離婚時に兄弟(姉妹)分離は可能?子の利益を考慮した親権者の決め方

親権・養育費
離婚時に兄弟(姉妹)分離は可能?子の利益を考慮した親権者の決め方

離婚の際、夫婦のどちらか一方を親権者に決める必要があります。

では、子供が複数人いる場合、子供ごとに親権をわけることはできるのでしょうか。

この記事では、離婚時に兄弟(姉妹)の親権を分離できるのか、子供の幸せのためには親権者をどう決めるべきなのかを解説します。

目次
  1. 兄弟(姉妹)不分離の原則とは
    1. 親権者指定における子の利益の4つの原則
    2. 兄弟(姉妹)不分離の原則
    3. 継続性の原則
    4. 子の意思の尊重
    5. 母親(母性)優先の基準
  2. 離婚の際に兄弟(姉妹)分離が可能となるケース
    1. 協議離婚であれば兄弟(姉妹)を分離できる
    2. 長年別居していて兄弟(姉妹)が別れて暮らしている
    3. 子供の年齢が一定以上の場合は子供の意思が尊重される
  3. 離婚で兄弟(姉妹)を分離したいと考える主な理由
    1. 母親の愛情が公平でなく、健全な養育環境が叶わない子供がいる
    2. 離婚したいが子供とは離れたくない
    3. 父親側が跡継ぎをほしがっている
  4. 兄弟(姉妹)分離以外で相手方の希望を叶えるためには
    1. 親権者と監護権者をわける
    2. 面会交流の取り決めをする
    3. 離婚後の子供の戸籍や跡継ぎについても離婚の際に取り決めておく
  5. 親権者を決める際は子の利益を最優先に考える
  6. 離婚で兄弟(姉妹)分離を考えたら弁護士へ
  7. まとめ

兄弟(姉妹)不分離の原則とは

離婚の際の親権者指定の判断にあたっては、さまざまな原則があります。以下、親権者指定における原則について説明します。

親権者指定における子の利益の4つの原則

複数人の子供がいる夫婦が離婚するとき、どちらが子供の親権者になるかで争いになることがあります。

親権者をどちらにするか考える際は、「子の利益」を重視して判断しなければなりません

「子の利益」には次の4つの原則があります。

  • 兄弟(姉妹)不分離の原則
  • 継続性の原則
  • 子の意思の尊重
  • 母親(母性)優先の基準

以下、この4つの原則について詳しく説明します。

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兄弟(姉妹)不分離の原則

「兄弟(姉妹)不分離の原則」とは、親権者を指定する際、兄弟(姉妹)を分離することなく、同一の親権者を指定すべきであるという考え方です

一緒に生活し、育ってきたことで、兄弟(姉妹)は精神的側面や情緒的側面において強い繋がりがあります。

子供の人格形成の面から見たときに、兄弟(姉妹)を別々にすることなく、同じ親権者が引き取るのが望ましいとするものです。

継続性の原則

継続性の原則は、これまで子供を監護・養育していた親が離婚後も引き続き子供を監護・養育していくべきであるという考え方です

両親の離婚は子供に与える影響が大きいため、できる限り生活や環境を変えないことで、子供への影響を少なくしようとするものです。

「子供と一緒に生活している親が親権獲得にあたって有利」と言われるのは、継続性の原則があるためです。

子の意思の尊重

親権者指定で最も影響を受けるのは子供です。

そのため、父親と母親のどちらを親権者に指定するかは、両親の意見だけでなく子供の意思も尊重する必要があります

ただし、子供の年齢によっては、自分の意見をうまく伝えられないこともあるため、ある程度の年齢に達している子供を前提としています。

これについては「子供の年齢が一定以上の場合は子供の意思が尊重される」で後述します。

母親(母性)優先の基準

母親(母性)優先の基準とは、親権者の判断の際、乳幼児など子供の年齢が低いときは母性が優先されるというものです

母親(母性)優先の基準は、「子供の年齢が低いときは母性的できめ細やかな監護が必要である」という考えに基づいています。

「母性的な監護が可能な親が親権者となるべき」という基準であって、親権者を「母親」にしなければならないという意味ではありません。

母親が外で働いており、主に父親が家事をしているという場合、「父親が母性を担っている」と考えられるため、父親が親権者として有利と判断されます。

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離婚の際に兄弟(姉妹)分離が可能となるケース

離婚の際に兄弟(姉妹)分離が可能となるケース

離婚の際は、上記4つの原則に従って親権者が判断されることになります。

「兄弟(姉妹)不分離の原則」からすると、兄弟(姉妹)が別々になるという事態は難しいようにも思えます。

しかし、以下のようなケースでは、兄弟(姉妹)分離が可能になることがあります。

協議離婚であれば兄弟(姉妹)を分離できる

協議離婚とは、夫婦が話し合いによって離婚する方法です。

親権者指定の4つの原則は、あくまで裁判所が親権者を指定するにあたり考慮している原則です。

協議離婚の場合は裁判所が関与しないため、4つの原則にとらわれることなく、親権者を決めることができます。

そのため、協議離婚であれば兄弟(姉妹)を分離するという親権者の指定方法も可能になります

兄弟(姉妹)の分離を考えているのであれば、柔軟な話し合いが可能な協議離婚での解決をおすすめします。

長年別居していて兄弟(姉妹)が別れて暮らしている

「兄弟(姉妹)不分離の原則」と「継続性の原則」は場合によっては対立することもあります。

夫婦が長年別居しており、兄弟(姉妹)が別れて暮らしているときには、どちらを優先することになるのでしょうか。

「兄弟(姉妹)不分離の原則」は、一緒に暮らしている兄弟(姉妹)の精神面や情緒面に配慮して「分離を不可」とする原則です。

そのため、長年別居している兄弟(姉妹)の場合、この原則は直ちに当てはまりません

上記のようなケースでは、「継続性の原則」を重視し、兄弟(姉妹)の分離が可能になることがあります。

どの程度別居していれば良いかは一概には言えませんが、それぞれの親の元で安定した生活が送れているかどうかがポイントとなる傾向があります。

子供の年齢が一定以上の場合は子供の意思が尊重される

家事事件手続法では、子供が15歳以上の場合、親権者の指定にあたって必ず子供の意見を聞かなければならないとしています

もっとも、15歳未満の子供の場合、意見が全く尊重されないかというとそうではありません。

15歳未満でも自分の考えをしっかりと伝えられる子供もいるため、実務上は、10歳前後であれば子供の意見を聴取することになります。

あくまでも「尊重」ですので、子供の意見がそのまま親権者指定の判断につながるというわけではありません。

しかし、子供がどちらの親と一緒に生活をしたいかという考えは一定程度重視される傾向があります。

離婚で兄弟(姉妹)を分離したいと考える主な理由

離婚をする際に兄弟(姉妹)を分離したいと考える主な理由には、以下のようなものがあります。

母親の愛情が公平でなく、健全な養育環境が叶わない子供がいる

子供が複数人いるものの、母親が一部の子供にだけ愛情をかけ、そのほかの子供を蔑ろにしているケースでは、兄弟(姉妹)の分離を考えたほうが良いかもしれません

このようなケースにおいて兄弟(姉妹)不分離の原則を貫くと、場合によって母親からの虐待がなされる可能性もあります。

親権者指定の際は「子の利益」を重視するため、兄弟(姉妹)の分離も許されるケースと言えます。

離婚したいが子供とは離れたくない

夫婦関係が冷え切っていたとしても子供に対する愛情は別です。

離婚の際、親権者をどちらにするかで揉めることが多いのも、「配偶者とは離婚をしたいが子供とは一緒にいたい」という理由がほとんどです。

子供と一緒に暮らしたいという親の気持ちは十分に理解できます。

しかし、親だからこそ、「どちらと一緒に生活をするのが子供にとって一番良いのか」という視点から判断するようにしましょう

なお、離婚後に子供と会うことについては、後述する面会交流を充実させることで実現を図ることも可能です。

父親側が跡継ぎをほしがっている

「父親が跡継ぎをほしがっている」という場合も、兄弟(姉妹)を分離させようとすることがあります。

父親が長男であったり、事業をやっていたりするケースでは「跡継ぎがほしい」という理由で、子供を引き取りたいと考えることがあります。

しかし、跡継ぎがほしいという理由は子の利益に適うとは言えないため、協議離婚以外で親権を獲得するのは難しくなります

兄弟(姉妹)分離以外で相手方の希望を叶えるためには

兄弟(姉妹)分離以外で相手方の希望を叶えるためには

「離婚したいが子供とは離れたくない」「跡継ぎがほしい」などの理由で兄弟(姉妹)の分離を考えている方は、分離以外の方法でもその希望を叶えることが可能です。

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親の離婚が子供に与える影響|親権や面会についても解説

親権者と監護権者をわける

親権とは、未成年の子供に対して両親が持っている身分上・財産上の権利義務の総称です。

親権には身上監護権と財産管理権が含まれており、身上監護権に基づき、親権者は子供と一緒に生活することができるのです。

通常、親権者を指定する際は身上監護権もセットで指定するため、親権者と監護権者は一致することになります。

しかし、親権者と監護権者を別々に指定すること自体は禁止されているわけではないため、一方が親権者、他方が監護権者となり、監護権者となった親と子供が一緒に生活をすることも可能です

ただし、裁判所は、親権者と監護権者を分離するという扱いには消極的な傾向があります。

そのため、調停や審判に進んだ場合、親権者と監護権者を分離するのは難しいでしょう。

面会交流の取り決めをする

「子供と一緒に暮らしたい」という言葉の裏には、「離婚して子供と会えなくなるのが寂しい」という気持ちがあることが多いです。

離婚すると夫婦の縁は切れますが、親子の縁が切れることはありません。

離婚後も面会交流という方法で子供と継続的に会うことは可能です

兄弟(姉妹)を分離する方法は子供に与える影響も大きくなります。

離婚後の面会交流を充実させることで、子供との接点を維持することは十分に可能です。

離婚にあたっては、親権を譲歩する代わりに、面会交流の日時や頻度、方法などについて柔軟に取決めできるように交渉すると良いでしょう。

離婚後の子供の戸籍や跡継ぎについても離婚の際に取り決めておく

両親が離婚をしても、子供の戸籍は元のままです。そのため、一般的には子供の戸籍は戸籍の筆頭者である父親の戸籍に残ることになります。

何も手続きをしなれば子供の戸籍は変わらないため、そのままの状態にするかどうかについては、離婚時に決めておくことが大切です

跡継ぎの問題は、兄弟(姉妹)の分離ではなく、離婚の際の取り決めによって解決できる場合があります。

跡継ぎについては、将来子供に跡を継がせることを夫婦で約束したうえで離婚することで実現が可能になる場合があります。

ただし、跡を継ぐかどうかは子供が自分の意思で決める問題です。

夫婦の合意には、子供の意思決定を拘束するまでの効力はありません。そのため、将来子供が跡継ぎを拒否した場合に強制することはできません。

なお、子供の戸籍を母親側に移すかどうかという問題と子供を父親側の跡継ぎにするという問題は、本来別の問題です。

戸籍を移したからといって、父親側の跡継ぎになれないということはありません。

戸籍が別々になることや姓が変わるといった理由で跡継ぎを拒むのは、あくまでも感情的な理由にすぎません。

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面会交流権|離婚後も子供と面会するには?

親権者を決める際は子の利益を最優先に考える

親権者を決める際は子の利益を最優先に考える

前述のとおり、親権者を決める際には次の4つの原則が重視されることになります。

  • 兄弟(姉妹)不分離の原則
  • 継続性の原則
  • 子の意思の尊重
  • 母親(母性)優先の基準

上記4つの原則は「子の利益」を実現するための原則です。

最終的には子の利益を最優先に考えたうえで、父親と母親のどちらを親権者とすべきかが判断されることになります。

協議離婚であれば夫婦の話し合いで自由に親権者を決めることができるため、兄弟(姉妹)の分離という判断をすることも可能です。

ただし、兄弟(姉妹)の分離をする際は、大人の事情だけでなく、子供に与える影響や子供の将来など「子の利益」にとって何が相応しいのかを慎重に考えて判断してください

離婚で兄弟(姉妹)分離を考えたら弁護士へ

「兄弟(姉妹)不分離の原則」が存在しているため、兄弟(姉妹)を分離するという方法は、あくまでも例外的な手段となります。

そのため、兄弟(姉妹)分離をするためには、「兄弟(姉妹)を分離することが子の利益になる」ということを説得的に主張しなければならず、離婚問題に詳しい弁護士のサポートが不可欠です

兄弟(姉妹)を分離する場合、それぞれが子供の養育費を負担することになります。

しかし、一般的な養育費の算定表では、兄弟(姉妹)分離の際の養育費を正確に導くことはできません。

この場合も、養育費算定表の基礎となる標準算定方式により、個別事情を加味して計算する必要があるため、弁護士のサポートが必要になってきます。

兄弟(姉妹)分離が困難と判断したケースでも、親権者と監護権者の分離や面会交流の充実といった代替手段によって希望を実現できる場合があります。

離婚で兄弟(姉妹)分離を考えたときは、弁護士に相談をすることをおすすめします。

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まとめ

子供が複数いるときには、親権者指定の問題がより複雑になる傾向にあります。

離婚が子供に与える影響は大きいため、子の利益の観点から子供にとって何が一番かを考えながら進めることが重要です。

親権者指定や兄弟(姉妹)分離をは法的な要素が多いため、弁護士に相談しながら進めることをおすすめします。

当サイト「離婚弁護士相談リンク」は親権や養育費など離婚問題に強い弁護士を厳選して掲載しています。ぜひお役立てください。

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