養育費請求調停の費用と流れ|有利に進めるために知るべき6つのこと

子供を持つ夫婦が離婚する際、子供と離れて暮らす親は養育費を支払う必要があります。
しかし、養育費の支払いについて話し合いがまとまらないケースや、養育費の取り決めをせずに離婚してしまい、離婚後に養育費を請求するケースもあります。
このような場合の解決手段として「養育費請求調停」があります。 この記事では、養育費請求調停を有利に進める方法について解説します。
- 目次
養育費請求調停とは
養育費請求調停とは、調停委員を介し、養育費の支払いについて話し合う裁判所の手続きです。
養育費請求調停は、当事者それぞれの収入や養育に必要な金額などを総合的に判断して、調停委員が助言や解決案の提示を行います。
もっとも、調停はあくまで当事者同士の話し合いで合意を図るものです。調停委員が養育費の支払いについて判断をくだすということはありません。
養育費請求調停の申し立てに必要な書類
養育費請求調停の申し立てに必要な書類は以下のとおりです。
- 養育費請求調停申立書及びその写し
- 申立人の収入を証明する資料(源泉徴収票や給与明細、確定申告書、非課税証明書などの写し)
- 連絡先等の届出書
- 子どもの戸籍謄本(全部事項証明書)
- 申立人の戸籍謄本
- 相手方の戸籍謄本
- 事情説明書(養育費の支払いに関する状況を記載したもの)
- 進行に関する照会回答書 など
養育費請求調停の流れ
養育費請求調停の申立てに必要な書類を準備したら、以下の流れで申し立てを行います。
家庭裁判所に申し立てを行う
養育費請求調停申立書に必要事項を記入し、相手方の住所地または当事者が合意して決めた家庭裁判所に提出します。
調停期日の決定
家庭裁判所が調停期日を決定したら、相手方と申立人それぞれに調停期日呼出状が送付されます。
第一回目の調停に出席
裁判官1名、調停委員2名が相手方と申立人の話を交互に聞きながら調停が進められます。
なお、裁判官が同席するのは最初の手続きのときだけで、基本的には調停委員だけで調停は進められます。
第二回以降の調停
二回目以降は月に一回のペースで行われることがほとんどです。調停を何回行うかはケースバイケースとなります。
養育費請求調停の終了
養育費請求調停が終了するのは以下のいずれかのケースになります。
調停が成立した場合
当事者双方が養育費の支払いについて合意した場合は、調停成立として調停が終了します。
不成立となった場合
養育費請求調停を行ったが問題が解決せず、当事者同士で合意できないと判断された場合は不成立として調停が終了します。
取り下げを行った場合
養育費請求調停を申し立てた側が家庭裁判所に取下書を提出すると調停が終了します。なお、調停取り下げに相手方の同意は必要ありません。
養育費請求調停の申立てに必要な費用
養育費請求調停を申立てるには以下の費用が必要です。
- 収入印紙:子供一人につき1,200円
- 郵便切手:1,240円(内訳:100円2枚、84円10枚、10円20枚)
養育費請求調停を有利に進めるためには
養育費請求調停は調停委員を介した裁判所の手続きではありますが、あくまで当事者同士の話し合いで解決を図る方法です。
これを踏まえ、養育費請求調停を有利に進めるためのポイントを解説していきます。
養育費の相場を把握しておく
養育費請求調停を行う場合、まず養育費の相場を把握しておくことが重要です。養育費の相場を把握しておくことで、どのくらいの金額を請求するのが妥当か判断しやすくなります。
なお、養育費の相場は下記の養育費算定表を参考にするのが一般的です。
参考:裁判所「平成30年度司法研究(養育費,婚姻費用の算定に関する実証的研究)の報告について」
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養育費の請求が妥当であることを証明する証拠を収集しておく
養育費請求調停では、請求する養育費の金額が妥当かどうかの判断が行われます。
一般的に、養育費は子供の年齢や人数、当事者の収入などを考慮して決まります。例えば、「養育費が少なすぎる」と主張するのであれば、相手方の収入を証明できる証拠が必要になります。
具体的には、相手方の給与明細書や源泉徴収票、課税証明書、預金通帳の写しなどが証拠として有効です。
感情的にならない
調停では、当事者が顔を合わせて話し合うのではなく、調停委員に仲介してもらいます。
このとき、感情的になってしまうと、主張したいことがうまく伝わらなかったり、論点がぼやけてしまうこともあります。
また、「この人は感情的になりやすい」という印象を調停委員に持たれてしまうと不利になる可能性もあります。
あらかじめ主張と根拠をまとめておき、冷静に伝えるように心がけましょう。
調停委員を味方につける
養育費請求調停で自分の主張をとおすためには、調停委員を味方につけることも重要です。
調停委員も人間です。言い方が適切ではないかもしれませんが、調停委員の同情を買うことが調停を有利に進めるうえで重要なポイントになります。
調停ではなく審判を申立てることも検討する
養育費請求調停を行っても解決しそうにないと思われる場合は、調停を経ることなく、最初から審判を申立てることも検討しましょう。
離婚の場合、裁判や調停を行う前に必ず調停を経る必要がありますが、養育費請求調停の場合はそのようなルールはありません。
弁護士に依頼する
養育費請求調停を行う際、弁護士に依頼するのも有利に進めるポイントです。弁護士に依頼すれば、養育費請求調停でどのように主張をすれば良いかアドバイスしてもらえます。
また、弁護士を雇うことで調停委員に対して本気度を見せることにつながります。
養育費請求調停を弁護士に依頼するメリット・デメリット
養育費請求調停を弁護士に依頼するとどのようなメリット、デメリットがあるのでしょうか。
養育費請求調停を弁護士に依頼するメリット
養育費請求調停を弁護士に依頼すると、相手方や裁判所とのやり取りを代行してくるため、精神的な負担を軽減できます。
また、どのような証拠を集めれば良いか、どのように主張すれば良いかなどのアドバイスをしてもらえるため、調停を有利に進めやすくなります。
なお、養育費請求調停は当事者に代わって弁護士が出席できるため、会社を休んだりする必要もありません。
養育費請求調停を弁護士に依頼するデメリット
養育費請求調停を弁護士に依頼するデメリットは弁護士費用がかかることでしょう。
養育費請求調停の弁護士費用の相場は着手金が20万円程度、成功報酬が20万円~ということが多いです。
成功報酬は得られた金額に対して発生するものですので、実際には「20万円+経済的利益の〇%」と記載している法律事務所が多いです。
一般的に、養育費請求調停で40~70万円程度、裁判に進むと70~100万円程度の弁護士費用がかかると考えておきましょう。
このほか、弁護士に依頼する際は法律相談料や実費なども必要です。法律相談料は30分5,000円~というのが相場ですが、最近は法律相談無料の事務所も増えています。
なお、ここで紹介した金額はあくまで相場です。弁護士費用は法律事務所によって異なりますので、依頼前に必ず確認しましょう。
まとめ
養育費請求調停について解説しました。
養育費は子供の養育に必要なお金です。養育費の話し合いがまとまらない、納得ができないという場合は弁護士に相談しながら進めていくことが大切です。
当サイト「離婚弁護士相談リンク」は養育費や親権問題に強い弁護士を多数掲載しています。ぜひお役立てください。
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