妻の浮気が原因で離婚するとき後悔しないための 5つの注意点
妻の浮気が発覚!夫側が「許せない、慰謝料をもらって離婚してやる!」と思うのはもっともです。本当に離婚でいいのか、許すか離婚か判断基準を紹介します。
また、妻の浮気が原因で離婚する場合に注意したいポイントを5つ、慰謝料とそれを得るための証拠集め、離婚に伴う親権、養育費、財産分与などについて詳しく説明していきます。
- 目次
浮気を許すか・離婚するか決める
妻の浮気を知ってしまった……。許せない、もう離婚だ!
それとも、やっぱり愛しているので、今回は許し、浮気をやめさせてやり直す。
どちらにしますか?
離婚するか、許してやり直すかを判断するには、以下の4点を基準に考えてみてはいかがでしょうか。
- また浮気した時に許せる?
- 今までバレていなかっただけで浮気は初めてではないかもしれないし、悪いとわかっていても浮気に踏み切ったことがある以上、また浮気してしまうかもしれません。許せますか。
- 妻を愛している?
- 浮気が発覚してもなお妻を愛していて、自分ではない男に向いた気持ちを取り戻し、関係を修復したいと思いますか。
- 浮気したことを思い出しても耐えられる?
- これからセックスの際、浮気されたことを思い出してしまう時もあるでしょう。それでも妻を愛せますか。
- 子供にとって、離婚した方が良い?
- 子供には両親が一緒にいた方が良いと離婚を回避したとしても、妻を許していない状態で浮気をネタに年中ケンカしたり、仮面夫婦だったり、不仲な両親のもとで子供が育つことは、子供の心に影響を与えてしまう可能性があります。妻を許して関係を修復しますか?離婚した方が子供にとって良いということはありませんか。
以下では、離婚を決めた場合に知っておきたい注意点を5つ、説明していきます。
離婚を決めた場合は妻の浮気の証拠を固める
離婚を決めて、慰謝料を請求したい場合は、妻の浮気の証拠固めが必要です。
そもそも話し合いで妻が離婚に同意しない場合、離婚調停を行い、それでも合意に至らなければ、離婚裁判を起こすことになります。
民法には法定離婚理由というものがあり、その中に不貞行為(配偶者以外と性的な関係を持つこと)について挙げられています。
- 民法770条1項1号 配偶者に不貞な行為があったとき。
配偶者が不貞行為をした場合、それを理由に配偶者へ離婚の請求ができます。また、離婚に際し、この不貞行為によって精神的苦痛を被ったことに対し、損害賠償金として慰謝料の請求ができます。
離婚請求でも慰謝料請求でも、裁判で不貞行為があったと認めてもらうには、客観的にわかる証拠が必要になります。
慰謝料請求時に証拠になりやすいもの
慰謝料請求時に、不貞行為があったと認めてもらうためには客観的にわかる証拠が必要だということをお話しました。
以下の証拠になりやすいとされるものは、不貞行為がわかるかどうかがポイントです。
- 浮気相手とのツーショット写真、動画(複数回)
- ホテルや浮気相手の家、自宅に浮気相手と出入りする。性行為、浮気相手と2人での旅行など。
- 探偵事務所や興信所、調査会社の調査報告書
- ホテルに出入りする2人の写真(複数回)、目撃情報の記録など
また、下記の2つも比較的証拠になりやすいといわれます。
- 肉体関係を推測できる複数回のメール・SNS・ブログ、手紙、電話の通話記録、ラブホテルの領収書
- 浮気を認める夫婦間や浮気相手との会話の録音
他に証拠として認められる可能性があるものとしては、下記が挙げられます。
- クレジットカードの明細、レシート
- ホテルなどの宿泊施設、避妊具や異性の下着など
- 手帳、スマホのスケジュールアプリ、日記、メモ
- 不貞行為がわかり、日時・場所が明確で継続して記録されている
- GPSの位置情報(※違法の可能性があるので要注意)
- ラブホテルなど宿泊施設、浮気相手の自宅へ行った記録
不貞行為がわかるかどうか、浮気とするには複数回で継続性があるか、がポイントです。
ただし、これらは一つあれば十分というものではなく、不貞行為になるかどうかの判断はケースバイケースになります。後で詳しく述べますが、データの保存方法によっては証拠として弱くなることもあります。
詳しくは離婚問題に詳しい弁護士など専門家へ問い合わせてみましょう。
証拠になりにくいもの
ただし、上記のような有利になりやすい内容だったとしても、編集や加工ができ、データの改ざんが疑われるものは、証拠として認められない可能性があります。
- スクリーンショット
- メールなどの文章をコピー&ペーストして保存したデータ
また、例えば、浮気相手の家に不法侵入、無断でカメラを付けて盗撮など、違法性が問われる方法で集めたデータも、証拠として認められない可能性があります。
慰謝料の請求金額を決める
不貞行為が原因で離婚する場合の慰謝料は、「この不貞行為によって精神的苦痛を被ったこと」に対しての損害賠償金になります。妻が浮気をした場合、妻に対してだけでなく、浮気相手の男性に対しても請求できる場合があります。
請求することを決断したら、証拠を固め、請求金額を決めます。
妻への慰謝料請求
不貞行為による離婚の慰謝料の額は、100~300万円が相場といわれますが、相手の収入、資産など支払い能力にもよるので、50~300万円くらいを考えておくとよいでしょう。
ただし、この金額は、不貞行為の期間、回数などの態様、妊娠の有無、夫婦間の子供の有無、婚姻期間、夫婦関係など様々な要因で増減する可能性があります。
浮気相手への慰謝料請求
浮気された夫は、浮気相手に不倫に対しての慰謝料を請求できる可能性があります。
それには、浮気相手に故意・過失があり(例:既婚者だと知っていて自らの意思で肉体関係をもった)、不貞行為により夫の権利が侵害された(例:夫婦関係が悪くなって離婚に至った)、などの条件を満たす必要があります。
慰謝料の金額の相場は妻に対してと同じです。ただし、妻から十分な慰謝料を既に受け取り済みの場合、浮気相手への慰謝料請求は原則としてできません。
子供がいる場合は親権・養育費を決める
離婚の際、子供がいる場合の親権は父親・母親のどちらが持つのか、また、養育費の支払いについて決める必要があります。
親権は母親に渡ることが多い
親権者は、裁判になった場合、子供の福祉・利益という観点から、父親・母親どちらが良いかを判断して決められます。
したがって、たとえ妻の不貞行為が原因で妻側に責任のある離婚であっても、親権には影響しません。母親が親権を持ち、父親が養育費を払うケースが一般的です。
母親が親権を得やすいポイント
- 養育実績
- 普段どちらが多く育児に携わり、長く過ごしてきたか
- 養育環境
- 急な発熱など子供に何かあった時に対応できるか
- 育児放棄の有無
- 母親に致命的な育児放棄や虐待がなければ、母親に有利
- 子供の年齢
- 特に乳児の場合、24時間態勢の育児ができるか
ほか、親の健康・精神状態、経済状況、居住・教育環境なども親権の判断基準になります。
父親が親権を勝ち取るケース
これまで述べたように、親権については母親が有利です。それでも、父親が親権を獲得できたケースもあります。例を見ていきましょう。
父親が親権を得るには
- 養育実績
- 父親が育児を母親任せにせず携わってきた実績を明らかにします。実績の例:現在夫婦別居で父親が子供と同居し、養育した期間が一定以上の長期にわたる、専業主夫で主に育児をしてきた、など。
- 養育環境
- 子供と過ごすために勤務時間や残業の調整を可能にする、何かあった時に実家の父母の協力を得られる体制を作るなど、養育環境を整えます。
- 育児放棄の有無
- 母親に育児放棄や虐待があった場合、その証明をします。父親の方が、子供が安心して健全に育つ環境であると裁判所に客観的に判断してもらえる証拠を準備しましょう。
- 子供の年齢
- 年齢が上がると、子供の意思が考慮されるようになります。子供が15歳以上で審判や訴訟になった場合、裁判所は子供の意思を聞く必要があります。子供が父親側を選ぶような関係が築けているかが大切です。
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離婚時に父親が親権を獲得する方法|養育実績と環境が子供の行き先を決める
親権争いで母親が有利は本当か?不倫した母親でも親権を獲得できる?
養育費について
夫婦は離婚しても、子供にとって両方とも親であることには変わりなく、未成年の子供が育つ上でかかる費用は分担となります。
養育費については、不貞行為の有無、離婚原因を作った有責配偶者かどうかに関わらず、親権者ではない方の親に請求できるものです。もし父親が親権を持った場合は母親に請求できます。
財産分与について取り決めをする
離婚に際しては、婚姻期間中に築いた財産を分ける財産分与について、夫婦で取り決めをする必要があります。
浮気と財産分与は別問題
財産分与とは、別居期間を除く結婚生活中に夫婦が共同で築いた共有財産を、離婚の際に夫婦で分配することです。浮気をしたことと財産分与は別の問題で、財産分与は慰謝料と異なり、浮気をした側も財産を受け取ることができます。
<財産分与の対象となるもの>
- 預貯金現金・預金
- 不動産
- 株などの有価証券
- 保険解約返戻金
- 家財道具
- 自動車
- 退職金(※対象とならない場合もあり)・年金
- 住宅ローンなどの負債
基本的には折半になる
財産分与の割合については、夫婦が合意すれば自由に決められますが、一般的には折半、2分の1ずつとされています。
先述したように財産分与は慰謝料と異なり、浮気をした側も財産を受け取れます。ただし、財産分与の際に、慰謝料分を含めて算出、相殺する場合があります。例えば、夫が妻へ財産分与する分から、妻が夫に払うべき浮気の慰謝料を引いて渡すケースです。
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離婚における財産分与を徹底解説!
妻の浮気が原因でも、離婚は夫にデメリットが多い
元はといえば浮気をした妻が悪い。なのに、夫の自分が損をするって理不尽!と思われるかもしれませんが、夫にとって、離婚のデメリットは結構あるものです。下記に精神的、金銭的デメリットを挙げていきます。
浮気相手と妻の再婚
自分が離婚を選んだことで、妻と浮気相手が再婚できる状況が作られます。自分は離婚でシングル、元妻は相手と新婚生活でラブラブ……。
もう妻を全く愛していなければ良いかもしれませんが、離婚を選択したことで、自分は孤独感と戦うことになるかもしれません。
一方、離婚せず許した場合でも、浮気をしたのは自分に何か不満があったからかもしれないことや、他の男に気持ちが向かったという事実を受け入れる精神的ダメージがあります。
家事と仕事の両立
離婚で妻がいなくなると、急に夫が一人で家事をすべて行うことになります。夫が一人暮らし経験者ならできますが、妻が専業主婦だった場合や、共働きでも夫が家事をしてこなかったため、家事ができないとなると日常生活に支障をきたします。
食事はコンビニ弁当、掃除はせずにゴミ屋敷、洗濯物はたまる一方、家計管理、銀行や役所などの用事もほったらかし……さまざまな家事と仕事との両立が負担になります。
もし親権を得て子供を育てたいとなると、更に育児が加わります。
慰謝料<財産分与や養育費、結局は損かも?
浮気をした妻から慰謝料をもらえるので、夫に金銭的なダメージはない、と思う方もいるでしょう。しかし、離婚となると妻に渡すお金も発生することから、トータルでみると損をしてしまうかもしれません。
- 財産分与
- 慰謝料を財産分与で相殺しても、妻から受け取る慰謝料<財産分与で妻がもらえる分、となると、むしろ結局は浮気をした妻にお金を渡すことになり、家や車を手放さなくてはならないケースもあります。
- 養育費
- 親権者が妻になり、養育費を毎月子供が成人するまで支払うとすると、子供の人数や年齢によっては全部で数百万円から一千万を超える場合もあります。
まとめ
妻に浮気をされた場合、離婚か許すか、離婚の際に決める項目などについて、メリット・デメリットともに説明してきました。
浮気をされて傷つき、怒りを覚えた状態では物事をなかなか冷静に判断できませんし、浮気の証拠集めも難しいものです。弁護士など専門家に話を聞いてもらい、どうしたらいいかアドバイスを受けることをおすすめします。
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