配偶者が同性と不倫!不貞行為に該当する?離婚や慰謝料請求できる?

不貞行為
弁護士監修
配偶者が同性と不倫!不貞行為に該当する?離婚や慰謝料請求できる?

配偶者が不倫をしていた!しかもその相手は配偶者と同性!

配偶者に不倫されただけでもショックなのに、相手が同性となるとどう考えれば良いのかわからずパニックになる人もいるでしょう。

不倫された場合、不貞行為があったことを立証できれば慰謝料請求ができます。では、不倫相手が同性の場合、同様に考えることができるのでしょうか。

この記事では、配偶者の不倫相手が同性だった場合に不貞行為に該当するのかについて解説します。

目次
  1. 不貞行為とは
    1. 不貞行為が認められれば慰謝料を請求できる
  2. 同性との不倫は不貞行為に該当するのか
    1. 従来は同性間の不倫は不貞行為と認められにくい傾向があった
    2. 同性不倫を不貞行為と認めた裁判例(東京地裁判決2021年2月16日)
  3. 同性との不倫で慰謝料を請求する際の注意点
    1. 不倫の慰謝料は配偶者と不倫相手どちらにも請求できる
    2. 慰謝料請求が認められるためには証拠が必要
    3. 慰謝料請求の流れ
  4. 配偶者の同性との不倫で悩んだら弁護士へ
  5. まとめ

不貞行為とは

不貞行為とは、配偶者のある人が自由な意思に基づいて配偶者以外の人と性的関係を持つことを言います。

「不倫」と呼ぶのが一般的ですが、法的には不貞行為と言います。

不貞行為が認められれば慰謝料を請求できる

不貞行為は配偶者が有する婚姻共同生活の平和の維持といった権利または法的保護に値する利益を侵害するものです。そのため、配偶者の権利を侵害した相手方に対して慰謝料を請求することが可能です。

不貞行為は不貞行為をした配偶者とその相手方が共同して行うものです。したがって、不貞行為が認められた場合、不貞行為をした配偶者と不倫相手の双方に対して慰謝料を請求することができます。

なお、不貞行為があった場合、上記の慰謝料請求とは別で法定の離婚事由となります(民法770条1項1号)。

同性との不倫は不貞行為に該当するのか

不貞行為は、一般的には配偶者以外の「異性」との間で性的関係を持つことを指すと考えられてきました。

現代では、性的マイノリティの存在が認知され、同性同士のカップルなど性の多様性が認められるようになってきました。

では、同性同士の不倫は「不貞行為」に該当するのでしょうか。

従来は同性間の不倫は不貞行為と認められにくい傾向があった

これまでの日本では、同性愛者や同性カップルといった性的マイノリティの認知度が低く、一般的には承認されていませんでした。

そのため、不貞行為とは配偶者以外の「異性」との間で性的関係を持つことを言い、「同性同士では性的関係を持つことはあり得ない」と考えられていました。

異性間での肉体関係のみを不貞行為とする判決も

上記については、過去の裁判例でも「同性同士の性的行為は不貞関係にはあたらない」と判断したものがあり(名古屋地裁昭和47年2月29日判決)、同性同士で性的行為があったとしても不貞行為とは認められにくい傾向がありました。

このような判決があったことから、配偶者が同性との間で性的関係を持ったとしても、「慰謝料請求を諦めた」という人も相当数いたのではないかと推測できます。

同性不倫を不貞行為と認めた裁判例(東京地裁判決2021年2月16日)

これまで、同性同士の性的行為は「不貞行為」とは認められてきませんでしたが、令和3年2月16日の東京地方裁判所において、同性同士の性的行為を「不貞行為」と認める画期的な判決が言い渡されました。

この事案は、夫が妻と性的行為を持った女性に対して慰謝料の支払いを求めたもので、被告である女性側は、従来の裁判例に則り「不貞行為は異性との性的行為を意味する」と主張して原告の請求を棄却するように求めました。

しかし、裁判所は、「異性に限らず、婚姻生活の平和を害するような性的行為も不貞行為に当たる」として、妻と被告女性との間の行為を「不貞行為」と認定しました。

近年、社会的にも性的マイノリティが認知・許容されてきています。そのような背景を受け、裁判所も上記のような判断をくだしたものと考えられます。

同性との不倫で慰謝料を請求する際の注意点

同性との不倫で慰謝料を請求する際の注意点

同性同士での不倫を理由に慰謝料を請求する場合、以下の点に注意が必要です。

不倫の慰謝料は配偶者と不倫相手どちらにも請求できる

不貞行為をした配偶者と不倫相手は、「婚姻生活の平穏」という配偶者の権利または法的保護に値する利益を共同で侵害しています。

これを「共同不法行為」と呼び、権利を侵害された配偶者は不貞行為をした配偶者と不倫相手のどちらに対しても慰謝料を請求することができます。

ただし、双方に慰謝料を請求することができるといっても、慰謝料を2倍の金額で支払ってもらえるわけではありません。

たとえば、AとBが夫婦で、BとCが不貞行為をしたとします。

このとき、慰謝料の相場を仮に200万円とすると、Aは、BとCに対してそれぞれ200万円ずつ慰謝料を請求することができますが、合計で400万円の支払いを受けることができるわけではありません。

Bから200万円の支払いを受けた場合、すでに慰謝料全額が支払われたとみなされ、Cに対する請求は認められません。

なお、不倫慰謝料を請求するにあたり、夫婦が離婚をしたかどうかは問われません。夫婦が離婚をしなかったとしても、不倫をした配偶者およびその相手方に対して慰謝料を請求することができます。

ただし、離婚の有無は慰謝料の金額を算定する重要な要素となります。離婚をしていない場合、離婚をした場合と比べて、慰謝料の金額が低くなる可能性があるため、注意しましょう。

慰謝料請求が認められるためには証拠が必要

慰謝料を請求する場合、不貞行為の存在を裏付ける証拠が必要になります。

不倫をした当事者が不貞行為を認めていれば証拠を集める必要はありません。しかし、多くの場合、「ただの友達」「相談に乗っていただけ」など不貞行為を否定するのが一般的です。

不貞行為を否定された場合、慰謝料を請求する側で不貞行為の存在を証明しなければならず、証拠の収集が重要となります。

異性同士の不貞行為であれば、自宅やホテルなどに宿泊したことを証明できれば通常は性的行為があったと強く推認されます。

具体的には、自宅やホテルに出入りする写真や親密なやり取りをしているメールやLINEなどを証拠として提出することで不貞行為を立証できる可能性があります。

しかし、同性同士の不貞行為の場合、上記のような証拠だけでは不十分な場合があります。

同性同士の場合、恋愛感情がなくても同性の知人や友人の家に泊まることもありますし、旅行の際に同室で宿泊することも珍しくありません。

そのため、自宅やホテルに宿泊したからとって、直ちに性的行為が推認されるというわけではありません。

同性同士の不倫の場合、性的行為を行っている写真や動画など、より直接的な証拠が必要になると言えるでしょう。

慰謝料請求の流れ

慰謝料請求に関する一般的な流れについて、配偶者に対する請求と不倫相手に対する請求とにわけて説明します。

不倫相手に対する請求

不倫相手に対して慰謝料を請求する場合、まずは裁判外の交渉で行います。

「慰謝料請求をした」という証拠を残すため、一般的には内容証明郵便を利用して慰謝料の支払いを求める書面を送付する方法がとられます。

書面を受け取った相手方から連絡があった場合、相手方が不倫を認めるのであれば、慰謝料額や支払い方法などの話し合いを行います。

相手方が不倫を否定した場合、話し合いによる解決が難しいため、裁判所に対して訴訟を提起して解決を図ることになります。

裁判に進んだ際は、当事者の主張や証拠を踏まえ、最終的に裁判官が慰謝料の金額などを判断して判決を言い渡します。

配偶者に対する請求

不貞行為をした配偶者に対して慰謝料請求をする場合、離婚するかどうかによって請求方法が異なります。

不貞行為をした配偶者と離婚しないのであれば、上記の不貞行為の相手方に対する請求と同様、裁判外の交渉を行い、交渉での解決が困難であれば訴訟を提起します。

ただし、離婚しない場合、「夫婦の家計は同一」と考えられるため、配偶者への慰謝料請求はあまり意味のないことが多いです。

不貞行為をした配偶者と離婚する場合は離婚請求と同時に慰謝料請求を行います。

まず、話し合いによる協議離婚を行い、協議離婚が困難である場合は家庭裁判所に離婚調停を申し立てます。

なお、離婚を前提とする場合は調停前置主義が適用されるため、裁判を起こす前に必ず調停を申し立てなければなりません。

離婚調停でも解決することができなければ、最終的には離婚裁判によって解決を図ることになります。

離婚裁判では慰謝料のほか、親権や養育費、財産分与、年金分割などの離婚条件も決めていくことになります。

配偶者の同性との不倫で悩んだら弁護士へ

配偶者の同性との不倫で悩んだら弁護士へ

配偶者の同性との不倫でお悩みの方は弁護士に相談することをおすすめします。

これまで同性同士の性的行為は「不貞行為」とは認められていませんでした。しかし、今回解説した裁判例のように、同性同士の性的行為についても「不貞行為」と認める判決も出るようになりました。

ただし、この判決は、あくまでも地裁レベルでの判断であり、最高裁での統一した司法判断ではありません。そのため、同性との性的行為が必ず今後も「不貞行為である」と判断されるとは限りません。

また、同性同士の不貞行為の事案は異性との不貞行為の事案に比べて、不貞行為の立証が困難と言えます。

このように、同性同士の不貞行為の事案は非常に特殊な事案となるため、弁護士のサポートが不可欠です。

配偶者が同性との不貞行為をしている疑いが生じた場合は、今後の対策を検討するためにも早めに弁護士に相談をすることをおすすめします。

まとめ

現代社会において、性的マイノリティが認知・許容されてきており、裁判所でも同性同士の不貞行為を認める可能性があります。

同性同士の不貞行為だからといって泣き寝入りせず、まずは弁護士に相談しましょう。

当サイト「離婚弁護士相談リンク」は離婚や不貞慰謝料に強い弁護士を厳選して掲載しています。ぜひお役立てください。

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