離婚の財産分与の相場は?損せず相場より高額な財産分与を請求する方法
芸能人や有名人のニュースで「〇千万円の慰謝料請求」「慰謝料請求なし」などと耳にすることもあるでしょう。
しかし、報道される高額な慰謝料は財産分与を含めた金額のこともあるようです。では、財産分与はどのくらいが相場となるのでしょうか。
この記事では慰謝料と財産分与の違いや財産分与の相場について解説します。
- 目次
財産分与と慰謝料の違いとは
財産分与と慰謝料は以下のような違いがあります。
- 財産分与:婚姻中に築いた共有財産を離婚時に公平にわけること
- 慰謝料:精神的な損害に対する損害賠償金
財産分与は離婚理由を問わず行うことができますが、慰謝料は不倫やDVなどの離婚原因を作った側に対して請求します。
慰謝料と財産分与はどちらも離婚後に請求できますが、財産分与は離婚が成立してから2年、慰謝料は不倫の事実と不倫相手を知ってから3年が請求期限となります。
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財産分与の対象となるもの・ならないもの
財産分与では、離婚時に夫婦が所有する財産すべてが対象になるわけではありません。では、どのような財産が対象となるのでしょうか。
財産分与の対象となるもの - 共有財産 -
離婚の財産分与の対象となるものには以下のようなものがあります。
- 現金
- 預貯金
- 有価証券
- 家や土地などの不動産
- 車などの家財道具
- 住宅ローンなどの借金
- 退職金 など
なお、財産分与の対象となるのは、上記のうち婚姻中に取得したものに限ります。
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財産分与の対象にならないもの - 特有財産 -
財産分与の対象とはならないものには以下のようなものがあります。
- 独身時代に貯めていた貯金
- 実家から持ち込んだ家具・家電
- 独身時代に購入した有価証券
- 自分の親族から相続した財産
- 独身時代に作った借金 など
なお、財産分与の対象となる財産を共有財産と呼ぶのに対し、財産分与の対象とならない財産を特有財産と呼びます。
財産分与の相場-婚姻期間別-
財産分与には相場があるのでしょうか。婚姻期間別に見ていきます。
参考:裁判所「家事 平成28年度 27 「離婚」の調停成立又は調停に代わる審判事件数 財産分与の支払額別婚姻期間別 全家庭裁判所」
財産分与の相場①婚姻期間1年以上5年未満の場合
平成28年度の司法統計によると、婚姻期間1年以上5年未満の夫婦の財産分与の金額は以下のとおりです。
- 100万円以下:51.4%
- 100万円を超え200万円以下:18.3%
- 200万円を超え400万円以下:11.2%
- 400万円を超え600万円以下:2.3%
- 600万円を超え1,000万円以下:2.5%
- 1,000万円を超え2,000万円以下:1.5%
- 2,000万円を超える:0.2%
- 算定不能:12.5%
婚姻期間1年以上5年未満の夫婦の場合、財産分与は100万円以下が51.4%と最も多く、全体の半数以上を占める結果となりました。
財産分与の相場②婚姻期間5年以上10年未満の場合
続いて婚姻期間5年以上10年未満の夫婦の財産分与の金額を見ていきます。
- 100万円以下:36.8%
- 100万円を超え200万円以下:16.0%
- 200万円を超え400万円以下:11.7%
- 400万円を超え600万円以下:5.2%
- 600万円を超え1,000万円以下:6.5%
- 1,000万円を超え2,000万円以下:3.2%
- 2,000万円を超える:0.8%
- 算定不能:19.3%
婚姻期間5年以上10年未満の夫婦の場合も、財産分与の金額は100万円以下が最も多い結果となりました。
一方、婚姻期間5年未満の夫婦と比較すると、100万円以下の割合が減り、100万円を超えた金額の割合が増えています。
そのため、婚姻期間が5年未満の夫婦よりも財産分与の金額が増加傾向であることがわかります。
財産分与の相場③婚姻期間10年以上20年未満の場合
続いて婚姻期間10年以上20年未満の夫婦の財産分与の金額を見ていきます。
- 100万円以下:21.9%
- 100万円を超え200万円以下:12.8%
- 200万円を超え400万円以下:13.5%
- 400万円を超え600万円以下:6.9%
- 600万円を超え1,000万円以下:11.3%
- 1,000万円を超え2,000万円以下:5.8%
- 2,000万円を超える:2.7%
- 算定不能:25.1%
婚姻期間10年以上20年未満の夫婦の場合も、財産分与の金額は100万円以下が21.9%と最も多い結果でした。
婚姻期間10年未満と比較すると200万円以下の割合は減っている一方、200万円を超える金額の割合が増加しています。
また、婚姻期間10年未満の場合、2,000万円を超える財産分与は1%に満たない結果でしたが、婚姻期間10年を超えると約3%の夫婦が2,000万円を超える財産分与を行っていることがわかります。
財産分与の相場④婚姻期間20年以上の場合
続いて婚姻期間20年以上の夫婦の財産分与の金額を見ていきます。なお、司法統計には婚姻期間25年以上までが掲載されています。
- 100万円以下:9.4%
- 100万円を超え200万円以下:7.8%
- 200万円を超え400万円以下:12.6%
- 400万円を超え600万円以下:9.8%
- 600万円を超え1,000万円以下:17.1%
- 1,000万円を超え2,000万円以下:14.0%
- 2,000万円を超える:7.2%
- 算定不能:22.2%
婚姻期間が20年以上になると、財産分与が1,000万円以下というのが17.1%と最も多い結果となりました。
また、半数近くが600万円を超える財産分与を行っていることもわかります。
より高額な財産分与を請求するには
ここまで説明したように、婚姻期間が長いほど財産分与の相場は高額傾向となります。
では、より高額な財産分与を請求するにはどうすれば良いのでしょうか。以下で詳しく見ていきます。
証拠を集める
財産分与を有利に進めるには、夫婦が互いにどのような財産を所有しているのかを明らかにする必要があります。そのため、所有している財産を立証できる証拠を集めることが重要です。
所有する財産を立証する証拠には以下のようなものがあります。
- 配偶者の収入を証明できるもの(給与明細や確定申告関係の書類など)
- 配偶者の預貯金の通帳のコピー
- 有価証券の証券口座の明細
- 生命保険に関する書類
- 不動産を所有している場合は不動産登記簿 など
相手方の財産を調べる方法
離婚の際、配偶者が所有する財産を隠すこともあります。このような場合、弁護士に依頼し、弁護士会照会制度を利用して財産を開示させる方法があります。
弁護士会照会制度とは、弁護士法に基づき、官公庁や企業などに対して弁護士会が必要事項を照会・調査するものです。
このほか、裁判所に調査嘱託を申し立てる方法もあります。弁護士会照会制度と異なり、調査嘱託制度は企業や金融機関に対して裁判所が情報開示を求めるものです。
調査嘱託を利用するには審判や訴訟を行う必要があります。
共有財産形成への貢献度を主張する
財産分与の按分(あんぶん)割合は2分の1が基本です。
しかし、夫婦の一方が財産形成に非協力的であったり、按分割合を2分の1とすることが不公平とみなされる事情がある場合はその限りではありません。
例えば、以下のようなケースでは貢献度に偏りがあると判断される可能性があります。
- 配偶者が一方的に家を出て行った
- 配偶者が服役中だった など
どのようなケースで貢献度に偏りがあると判断されるかについては弁護士にお問い合わせください。
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相手方の特有財産形成への貢献度を主張する
共有財産ではなく、どちらか一方の特有財産の形成に対する貢献度が高い場合も財産分与の按分割合が有利になる可能性があります。例えば、以下のようなケースが該当します。
- 夫婦のどちらか一方が不動産を相続し、相続税を婚姻後の預貯金(共有財産)から支払った
- 夫婦のどちらか一方が独身時代に取得した不動産を婚姻後の預貯金で大幅に修繕した など
上記のようなケースでは、夫婦のどちらか一方の特有財産のなかに共有財産を取り込んだと評価されます。
財産分与の請求は離婚後2年まで!
財産分与は離婚後に請求することもできますが、離婚後2年が請求期限となります。
慰謝料の請求期限は消滅時効ですので中断することができますが、財産分与の請求期限は除斥期間ですので中断することができません。そのため、早い段階で請求手続きを行うことが大切です。
まとめ
財産分与の相場について解説しました。
一方、各家庭によって所有する財産は異なるため、いくら請求できるかはケースバイケースとなります。また、財産形成に対する貢献度によっては財産分与を増額請求できる可能性もあります。
「自分の場合はどのくらい財産分与を請求できるのか」「相手方が財産を隠しているかもしれない」など、財産分与に関するお悩みは弁護士に依頼することをおすすめします。
当サイト「離婚弁護士相談リンク」は財産分与や離婚問題に精通した弁護士を多数掲載しています。ぜひお役立てください。
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