浪費癖のある妻(夫)と離婚したい!離婚する方法と注意点
妻もしくは夫の浪費癖がひどく、日常生活にまで支障をきたすようになれば離婚を考えることもあるでしょう。
話し合いで浪費癖が改善されれば婚姻関係を続けられるかもしれませんが、浪費癖が改善しなければ本格的に離婚を検討するようになるかもしれません。
では、浪費癖を理由に離婚をすることはできるのでしょうか。
この記事では浪費癖のある妻(夫)と離婚するための方法や離婚における注意点について解説していきます。
- 目次
浪費癖のある妻(夫)と離婚できるのか
相手に浪費癖があれば生活が苦しくなり、ひどい場合には借金を抱えることもあるでしょう。
特に自分が一生懸命働いて稼いだお金を相手方に使われた場合は、腹立たしさを覚えるのも仕方ありません。
浪費癖を理由に離婚することはできるのでしょうか。
夫婦で合意ができれば離婚できる
離婚は夫婦による話し合いから始まります。当事者同士の話し合いによって離婚が決まることを協議離婚と言います。
浪費癖のある妻(夫)と離婚する場合、話し合いで相手の合意が得られれば離婚することが可能です。
しかし、離婚の合意が得られなければ、家庭裁判所で離婚調停を行うことになります。
離婚調停では調停委員が間に入って話し合いを進めることになりますが、それでも合意にいたらない場合は離婚裁判に進みます。
裁判で離婚するには法定離婚事由が必要
協議や調停で離婚の合意を得られなければ裁判で離婚を争うことになります。
しかし、裁判で離婚が認められるには「法定離婚事由」が必要になります。
法定離婚事由とは民法上の離婚理由で、不貞行為や悪意の遺棄など5つの理由があります。
浪費は法定離婚事由に含まれていませんが、場合によっては離婚できるケースもあります。
例えば、夫が収入を全てギャンブルに費やし、妻に生活費を渡さない場合であれば「悪意の遺棄」に当てはまる可能性があります。
また、浪費癖により返済が難しいような借金を作っている場合には「婚姻を継続し難い重大な事由」に当てはまる可能性があります。
妻(夫)の借金を配偶者が返済する義務はある?
妻(夫)の浪費が激しいとキャッシングや消費者金融からの借り入れなど婚姻中に借金を作っている場合もあります。
離婚するにあたり、この借金を配偶者に代わって返済する義務があるのかどうかは気になる点でしょう。
返済義務がない場合とある場合に分けて解説していきます。
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離婚をしたら夫の借金はどうなる?借金を理由に離婚をする注意点
返済義務がないケース
妻(夫)が個人的な浪費のために借金をした場合、配偶者に返済義務はありません。
夫婦といえど、個人の借金は個人のものとして考えます。
つまり、ギャンブルや個人的なショッピングなどで作った借金に関しては浪費した本人に支払い義務が生じることになります。
返済義務があるケース
妻(夫)の借金を配偶者が返済しなければならないのは、「保証人になっている場合」と「生活維持のための借金であった場合」の2パターンです。
妻(夫)が借金をする際に配偶者が保証人になっていれば、離婚など関係なく保証人としての支払い義務が生じます。
また、浪費ではなく日常生活に必要なものを買う際に作った借金(日常家事債務)であれば、夫婦は連帯して返済義務を負います(民法761条)。
つまり、日常生活に必要なものを買うために妻(夫)が借金した場合は配偶者にも支払い義務が生じます。
なお、日常家事債務としては食料品や家賃など生活を維持するための借金が当てはまります。
浪費癖のある妻(夫)に離婚を切り出す前に知るべきこと
浪費癖が改善されず離婚を考えたとき、離婚を切り出す前に知っておくべきことがあります。
連帯保証人になっていないか
まずは自身が妻(夫)の作った借金の連帯保証人になっていないか確認しましょう。
もし連帯保証人になっていれば、妻(夫)が借金を返済できない場合、離婚した場合であっても支払い義務が生じます。
なお、妻(夫)が借金を支払えずに破産手続きをしても、連帯保証人の支払い義務が消えることはありません。
浪費癖のある妻(夫)との財産分与はどうなるのか
離婚の際、財産分与を行い、婚姻中に築いた共有財産を夫婦で分け合います。
財産分与は夫婦で半分ずつ分けるのが一般的です。
しかし、妻(夫)の浪費によって共有財産が減っている場合、残った共有財産を折半することは不公平と言えます。
このとき、妻(夫)が浪費したことを考慮して、浪費によって減った分を戻して計算して財産分与を行うことができる可能性があります。
例えば、預金が500万円あるとすれば、一般的には共有財産は250万円ずつ分配されます。
しかし、妻(夫)が200万円のショッピングで浪費していた場合、共有財産は預金500万円+浪費額200万円=700万円と考えられ、そこから2分割した350万円がそれぞれの財産として分配されることになります。
このとき、妻(夫)は200万円を浪費にて使用していることから受領されたものと考えられるため妻(夫)の分配額は150万円とされます。
ただし、財産分与で浪費金額を考慮するには、浪費の金額や「浪費であること」が証明できなければなりません。
浪費の金額や浪費であることを立証するためには、購入レシートや購入品、クレジットカードの明細などの証拠が必要になります。
そのため、毎日のギャンブルによる浪費で金額を把握していないような場合は、証明が難しいため財産分与に加味することは困難になります。
妻(夫)の浪費癖で離婚する場合、親権はどうなるのか
相手に浪費癖がある場合、離婚後に子育てを任せるのは不安になるでしょう。
離婚時の親権者指定は、「夫婦のどちらが親としてふさわしいか」という観点で判断が行われます。
「浪費癖は親権者指定で加味されるのではないか」と考えがちですが、浪費などの離婚理由と親権は直接結びつくことはありません。
多少の経済状況は加味されますが、基本的には婚姻中にどちらが多く養育に携わってきたか、離婚後の養育環境が整っているのかといったことが重視されます。
そのため、浪費家の妻(夫)と離婚して親権を取得したいと考える場合は、これまでどれだけ子供の養育に時間を割いてきたのか(監護実績)や離婚後の養育環境を証明する必要があります。
一方、相手方の浪費癖によって生活が困窮することが予想される場合は、相手方に子供の養育が難しいことや子供への悪影響が心配されることを主張するのも重要です。
妻(夫)の浪費癖で離婚する際に慰謝料を請求できるのか
妻(夫)の浪費が原因で婚姻生活が辛かった方もいるでしょう。
相手は好き放題浪費しているにも関わらず、自分は家庭のために我慢してきたのであれば慰謝料を請求したいと考えるのは当然です。
では、浪費癖がある相手に対して慰謝料を請求することはできるのでしょうか。
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離婚慰謝料とは|請求できるケースと相場を徹底解説!
妻(夫)の浪費癖を理由に慰謝料請求できるケース
離婚原因によって婚姻生活が破綻した場合、精神的ダメージを受けたことに対する損害賠償が慰謝料になります。
離婚の場合、相手に有責性がある場合に慰謝料請求ができます。
妻(夫)の浪費癖によって婚姻が破綻したとみなされるケースには以下のようなものが挙げられます。
- 浪費によって生活費を渡してもらえなかった場合
- 借金を抱えて子供の貯金などに何度も手を出してしまった場合 など
慰謝料金額は子供の有無や有責性の程度などを踏まえて総合的に判断されます。
なお、浪費に伴い不倫や暴力、悪意の遺棄などがある場合も慰謝料請求できる金額が変わります。
妻(夫)の浪費癖を理由に慰謝料請求できないケース
妻(夫)の浪費癖を理由に離婚する場合でも、相手に有責性がないと考えられる場合には慰謝料請求が困難になります。
例えば、以下のような場合は浪費癖があっても慰謝料請求は難しくなります。
- 浪費癖はひどいものの家族には迷惑をかけていない場合
- 配偶者が浪費するため、自分のお金だけで生活をしていた場合
- 配偶者が専業主婦で家計管理を上手くできなかったような場合 など
また、相手に浪費癖があったとしても、こちらが不倫や暴力などを行っていれば慰謝料を支払う立場になる可能性があるので注意が必要です。
妻(夫)の浪費癖で慰謝料請求するために必要な証拠
浪費癖を理由に妻(夫)に慰謝料を請求する場合は証拠が必要になります。
浪費の事実を立証する証拠としては、レシートや購入品、クレジットカードの明細などが有効です。
浪費のほかに不倫がある場合は不倫をしている写真や動画、肉体関係があったという内容のメール、暴力や暴言がある場合は医師の診断書や暴力・暴言内容の録音、日記やメモなどが有効です。
どのような証拠が慰謝料請求で必要かについては弁護士に相談することをおすすめします。
浪費癖のある妻(夫)と離婚する手順
浪費癖のある妻(夫)と離婚する際は次の手順で進めます。
話し合い
まずは当事者同士の話し合いにより、協議離婚の成立を目指します。
財産分与や親権、養育費、慰謝料などについて話し合い、合意した場合は離婚届を提出すれば離婚が成立します。
協議離婚では、離婚後に争いにならないよう、離婚協議書を作成して協議で決まった内容を書面化しておきましょう。
また、養育費や慰謝料の不払いに備えて、離婚協議書は公正証書にしておくことをおすすめします。
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離婚協議書の書き方と公正証書にする方法を徹底解説。
養育費の取り決めは公正証書に残すべき!作成方法や注意点を解説
離婚調停
話し合いで離婚に応じてもらえない場合や、離婚条件に折り合いがつかない場合は離婚調停を行います。
調停は調停委員が間に入り、夫婦間での話し合いを調整してくれます。
ただし、調停に強制力はないため、合意が得られなければ離婚が成立しません。
離婚裁判
調停でも離婚が成立しない場合は裁判で離婚を争うことになります。離婚裁判では裁判所が離婚を認めれば離婚できます。
前述のとおり、離婚裁判では法定離婚事由が必要です。
また、相手方に有責性があると認められれば、慰謝料の支払い命令を出してもらうこともできます。
ただし、浪費癖がある場合、支払い命令が出ても養育費や慰謝料、財産分与といった金銭を支払わない可能性もあります。
このような場合は強制執行によって取り立てることも可能です。
まとめ
浪費癖が原因で離婚する場合、離婚そのものだけではなく離婚条件でもトラブルが生じることが予想されます。
トラブルを回避し、少しでも有利な条件で離婚するためにも弁護士にサポートしてもらうことをおすすめします。
当サイト「離婚弁護士相談リンク」は離婚問題に強い弁護士を厳選して掲載しています。ぜひお役立てください。
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