よくある離婚理由|明確な離婚理由がない場合に離婚する方法と弁護士の選び方
「病めるときも、健やかなるときも、富めるときも、貧しきときも、これを愛し、敬い、慈しむことを誓いますか?」
「はい、誓います」
結婚式では生涯相手のことを愛し続けると誓ったはず。しかし、一緒に生活を送るうちに、すれ違いや衝突が起き、いつしか「離婚」の2文字が頭をよぎることもあるでしょう。
とはいえ、「こんな理由で離婚を考えるのは自分だけなのかもしれない」と離婚に踏み切るべきか悩むこともあります。
この記事では、どんな理由で離婚する夫婦が多いかについてご紹介したうえで、明確な離婚理由がない場合に離婚する方法について解説します。
離婚が成立するか不安な方、明確な離婚理由がないが離婚したいという方は最後までお読みください。
- 目次
離婚理由にはどのようなものが多いのか
令和2年の司法統計によると、離婚理由の上位10位は以下となります。
参考:裁判所「家事令和2年度 19 婚姻関係事件数 申立ての動機別申立人別 全家庭裁判所(https://www.courts.go.jp/app/files/toukei/253/012253.pdf)」※1
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よくある離婚理由①夫・妻とも最も多いのは性格の不一致
男女ともに離婚理由として最も多く挙げるのが「性格の不一致」です。
どんなに愛し合って結婚したとはいえ、別の人生を送っていた二人が一緒に暮らし始めるわけですから、衝突が起こるのは当然です。
また、結婚すると、一緒に暮らすまではわからなかった一面を目の当たりにすることもあります。
この世にまったく同じ性格を持つ人間なんて存在しません。結婚は、夫婦がともに暮らしながら、相手の個性を認め合い、歩み寄ることで絆を深めていくものです。
しかし、互いに認め合うことができず結婚生活を続けられないと判断した場合は、「性格の不一致」を理由に離婚することがあるようです。
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よくある離婚理由②精神的・肉体的な暴力や暴言
暴言やモラハラといった精神的暴力や、DVなどの肉体的暴力も離婚理由に多いものです。
DVというと夫から妻に対するものというイメージが強いですが、最近は妻から夫に対する暴力も報告されています。
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モラハラ夫・妻と証拠がない状態でも離婚できる? 有利な状況で離婚する手順
よくある離婚理由③浮気・不倫などの異性関係
浮気や不倫も男女ともに離婚理由として多いものです。
浮気と不倫は同じように用いられることが多いですが、それぞれ明確な定義があるわけではありません。ただし、一般的には以下のように区別して使われることが多いです。
- 浮気:既婚者かどうかに関わらず、特定のパートナー以外の異性と親密な関係になること
- 不倫:既婚者が配偶者以外の者と親密な関係を持つこと
場合によって、浮気と不倫を同じ意味で扱うこともありますし、不倫を「配偶者以外の異性と肉体関係があること」と定義することもあります。
妻に多い離婚理由
以下では特に妻側が挙げることの多い離婚理由を紹介します。
生活費を渡さない
夫婦には生活保持義務があります。生活保持義務とは、扶養義務者が扶養権利者に対して自分と同じ程度の生活を保障する義務のことです。
一般的には夫の収入のほうが妻の収入より多いケースがほとんどです。しかし、夫(扶養義務者)が妻(扶養権利者)に生活費を渡さないケースもあるのです。
「自分で稼いだお金だから自分の好きなように使いたい」と思うかもしれませんが、生活費を妻に渡さない場合、生活保持義務に反することになります。
夫に多い離婚理由
次に夫側が挙げることの多い離婚理由を紹介します。
家族親族と折り合いが悪い
結婚当初から親と同居するケースは減っていますが、高齢化が進んだことで介護などのために同居せざるを得ないこともあります。
配偶者の親とはいえ、自分にとっては他人です。離れて暮らしていればやり過ごせることでも、同居していると耐えられなくなることもあるでしょう。
一方、同居しなくても、妻が自分の実家に入り浸ったり、「実家依存症」である場合は夫婦間に亀裂が入り、離婚に発展することもあります。
性的不調和
性的不調和というのも夫側に多い理由です。一般的には、妻にセックスを求めたにも関わらず、拒まれてしまうというケースが多いです。
離婚理由が「性格の不一致」だけでは裁判で離婚が認められにくい
「性格の不一致」は最も多い離婚理由ですが、裁判に進むと離婚が認められないのが現状です。
裁判で離婚を認めてもらうには法律で定めた法定離婚事由が必要になります。
しかし、性格の不一致は法定離婚事由ではないため、これだけを理由に離婚を認めてもらえる可能性は低くなります。裁判で認められる理由については次項で説明します。
裁判で認められる離婚理由とは
裁判で離婚を認められるには民法で定めた以下の法定離婚事由が必要です。
第770条【裁判上の離婚】
①夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。
1 .配偶者に不貞な行為があったとき。
2 .配偶者から悪意で遺棄されたとき。
3 .配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。
4 .配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
5 .その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。
それぞれの項目について以下で詳しく見ていきます。
不貞行為
不貞行為とは「既婚者が配偶者以外の者と性的関係を持つこと」を言います。前述の不倫や浮気は法律用語ではなく、明確な定義はありません。
一方、不貞行為は法律用語で法定離婚事由になります。ただし、不貞行為を理由に離婚を認めてもらうには、不貞行為があったことを証明できる証拠が必要になります。
どのような証拠を集めれば離婚を認められやすくなるかは弁護士に相談すると良いでしょう。
悪意の遺棄
悪意の遺棄とは故意に配偶者を見捨てることを意味し、「夫婦関係が悪化することがわかったうえで関係が破綻する行為を行うこと」を指します。
具体的には以下のようなケースが悪意の遺棄に該当します。
- 正当な理由がないのに同居を拒む
- 配偶者を追い出す
- 正当な理由がないのに働こうとしない
- 生活費を家に入れない など
3年以上の生死不明
3年以上配偶者の生死が不明で確認することもできない場合、法定離婚事由として離婚が認められます。
ただし、「生きていることはわかっているが、どこにいるかわからない」というケースは該当しません。
なお、3年以上の生死不明を理由に離婚するためには以下のような証拠が必要です。
- 捜索願の受理証明書
- 災害や事故の証明書
- 友人や親族・会社の同僚などからの陳述書
回復見込みのない精神病
配偶者が回復の見込みのない強度の精神病にかかっており、婚姻関係を継続するのが困難なケースも法定離婚事由になります。
ただし、配偶者が強度の精神病にかかったからといってすぐ離婚が認められるわけではありません。
強度の精神病を理由に離婚を認めてもらうためには以下の要件が必要です。
- 配偶者の治療費を払い、献身的に介護を続けてきたこと
- 医師からの鑑定書があること
- 夫婦の義務(同居・協力・扶助)が果たせない状況であること
その他婚姻を継続し難い重大な事由
「その他婚姻を継続し難い重大な事由」も法定離婚事由の一つです。
前述の4つの事由と異なり、「その他婚姻を継続し難い重大な事由」が認められるかどうかは個々の状況によって変わります。
なお、婚姻を継続し難い重大な事由として認められやすいケースとしては以下のようなものがあります。
- DVやモラハラ
- 性的不調和
- 浪費癖などの金銭問題
- 過度な宗教活動
- 長期間の別居
- 親族との不和
- 犯罪により服役中 など
婚姻関係を破綻させたのが自分であっても離婚が認められる場合がある
有責配偶者からの離婚請求は認められないのが原則です。しかし、以下のようなケースでは自分に離婚原因があったとしても離婚が認められる可能性があります。
- 長期間の別居
- 夫婦の間に未成熟子がいない
- 離婚される側が離婚によって社会的・精神的・経済的に過酷な状況に陥ることがない
ただし、上記の条件を満たしたからといって必ずしも離婚が認められるわけではありません。
有責配偶者からの離婚請求は、個々の状況に応じて裁判所が総合的に判断することになります。
性格の不一致で離婚するには
ここまで説明したとおり、性格の不一致は法定離婚事由に含まれません。そのため、裁判に進んでしまうと離婚を認めてもらうことが難しくなります。
性格の不一致という理由だけで離婚するには協議離婚の成立を目指すことが大切です。
協議離婚は夫婦が合意することで離婚する方法です。日本では離婚する夫婦の約9割が協議離婚で離婚しています。
協議離婚であれば夫婦が合意すればどのような理由であっても離婚が可能です。性格の不一致だけを理由に離婚する場合は、まず協議離婚の成立を目指しましょう。
協議離婚が成立しない場合は家庭裁判所に離婚調停を申し立てることになります。調停は裁判官や調停委員を介して夫婦が話し合いを行う離婚の方法です。
調停はあくまで話し合いによって解決を図る離婚の方法ですので離婚が成立しない可能性も十分あります。
離婚調停が不成立となった場合は訴訟を起こし、離婚裁判に進むことになります。
裁判では、性格の不一致だけを理由に離婚が認められる可能性は低いでしょう。
しかし、性格の不一致が原因で夫婦関係が破綻していると判断された場合は離婚が認められることもあります。
どのようなケースであれば離婚が認められるかはケースバイケースになります。自分のケースは離婚が認められるのか知りたいという場合は弁護士に相談すると良いでしょう。
性格の不一致で離婚する場合、慰謝料請求は認められない
慰謝料とは、精神的損害に対する損害賠償金のことです。離婚の慰謝料は、夫婦の一方に離婚原因があるときに発生します。
性格の不一致を理由に離婚する場合、夫婦のどちらか一方だけが悪いということはありません。したがって、慰謝料請求は認められないのが一般的です。
相手の離婚理由がわからないとき
稀に、なぜ相手が離婚を切り出したかわからないケースがあります。一概に言うことはできませんが、相手が離婚理由をはぐらかすケースでは、浮気や不倫を隠していることもあるようです。
相手がなぜ離婚を切り出したかわからないとき、浮気が疑われるときは弁護士や探偵、調査会社に相談することをおすすめします。
明確な離婚理由がない場合は解決実績が豊富な弁護士へ相談
明確な離婚理由がない場合、協議離婚の成立を図ることが重要になります。このとき、明確な理由がない離婚に精通した弁護士に依頼することをおすすめします。
明確な理由のない離婚に精通した弁護士なら、相手方とどう交渉すべきか熟知していますし、「交渉を続けるべきか、調停に進むべきか」の判断もスムーズに行うことができます。
明確な理由がない離婚に精通した弁護士かどうかは解決実績を見ることで判断しやすくなります。
明確な理由がない離婚の解決実績が豊富な弁護士・法律事務所には以下のようなところがあります。
下記は、夫から性格の不一致を理由に離婚調停を起こされたという事例です。調停が3回終了してから弁護士に依頼されました。弁護士が介入し、解決金を受け取ることで離婚が成立しました。
下記は、婚姻関係が破綻しているものの、妻から不利な離婚条件を要求されていた事例です。弁護士が介入し、養育費や慰謝料について妥当な金額を算出。交渉を重ねた結果、妥当な離婚条件で離婚が成立しました。
弁護士の解決事例についてはこちらをご覧ください。
まとめ
離婚理由で多いものや裁判で認められる離婚理由について解説しました。
性格の不一致は離婚理由で多いものですが、裁判に進むと離婚を認めてもらえる可能性が低くなります。ただし、実際に離婚が認められるかどうかはケースバイケースです。
「こんな理由で離婚できるのか」「離婚を認めてもらうにはどうすれば良いか」などわからないことがある場合は離婚問題に強い弁護士に相談しましょう。当サイト「離婚弁護士相談リンク」は離婚問題に強い弁護士を多数掲載しています。ぜひお気軽にご利用ください。
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