろくにできないのか」とB男の暴言はエスカレートしていきます。
しかし、そんなA子にも我慢の限界が訪れます。それは、ある日B男が言った「うちの子、お前に似て本当に何もできないな」という一言です。
「自分のことなら我慢できたけど、子供のことまで悪く言うのは許せない!第一、私だけの子供じゃなく、2人の子供じゃない!」
一気に目が覚めたA子は離婚を決意します。しかし、B男は自分が悪いことを言っているという自覚はありません。
子供を連れて家を飛び出しましたが、それでもB男は離婚に応じませんでした。A子は弁護士に相談し、やっと離婚が成立しました。
友達の離婚で気付いた夫の異常さ
C子は友達がどんどん結婚していく状況に焦りを感じ、婚活パーティーで知り合ったD男と結婚。D男が高収入だったこともあり、結婚後は専業主婦となりました。
しかし、ある日、C子は友達からモラハラを理由に離婚したことを知らされました。友達の実態を聞いてC子は唖然とします。
「私と同じだ…」実はC子は結婚当初から違和感を抱いていました。
「夫からの電話は3秒以内に出なければいけない」「アルバイトやパートをしてはいけない」「外出は夫の許可が必要」など、たくさんのルールを強いられていたからです。
それでも、素直なC子は「養ってもらっているのだから」とすべて受け止めて言いなりになっていました。
しかし、友達が同じ状況で離婚したことをきっかけに「自分はモラハラを受けているかもしれない」と気付きます。
その後、夫の外出中にC子は実家に戻り、弁護士を挟んで交渉中です。
モラハラ夫と離婚する方法
基本的な離婚の流れは、協議離婚から始まり、協議離婚が成立しなければ、離婚調停、離婚裁判へと進みます。それぞれの離婚方法の特徴や流れについて以下で解説します。
まずは話し合いが可能かを検討する
協議離婚は夫婦で話し合い、合意することで離婚する方法です。面倒な手続きも費用も不要ですから最も簡単でシンプルな方法です。
協議離婚は以下の流れで進めていきます。
- 離婚を切り出す
- 離婚条件を決める
- 離婚協議書を作成する
- 離婚届を提出する
しかし、モラハラ夫は口論に強く、執着心が強いため、協議離婚が成立することは難しいです。
第3者が夫婦の間に入って交渉してくれるようであれば良いのですが、難しいようであれば調停を申し立てる必要があります。
一方、離婚の話し合いに第3者が入ることでモラハラ夫が暴れることもありますので、第3者としては弁護士など離婚問題の専門家が間に入るのが望ましいでしょう。
別居をする
協議離婚が成立しない場合は、別居してみることをおすすめします。
モラハラ夫の支配下にいる妻は健全な精神状態でないことも多く、正常な判断ができないことがあります。夫婦それぞれが冷静な判断をするためにも別居をすると良いでしょう。
離婚調停を申し立てる
協議離婚が成立しない場合は裁判所に離婚調停を申し立てる必要があります。離婚調停とは夫婦の間に調停委員が入り、離婚に関する話し合いを裁判所で行う方法です。
離婚調停の流れは以下のようになります。
- 離婚調停を申し立てる
- 第1回調停期日
- 第2回調停期日~(1回の調停期日で終了することはほとんどありません)
このあと、調停期日が繰り返され、調停成立・調停不成立・取下げのいずれかで調停が終了します。
離婚調停が成立すれば離婚届を役所に提出します。調停不成立あるいは取下げとなった場合、後述する離婚裁判へ進みます。
離婚裁判を申し立てる
離婚調停でも離婚できなかった場合は離婚裁判に進むことになります。離婚裁判とは訴訟を起こし、裁判所で離婚を認めてもらう方法です。
裁判で離婚を認めてもらうためには法的に認められた離婚理由(法定離婚事由)が必要になります。
離婚裁判は以下の流れで進みます。
- 訴状を提出し訴訟を提起する
- 家庭裁判所の呼び出し
- 初回口頭弁論
- 2回目以降の口頭弁論(一回の口頭弁論で終わることはほとんどありません)
- 裁判の終了(判決あるいは和解)
有利に離婚するためのコツ
モラハラ夫と離婚すると決めたら少しでも有利な条件で離婚したいものです。以下で有利な条件で離婚するコツを説明します。
慰謝料を多くもらうための証拠を集める
この場合の慰謝料は、モラハラを受けた精神的苦痛に対する損害賠償のことです。配偶者からのモラハラを理由に離婚するならモラハラがあったという証拠が必要です。
ただし、モラハラはDVや不倫と比べて見えにくく、証拠を残しにくいという問題があります。
しかし、あきらめてはいけません。例えば以下のものはモラハラの証拠として使える可能性があるため、残しておくと良いでしょう。
- ボイスレコーダーによる暴言の録音(最近はスマートフォンでも録音ができます)
- 暴言があったことの録画
- モラハラ被害にあったことを記したメモや日記
- モラハラで鬱病などの精神疾患を患ったことの診断書
これらの証拠を集める際、モラハラ夫に見つからないように注意することも重要です。どのように集めれば良いかわからないときは弁護士に相談しましょう。
夫婦喧嘩だと思われないための伝え方を知る
裁判や調停で離婚する際、「モラハラで離婚したい」と主張するだけでは、何が起きたのか理解してもらえないことがあります。
また、説明の仕方によってはただの夫婦喧嘩と思われることもあります。
モラハラであると理解してもらうためには以下のポイントを盛り込むと理解してもらえる可能性が高まります。
- 「稼げないくせに」などの被害者の立場が弱いことにつけ込んだ発言
- 「頭が悪いから」などの被害者の人格を傷つける発言
- 物にあたるなどの威圧的な行動や態度
専門の相談所や弁護士に相談する
モラハラの加害者は自分がモラハラをしているという自覚はありません。
一方、被害者のほうも日々の暴言や攻撃によって「自分が悪い」と思い込むことで、いわば洗脳状態に陥ってしまい、モラハラを受けていることに気付かないこともあります。
また、モラハラ夫は基本的に口論が得意なので、妻よりも弁が立つため、夫婦だけでの話し合いでは解決できないことが多いです。
各自治体には女性センターと呼ばれる女性問題専門の相談所がありますので、「モラハラかも」と思ったら相談してみると良いでしょう。
また、夫婦で話し合う際も、弁護士などの専門家を介したほうがスムーズに問題解決する可能性が高くなります。
まとめ
モラハラ夫の特徴や離婚する方法について説明しました。
モラハラ夫は口論に強く、執着心が強いという特徴があります。離婚を切り出してもすんなりと受け入れてくれことはまずありません。
このようなときは離婚に強い弁護士に相談しましょう。弁護士が間に入ることで話し合いもスムーズに進みますし、離婚調停や裁判の手続きも代行してくれます。
当サイト「離婚弁護士相談リンク」は離婚に強い弁護士を多く掲載しています。ぜひご活用ください。
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